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ジョージ
しおりを挟む「へぁ!?」
不意打ちであの笑顔が来た。
その笑顔、やばいよ! かっこいい! すき!
「あのとき、友達になりたいと言ってくれただろう?」
「いや、なんか、えっと、なんかもうあの山の出来事自体、夢だったのかなって思ってたから」
「私は君の連絡先を聞かなかったことを、心底後悔したよ」
「それは……それは僕も、です」
「本当か? あの朝、全く目を合わせてくれなくなったから、てっきり怒っていたのかと」
「全然、全然です、凄く、幸せな時間でしたし、それに」
凄く気持ちよかったし。あ、これは流石に僕に妄想だよね。
「それに?」
「な、なんでもないです」
「もし良ければ、今日の夜、時間を貰えないだろうか。体が許せば」
「へ?」
か、体!?
「No?」
「いえ、YES、YESです。あ、でも仕事」
「大丈夫だ。君がしなければいけない仕事は従来の君の業務だけだ」
────
「あのあと、どうしてた?」
仕事上がりに連れて行かれたお店は、まさかのフレンチレストランだった。
僕はどうしていれば良いのか分からず、キョロキョロしながら、畏まった空気に緊張していた。
「あのあと?」
「いや、その、私も羽目を外しすぎたというか、君の魅力に欲望を抑えられなかったというか」
「え、と。あれ?」
なんか今すごいこと言われた気がします!
「なんだい」
だけど、あれって夢だったんじゃないの?
「もしかして僕、貴方と、その、しました?」
「まさか、忘れてしまっていたのかい?」
「え、いや、そうじゃなくて。ずっとあれは夢だと思ってて。僕の妄想が勝手に作り出した……、ジョージさんはかっこいいし、イケメンだし、優しいし、凄くかっこいいし(あ)、僕なんかが相手されるわけないと、ずっと」
「そんなことはない。君はとても可愛いし、レストハウスに来た時は、天使が舞い降りたのかと」
「て、天使!?」
うわわわわぁ!
ジョージがおかしなこと言ってる!
スッと差し出されたカードに、なんだろうと疑問を持って手に取る。
なんだろう? ホテルの名前が書いてあるけど……これホテルの、鍵?
パッと顔を上げると、手を組んだ上に顎を乗せて可愛らしく僕を見ていた。
その意味を理解して、ボンっと音が出そうなほど顔に血が上った。
もうその後は食事の味もわからないし、喉も通らなくなって、デザートまで辿り着けなかった。
ドキドキが止まらなくて、眩暈がしそうだった。
「まだ体調が優れないか?」
店を出た後、食事が喉を通らなくなったことで、心配してくれたみたいだけど、僕はこの後のチャンスが逃げてしまうことの方が怖かった。
思わずジョージの袖を握ってしまった。
「大丈夫です、その、楽しみで、胸がいっぱいで」
「そ、そうか」
連れて行かれた一室で、ホテルの窓から見える景色に浮き足立って見惚れていると、後ろから抱きつかれた。
「あ……」
「目の前にいるのに、ずっと触れられないのが辛かったよ。嫌われているものだとばかり」
「そんなことないです。僕はもう一度ジョージさんに会えただけで、嬉しくて」
ぎゅっと抱き込まれた腕が、緩んだと思ったら、裏返されて頬を包まれた。
キスがくる。
目を閉じてその瞬間を待つけど、いつまで経っても訪れない。
どうしたのかな? って思って目を開けると、僕の顔をじっと見つめるジョージがいた。
「ジョージさん?」
「可愛いね、讓治。好きだよ」
優しく触れたと思った唇は、すぐに開かれて容赦なく吸われた。
だからっ、不意打ちはやばいって!
呼吸が追いつかなくなって、必死に胸を押すけど、逞しい腕からは逃れられるはずもなく、絡め取られた僕の小さな舌を強く吸われて、腰に響いてむずむずした。
息が苦しくなって朦朧としてくると、腰が砕けて、膝から崩れ落ちてしまった。
「Oh、大丈夫?」
「気持ち、良すぎて……」
「相変わらず、感じやすいね。一人でシャワー浴びられる? 手伝う?」
「ひ、一人で行けますっ」
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