【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください

むとうみつき

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夏休み

107 泉の畔で

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寝室のドアを開けると、ベッドの上で絡み合う男女が目に映る。

私と目が合った途端に、熱に浮かされた顔から驚愕の表情になった修平は、あの時何を思っていたんだろう。


結婚式まであと一ヶ月、全てをキャンセルしてあの人と一緒になるつもりだったのか、
何食わぬ顔であの人と睦み合ったベッドで私を抱いて、そのまま結婚するつもりだったのか、

どちらを想像しても、胸が痛くて苦しくて死にそうになる。

まあ、死んじゃったんだけど。


前世の記憶を思い出してから、何度も何度も、痛む胸を押さえながら考えた。

私は、あの時死んでしまわなかったらどうしていただろう、と。


修平が私と別れてあの人のところに行くと言うのなら、止められ無かったと思う。

私は修平のことが好きだったけど、私への気持ちを無くした修平と一緒にいても、辛いだけだろうと思うから。


でも、もし、

あれが本気じゃなくて、修平が私に謝ってきたら?

あれはただの浮気で、私のことが好きだと修平が言ってきたら、私はどうしただろう。


修平を許して、結婚しただろうか。

やっぱり許せなくて、修平と別れただろうか。


何度考えても、答えは出なかった。


私は修平のことが好きだった。

だから、許したかもしれないとも思うし、だからこそ、許せなかったかもしれないとも思う。


でも、その時は許して一緒になったとしても、修平の裏切りを忘れることは出来なかっただろう。

ひたすらに愛して信じ切っていた時とは違う。

その愛も信頼も、確かなものではないと知ってしまったからには、それまでと同じ関係ではいられなかっただろうと思う。


修平が、何を考えて、どうするつもりで、私を裏切ったのか分からない。

私は死んでしまって、今や世界まで隔てられてしまった。

確かめるすべはない。

それでも諦めきれなかった。

少しでも、修平の真意に近付きたかった。



目の前で固まっていた修平が、私の名前を呼んだ気がした。

その顔が、驚愕の表情を浮かべた修平の青白い顔が、徐々に白いモヤに包まれていく。

全てが消えてしまうほどの濃いモヤではないけど、組み敷かれた女の顔や乱れたシーツが、ゆるゆると白く染まって、ぼんやりとしか見えなくなっていく。


もう修平の表情は見えない。

何度考えても、問いかけても、修平の真意が分からなかったように、ついにその表情も分からなくなった。

薄っすらと、すべてに白い膜が張られていく。





「終わったよ、シェリル嬢」

その声にハッとして顔を上げると、カルロス様の黒い瞳が目の前にあった。

「あ……」

頭がボーッとして、フワフワする。

「癒しの魔術の後暫くは、少し意識がはっきりしないようなんだ。でも、すぐに回復するからね」

「は…い」

ぼんやりしたまま返事をすると、レオナルド殿下が心配そうに私を見て言った。

「今日はこのまま部屋に戻って休むといい。リドベル夫人には私から伝えておく」

お、やった!
今日は淑女教育休みになった!

心の隅にチラッとアマーリエ様の悲しい顔が見えたけど、全力で振り払う。

棚からぼた餅の自由時間に気を良くしながら、カルロス様の部屋を出て、魔術師の塔の外で待機していた護衛騎士と割り当てられた客室に向かった。



頭の中は、まだ少し靄がかかったようにぼんやりしている。


さっきから、今まで私を苦しめてきたあの光景が見えているけど、胸が痛くなることも、息が苦しくなることもない。

修平に対する怒りや悲しみも、霞の向こうに留まって、私には届かない。

怒りや悲しみを感じなくなって、目を背けてきた自分の気持ちにようやく気付いた。


ずっと、修平にざまあみろと言ってやるんだと魔法の研究をしてきたけど、それは、私が修平を諦めきれなかっただけだった。


傷付いて苦しくて悲しくて、
それでもなお、修平を信じていたかったんだ。


裏切られて、死んでしまって、生まれ変わってもなお、修平の側にいたくて、少しでも近付きたくて、でもそんな自分の気持ちに蓋をして、それを誤魔化す為に無理矢理魔法の研究に打ち込んでいたんだ。


だって、私はもう二度と、修平の側にはいけないから。
どんなに修平を想っても、その気持ちは届かないから。


ハアッともう一度溜息を吐く。

部屋に戻ろうと思っていたけど、頭の中がグルグルしていて落ち着かない。
庭でも散歩しようかと足を止める。

「シェリル」

振り向くと、ウィルフレッド様がいた。

「父との話しは終わった?」

走って来たのか少し荒い息をしている。

「はい」

藍色の髪が汗で額に張り付いている。

ウィルフレッド様の優しい黒い瞳を見たら、ちょっとだけ気持ちが落ち着いた。

そういえばさっきまた後でと言っていたし、何か話しがあるんだろうか。

「これからリベラル夫人のところに戻るのか?」

「いいえ。今日はお休みにしてもらったんです。あ、そうだ!」

いいこと思い付いた。

「ウィル様、お時間ありますか?庭園に行きたいんです」



王宮にいくつかある庭園の中でも、特に奥まった場所にあるそこは、程よい高さの木々が立ち並び、さらに先に行くとぽっかり空いた空間に小さな川と泉がある。

透き通った水を湛えた泉に夏の濃い緑の木々が写り込み、なんとも神秘的な雰囲気である。

「王宮にこんな場所があったなんて知らなかった」

ウィルフレッド様が辺りを見回し驚いている。

「私も、この前ディアナ様に教えてもらったばっかりで来るのは初めてです」

泉の畔に置かれた木のベンチに二人で座る。

ウィルフレッド様がチラリと目をやると、護衛達が少し離れた場所に行ってしまった。

夏の日差しを遮る濃い緑の葉がサワサワと揺れ、透明な泉の水が波立った。

「気持ちいいですね」

思っていたより遠くて結構歩いたから、すっかり暑くなってしまった。
滲んだ汗に風が当たって心地良い。

癒しの魔術でぼんやりしていた頭が、少しハッキリしていくような気がする。

ウィルフレッド様からの返事がないので横を向くと、口をハクハクさせているのが見えた。

やっぱり何か話したいことがあるようだ。

「あ、き…綺麗な場所だ…な」

ウィルフレッド様がぎこちなくそう言う。

「そうですね」

泉の縁に白い星形の花が咲いているのが見えた。
あれ何て花だろう。
可愛いな。

「あ、あの…」

「はい」

「その…」

「…はい」

ウィルフレッド様を見ると、まだ口をハクハクさせていた。

「何ですか?ウィル様」

「あ、いや…えっと…」

ウィルフレッド様の顔を覗き込むように見たら、目を逸らされてしまった。

「ウィル様?」

目を逸らしたまま一点を見つめるウィルフレッド様は、膝の上に置いた手を握りしめている。
その手は微かに震えていた。

「ウィル様、もしかして体調悪いんですか?」

よく見たら顔もほんのり赤い気がして、慌てて立ち上がる。

「ごめんなさい、医務室に…いや、ちょっと遠いかな。護衛の人にお医者様を呼んでもらいましょうか」

大変だ!体調が悪いのにけっこうな距離を歩かせてしまった。
しかも医務室が遠い!

「え?ち、違う!体調は悪くない!」

今度はウィルフレッド様が慌てて立ち上がる。

「でも、ちょっと顔が赤いです。熱があるんじゃないですか?」

そう言ってウィルフレッド様の額に手を当てると、しっとり汗ばんで冷んやりしていた。

熱はなさそう…かな?

「シェリル…」

ウィルフレッド様が額に当てた私の手を優しく握った。

「?…ウィル様?」

気付くとウィルフレッド様の黒い瞳が真っ直ぐに私を見ていた。


近い!
ドキドキしちゃうってば!

そう思って少し離れようとしたら、握られた手を引き寄せられた。

「わっ!」

勢いでウィルフレッド様の胸に倒れ込んでしまった。

慌てて謝ろうと目線を上げると、ウィルフレッド様の張り出した喉仏がこくりと動くのが見えた。

さらに目線を上げると、私を見つめるウィルフレッド様の黒い瞳があった。



「す………好きだ」




ウィルフレッド様の黒い瞳に映り込んだ私が、目を大きく見開くのが見えた。
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