5 / 19
水も滴るダサ勇者
しおりを挟む俺は勇者だ。
隣町までおつかいの最中眠ってしまったようだ。
いつの間にか雨が降り、水も滴るいい勇者となっていた。
言葉だけ聞けばちょっとカッコいいかも?
姿を見れば、ビチョビチョの男が鍋の蓋と剣を持ってる不審者だ。
ダサい以前に捕まるな。
濡れたまんまよく見たら、すぐそこに隣町の門があった。
こんな近くに来ていたのか。気づかなかった!
出入りしていた旅人に、大口開けてヨダレたらしてるこのダサい姿を見られたと思うと恥ずかしすぎる。
もう勇者なんてできない!
俺はため息をつくと、トボトボと門をくぐる。
えーと、道具屋行くんだったな。
俺の町には道具屋はない。
ここでめぼしい道具を買って、値段釣り上げて売れば儲かるんじゃないか?
とか、勇者らしからぬ考えもするが、俺はすごい勇者だ。そんなダサいことはしない。
道具屋に着くと、髭の店主に聖水ボトルを注文した。
何やら聖水ボトルの素の水が足りないらしい。
え、この展開勇者イベントじゃない?
ちょっとまって、さっきスライム何体か倒したけど、まだレベル3なんだけど!
でも、その素材がないと聖水ボトルは作れないらしい。
チクショウ!
ホゲホゲ村のシスターとグルだな!?
俺はビチョビチョのまんま嫌がらせのように店内をウロウロ考えるフリした。
ちなみに素材はこの町を出てすぐ西の森の中らしい。
一日はかからないらしいが…
俺はしぶしぶ頼みを受け入れた。
勇者ってなんでも屋なんだな…
テンション駄々落ちの俺は、店の外に出た。
俺は勇者だ。
頼まれたら断れない……
勇者マジダサい。
心で俺は泣いていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる