Pieces of Memory ~記憶の断片の黙示録~

橋本健太

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第5章 六凶編 VS ブラッディマリア・ブルードラグーン

第216話 悦楽と狂乱の宴

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 依頼を受けて、その日の夕方から雫と玲奈は潜入調査に向かう。調査期間は5日間。兵力を偵察する上で、潜入調査がバレる危険性があるからだ。時刻は16時。個人裁量が委ねられ、この案件は雫と玲奈が自由に動く。準備を済ませ、社用車に乗り込み、三宮のフラワーロードを南下して、ポートアイランドへ向かう。
「日が暮れてきましたね。」
「そうやね。」
車で8分。ポートアイランドに到着した。白い教会が見え、近くの駐車場に停車する。
「世界T教会 本部」
周辺を見ると、くっつけたような跡があり、本当に東京から教会ごと持ってきて、跡地に合体させたのが伺える。中に入ると、受付の女性がいた。
「ようこそ、世界T教会へ。どういったご要件ですか?」 
「私達は、入信希望者です。」
入信者として、内部に潜入。荷物を預けて、洗礼室と言う部屋に案内される雫と玲奈。脱衣場で全て脱ぎ、裸になって跪く。
「私は、洗礼師のヨハネです。」
日本とアメリカのハーフの茶髪の中年男性。桶に冷水を入れ、1人ずつ行なう。両腕を胸元で組む。
「烏丸雫、音無玲奈。神に祝福されし者よ。汝を清めたまえ。」
冷水を頭からかける。寒さで震える2人。脱衣場で身体を拭く。信者から、純白の紙パンツと白装束を渡されて、それに着替える。
「寒いねんけど…。」
「我慢よ。玲奈ちゃん。」
「今日は、歓迎の宴があります。」
「歓迎の宴?」

 その日の夕方、教会広場に信者達が集まり、テーブルにはご馳走が並べられている。教祖の白木勤が現れ、挨拶を行なう。
「こんばんは。教祖の白木勤、またの名をガルガン・ポチェと申す。我ら世界T教会の大革命の日は、クリスマス・イブの前だ。調和を乱す者達を滅ぼし、ポートアイランドを手に入れ、我らの楽園を創るのだ!!!」
野望を語り、異様な熱気に包まれる。ブドウジュースのグラスを持ち、乾杯をする。生け贄になった羊の肉を解体し、茹でられた状態でいただく。この辺りは、イスラム教の犠牲祭に似ている。皆が美味そうに、茹でた羊の肉に塩をつけて食べる様子を見て、雫と玲奈も食べる。
「美味いっちゃあ、美味いねんけど硬い。」
「モンゴル人みたいな人おるんですけど、あの辺は羊食べますからね。」
盛り上がってきた所で、特設ステージが造られ、そこにドルガンが現れる。モンゴル人だが、流暢な日本語を話す。
「皆さん、こんばんは。私は、ひかりの会から来ましたドルガン・ゲンボルトと言います。我々の大革命の成功、聖戦の勝利のため、皆で頑張りましょう!!我々が力を貸します!!」
ステージに、ドルガンの他、副隊長と四天王(韓国人3人・中国人1人)の計5人が出て来た。全員日本語が話せる。
「アンニョンハセヨ。ドルガン隊長の副隊長をしていますパク・チュヨンです。」
黒髪ショートのスレンダーな女性。ひかりの会特攻部隊副隊長 パク・チュヨン 30歳。韓国・水原出身。テコンドーの使い手で、蹴り技が強い。続いて、四天王達も自己紹介をする。
「アンニョンハセヨ。四天王のチュ・ガンジです。」
四天王 チュ・ガンジ 34歳。韓国・蔚山出身。大柄で髪を結っている。元財閥社長のボディーガードをしていた経験がある。
「你好!我是李姚娥。」(こんにちは!私は李姚娥です。)
四天王 李姚娥(中国語:リー・ヤオアー 日本語:り・ようが)28歳。中国・瀋陽出身。白いチャイナドレスを着ている。青龍刀を武器にして戦う。
「アンニョンハセヨ。四天王のファン・ハンボです。」
四天王 ファン・ハンボ 28歳。韓国・ソウル出身。黒髪ショートで眼鏡をかけた青年。トンファーを武器にして戦う。
「アンニョンハセヨ。四天王のムン・スヨンです。」
四天王 ムン・スヨン 30歳。韓国・加平郡出身。茶髪ロングのアイドル並みの美貌の女性。統一教会から転身。メリケンサックで戦う。

 四天王達の紹介が終わり、親睦会として、それぞれの国の料理が振る舞われた。

日本
・寿司
・天ぷら
・おにぎり
・串カツ

韓国
・キムパ
・サムギョプサル
・参鶏湯
・チーズタッカルビ

中国
・マントウ
・干焼蝦仁
・回鍋肉
・水餃子

モンゴル
・ボーズ(モンゴル風肉まん)
・ホルホグ(蒸し肉)
・ショルログ(串焼き肉)
・ホーショール(ミートパイ)

立食パーティーの形となり、皆それぞれの料理に舌鼓を打つ。雫と玲奈も夢中になって食べる。
「中華美味しい~。」
「韓国料理も、中々ええ味やね。」
宴会が終わり、時刻は20時。信者達は帰路に着き、ドルガン達は大型船に戻る。お腹いっぱいになり、眠気がしてきた2人だが、車で尾行し、船に辿り着いた。
「中々の船ね。」
「船中泊してるんですかね。」
船は2隻あり、それぞれ定員は15人。中を覗き込むと、ベッドのようなものがある。
「ここに泊まってるんですね。」
気づかれないように、写真を撮り、その場を後にする。夜の闇の中、ポートアイランドから三宮へ戻る2人。
「あの外国人達、もしかしたら、ひかりの会から送られた刺客かもね。」
この夏、台湾と香港で暴れ回ったひかりの会から、送り込まれた刺客なのではないのか、と考察する雫。三宮へ着き、人気の少なくなった旧居留地エリアを走る。事務所は閉まっており、社用車を駐車する。
「玲奈ちゃん、ついたで。」
玲奈を起こし、所長に報告。所長が勤退時間を記録し、この日の仕事は終了。阪急電鉄 神戸三宮から電車で帰路に着く。お腹いっぱいの玲奈は、雫に寄りかかって寝ていた。
「玲奈ちゃん、楽しんでたな。」

 翌日、13時から出勤した雫と玲奈。この日は所長が休みで、陳が所長代理を務める。
「おはよう。」
「おはようございます。」
陳は、ミルクティーと珈琲を半々で混ぜた鴛鴦茶を飲んでいた。2人は昨日の調査結果をまとめあげる。16時から、ポートアイランドへ向かう。この日は電車で行った。なぜなら、この後から2泊3日の訓練合宿があるからだ。所長には、LINEで伝えている。神戸学院大学ポートアイランドキャンパスで、依頼人に経過を伝え、合宿に参加する。白装束に着替え、ワークを行う。夕食後、2人は勤から愛の儀式に誘われた。大浴場に誘われる。アロマが焚かれ、エロチズムな雰囲気がある。
「愛の儀式を行う。」
紙パンツを脱ぎ、裸になる2人。この後、一体何が?
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