ダサい勇者

らいらい

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水も滴るダサ勇者

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 俺は勇者だ。
 隣町までおつかいの最中眠ってしまったようだ。
 いつの間にか雨が降り、水も滴るいい勇者となっていた。

 言葉だけ聞けばちょっとカッコいいかも?

 姿を見れば、ビチョビチョの男が鍋の蓋と剣を持ってる不審者だ。
 ダサい以前に捕まるな。


 濡れたまんまよく見たら、すぐそこに隣町の門があった。

 こんな近くに来ていたのか。気づかなかった!

 出入りしていた旅人に、大口開けてヨダレたらしてるこのダサい姿を見られたと思うと恥ずかしすぎる。
 もう勇者なんてできない!

 俺はため息をつくと、トボトボと門をくぐる。

 えーと、道具屋行くんだったな。
 俺の町には道具屋はない。
 ここでめぼしい道具を買って、値段釣り上げて売れば儲かるんじゃないか?
 とか、勇者らしからぬ考えもするが、俺はすごい勇者だ。そんなダサいことはしない。

 道具屋に着くと、髭の店主に聖水ボトルを注文した。

 何やら聖水ボトルの素の水が足りないらしい。
 え、この展開勇者イベントじゃない?
 ちょっとまって、さっきスライム何体か倒したけど、まだレベル3なんだけど!

 でも、その素材がないと聖水ボトルは作れないらしい。
 チクショウ!
 ホゲホゲ村のシスターとグルだな!?

 俺はビチョビチョのまんま嫌がらせのように店内をウロウロ考えるフリした。

 ちなみに素材はこの町を出てすぐ西の森の中らしい。
 一日はかからないらしいが…

 俺はしぶしぶ頼みを受け入れた。
 勇者ってなんでも屋なんだな…

 テンション駄々落ちの俺は、店の外に出た。

 俺は勇者だ。
 頼まれたら断れない……

 勇者マジダサい。
 心で俺は泣いていた。
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