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どうしよう
しおりを挟む昨日、私、リョウとあのまましてしまった。怖くなくて、流されてしまって、そのまま……
朝、ベッドで起きるとお腹の辺りに違和感があった。痛いと言うか、中に何か入っているような感覚というか……
今日は熱も下がり、そろそろ学校も行かなくては。私は時間割をチェックし、行く準備を始める。
朝ごはんはそこそこに、学校へ向かう。
学校では中間テストの話題で騒がしくしている。私はわりとぼっちだったので、今回は問題なくいい点取れそうでホクホク。
ニンマリとほくそ笑んでいると、リョウがこちらにやってきた。
「おっはよ、新」
席の横にへばりつくように、つやっつやのとびきり笑顔で挨拶してくる。なんだかこっちが恥ずかしくなってしまう……
「おはよ」
「ねーねー新、中間いけそう? 俺今回あんまり勉強できてなくて。これってこれでいいの?」
肩下げの鞄から数学のノートを出して、指差して見せてくる。
私は覗き込むと、数式が合ってるかチェックをする。綺麗な字で書かれ、問題なく合っていた。
「うん、大丈夫」
「よかった、ここ不安だったんだよねー俺」
ノートをさっとしまうと、私の机の上に肘をつき顎を乗せて私を見てくる。
ち、近い……
「へへ」
ニマニマとリョウが私を見ている姿を見て、一時的に落ち着いていた女の子達の不快な視線が向いてくる。
あー、やっぱりこうなるのね。
私が困惑していると、ニコニコと顔を近づけて耳元で小さく囁いてくる。
「あらた、いい匂い。めっちゃチューしたい」
しまいかけの教科書を、ガタン!! と机の前の方に落としてしまった。動揺。
「は、はわわわ……」
「新、落ちたよ。はい」
私の気を知ってか知らずか、教科書を取って手渡してくる。さりげなく私の手に触れて。
うッ……
どうしよう、ドキドキしてしまう。顔が火照るのが自分でわかる。天然にこんな事やってるなら、ほんとにこの人女たらしだ。
リョウは友達から呼ばれて、首根っこ掴まれ名残惜しそうに連れ去られて行く。ちょっと助かった……
「おはよう、佐藤さん」
ボス的女子の取り巻きで、こないだ友達になったって伝えた……確か吉田さんだ。
「また涼くんと話すようになったんだ。キスしたのに友達とか言ってたじゃん? あれ、ほんと?」
「う……そのはずなんだけど、なんか色々とあって」
濁していると、吉田さんはプクっと頬を膨らます。
「なんだー。結局元サヤかぁ」
元サヤって言っても、付き合うって言ってないんだけど……って私、彼氏じゃない人としちゃったんだ!
前回は、彼氏じゃない人とキスして、今度は彼氏じゃない人とエッチしてしまった。
私、緩すぎるーーーー
チャイムが鳴る。
中間テストは滞りなく終わった。
今回はとりあえず補習なんかの心配はなさそう。ま、元々それほど成績が悪いわけではないんだけど。
私は帰る準備をすると、廊下にあるロッカーから明日の教科書を取り出す。
「よ!」
後ろから佐々木冬馬が声かけてくる。
目が合うと、私は思わず顔が真っ赤になってしまった。
「え、何? 俺に惚れちゃったとか?」
おかしそうにふざけて笑いながら言ってくる。
「な、んでもないです」
俯きながら精一杯言うと、後ろの出入り口からリョウが出てくる。
「新ぁ、帰り送ってくよ! 一緒に帰ろ」
そして冬馬に一瞥すると、私をグイ、と抱き寄せ、冬馬に威嚇する。
「これ俺の。ちょっかいかけたらダメ」
ウキャーとなりそうなセリフを吐いてる。案の定周りの女子はザワザワと面白そうに見てくる。なんだろ、この天然に私を困らせる言動何とかして欲しい。
冬馬はフ、と笑うと、ヘイヘイと自分のクラスに入っていった。
リョウは周りなんか気にせずに、私の手を握り帰ろう、と廊下を進んで行った。
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