俺の息子の息子が凶悪な件

把ナコ

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閑話 ①

閑話 ②

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「ママ、ビール!」
「あたしはモヒート!」
「あ、い、いらっしゃい! 空いてるところに座ってちょうだい」

 いつもの常連客2人組が来たところで会話が終わってしまったけど、今彼は何を言ったのかしら?

 その後、彼とは話す機会がなく、彼は所在なさげに帰りますって言って来たわ。
 だから、お釣りを渡すときに伝えたの。

「またゆっくりいらしてね。次は優しい飲み物をお出しするわ。お話はその時」
「あ、ありがとうございます。ごちそうさまでした」

 その笑顔、全人類を殺しにかかってるのかと、疑いたくなるほどイケメンね。背も高いし。いい体してるし。
 でも、やっぱりどこかで見たことがあるのよねぇ。
 こんなイケメン、一度見たら忘れないと思うんだけど。

「ママぁ、今の彼かわいかったわね」
「そうね。これから常連さんになってくれるかもしれない子よ」
「ええ? もうツバ付けちゃったの?」
「違うわよ。それに多分彼には思い人がいるわ」
「なんだぁ。残念。それより聞いてよ! 今日同伴するお客さん、予約して連絡してきたの、2年ぐらい予約待ちのお店よ? すごくない?」
「まあ、それはすごい。いいの? こんなところで油売ってて」
「さすがにあんなすごいところ素面ではいけないわぁ」
「あらまぁ、少し軽めのお酒にしときましょうね」
「ママありがとうー」

 彼女たちはClubVenusホステスで性別は男だけど、どこからどう見ても女の子にしか見えない男の娘。お店が始まる前や終わった後にたまに顔を出してくれるのよね。



 今日、お店に来てくれた男の子の顔がどうしても思い出せずに、学生時代のアルバムを引っ張り出して探してみたけど、やっぱりわからなかった。
 でもきっと彼がもっと若いときの顔を知ってるはずなのよ。ココ(喉)まで出かかってるのに出てこない。ああ。すっきりしないわ。

『Prrrrrrrrrrr』
『どうしたの? こんな時間に』
『あ、起きてた。兄ちゃんあのさ、買ってほしいゲームがあんだけど』
『あんた、そういうときだけ電話してこないでよ』
『だって母さん買ってくんねぇんだもん』
『高校生になったんだからバイトしなさい。バイト』
『ええー、めんどくさい』
『そんな奴に買うゲームなんかないわ』
『ほーしーいー』
『なら、あんたのカメラロールにあるイケメンの写真を寄越しなさい』
『えええ? またかよ。またあいつら兄ちゃんのおかずにされんのか』
『それに使うとは言ってないだろ』
『あ、口調もどってる。図星だな? 1枚1000円な! 5枚送るから5000円くれよ』
『はぁ、あんた随分とボロい商売してるわね』

 画像は直ぐに送られてきた。
 それを見ていてふと昔の記憶に引っかかりを感じた。
 もしかして。

『ねぇ、中学の時行ってたサッカークラブの子の写真とかないの?』
『ええ? 兄ちゃんついに中学生まで範囲広げたのか?』
『いいから寄越しなさい! いい写真があったら5000円上乗せしてあげるから』
『マジか! ちょっと待ってな、直ぐ探して送っから! 兄ちゃん愛してる~』
 切れた電話を眺めて待っていると、30分ほどして10枚ほどの写真が送られてきた。弟と一緒に撮っているものがほとんどだが、集合で取ったものが1枚。

『集合写真で好みの奴がいたら言ってくれよ』

 弟はそうメッセージを付けていたけど、あたしの目的はそっちじゃないのよ。
 集合写真であの子を見つける。
 少し画像は荒いけど、目鼻立ちがはっきりした子だからわかりやすい。それに身長が中学生にしては随分高いこともあって目立っていた。ツーショットで弟と肩を組んでる写真は頭半分身長差がある。間違いないわ。
 
 この子、昔、弟がゲイ雑誌渡してた子よね?
 あの時は違ったって言ってたけど、やっぱり、目覚めたってことかしら。



 3日ほど経って、また彼が店に顔を出した。間違いない。あのデカマラ君だわ。

「いらっしゃい。貴方にお酒は出せないから、ジュースでいいかしら?」
「すみません、お願いします。やっぱりわかりますか?」
「そうね、20歳で押し切るには少し肌が若いわね」
「今まで見破られたことなかったんすけど」
「おねぇさんを甘く見ないで」
「すみません、オレンジジュースお願いします」
「はぁい」

 今日は、開店直後を狙って来てくれたみたい。多分あの話をしたいのでしょうね。

「どうぞ。何か話したいことがあって来たんでしょ?」
「あ、はい。アナルセックスの仕方を知りたくて」
「ずいぶんとあっけらかんと話すわね。お姉さん悲しいわ」
「なんというか、ちゃんとした知識を手に入れたくて。経験のありそうな人から話を聞こうかと」

 遊び半分、って感じじゃないわね。こんなにまっすぐ目を見つめられるとどぎまぎしちゃう。

「うーん、そうねぇ。誰か想定している人がいるの?」
「はい」
「どっちで?」
「できれば、どちらもで」
「っっ。そ、そうね。じゃあ、とりあえず、どちらからにする?」
「そうだな、される方、が先かな?」
「それならネットでの情報とそんなに変わらないと思うし、あなた自身の事だからネット情報で充分できる気がするけど」
「あー、相手の人、普通のサイズじゃなくて」
「え」
「多分、かなり拡張しないと無理なんです。それで、できれば身体を壊さずちゃんと拡張したくて」
「ちなみにどれくらい……?」
「これくらいっすかね」

 絶句よ。何そのサイズ。日本人なの?
 うちの店のトールグラス指さしたのよ。意味が分からないわ。
 そんなデカマラ聞いたことも見たこともない。
 いえ、そうよ。それ、やっぱりする方の話よね? あなたがそのデカマラの持ち主でしょ? じゃないと話がおかしいわ。

「ず、随分と大きいわね」
「そうっすね。特にカリの部分が硬くて、このコップより長いっす」

 ぐふっ。この子ほんとてらいなく言うわね。
 相手の人を自分のサイズにしたいってことなのかしら。
 
「ちなみに今はどれくらい拡張したの?」
「普通サイズのディルドは飲み込めるようになったんですけど、それ以上にするのが怖くて」
「そうねぇ。そうなると実際にそこまでやってる人紹介した方がよさそうね?」
「可能ならお願いしたいです」
「わかったわ。ちょっと連絡してみる」
「すみません、あ、オレ大洲尊っていいます。お姉さんはなんて呼んだらいいですか」

 お姉さんだなんて。本当この子、わきまえてるわ。

「ママよ。Barナイトメアのママ、それで十分」


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