ダサい勇者

らいらい

文字の大きさ
上 下
17 / 19

城とダサい勇者

しおりを挟む

 俺はまだ勇者である。

 あれから美少女と、夜になると焚き火を焚き、交互で寝たりと冒険者らしい事をした。
 確かに女の子一人で旅をするとなると、ちと物騒だ。
 悪魔の囁きに負けず、いてやれてよかった。

 3日目の昼。
 いよいよ遠くからでも城が見えてきた!
 やっとですよ、やっと。
 ヒャッホーイ。

 カエルは初日に倒しちゃったモンだから、襲ってくる魔物を退治するしかやる事がない。
 気がついたらそれなりにレベル上がっていて、ゴールデンも少しばかり増えていた。
 城で何か買って帰ろうっと!

 俺は半ば観光気分でワクワクしてきた!

 いやいや、俺は勇者だ。

 ここはあと少し、気を引き締めて行かねばならぬ。
 何があるかわからないからな!

 美少女は好き勝手に魔物と見れば追いかけてぶっ飛ばし、回復魔法ができなくなるほど魔力を使うので、初日にゲットした薬草を使って怪我を治すようになった。
 何となしに手に入れて置いた俺、グッジョブ!

 ……にしても、僧侶の意味?

 
 そして何ごともなく城門までたどり着いた。

 城壁は下から見上げるととても立派で、ホゲホゲ村と違って何処までも続く壁のようだ。
 相当なデカさだぞ?
 口をだらしなくあけ、ボケーっと眺めていた。

 勇者は田舎の村出身だから、都会に非常に驚くのだ。

 美少女は城門を入っていくと、城下の店なんかに目もくれず、ズンズンまっすぐ歩いていく。

 あ、あの……
 リアルフロッグ倒したら、ゴールデンが貰えるのでは?

 と疑問に思いながら、俺はただついていく。

 美少女は俺を振り返り、あと少しよ(はぁと)と満面の笑みを見せる。

 城の門を両手でブワァッと勢いよく開け、更に城内にズカズカ入っていき、

 どんどんどんどん突き進んでいく。


 階段を登ると大きくて重厚な扉の前にきた。扉の横に、鎧を着た兵士がいるが、それすら無視して美少女は思い切りよくドアを開ける。

 エェ……

 
 ちょ、ま、何?

「ただいま戻りました、父さま」

 ここ王の間じゃん!


 おお、神よ。
 まさかの美少女、姫様ですか。
 ってか、初めて美少女の声聞いたー!

 と、俺はその場にへたり込んだ。
 腰を抜かすダサい勇者はこちらです。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

おもらしの想い出

吉野のりこ
大衆娯楽
高校生にもなって、おもらし、そんな想い出の連続です。

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

処理中です...