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第5章 六凶編 VS ブラッディマリア・ブルードラグーン
第214話 日韓カルト同盟
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自殺未遂の女子高生を助けた勤。彼女からキム・サンホンという宗教家を、紹介してもらった。キム・サンホンは、韓国加平郡の山奥に、ひかりの会という宗教団体の拠点を持ち、同団体の教祖である。
「山奥に住んでいる、神聖な方です。」
「ほうほう、チベットのダライ・ラマのような方だね。」
女子高生と意気投合し、自宅に案内してもらった。勤は、その後、加平郡に行き、ひかりの会を訪れた。
「アニョハセヨ。私は、白木勤。日本の宗教家だ。」
教会内部に入り、キム・サンホンに謁見した。荘厳な雰囲気が漂う。
「アニョハセヨ、私は、ひかりの会教祖キム・サンホンだ。」
勤は、ひかりの会に入信。手続きを済ませ、4月から韓国に移住した。加平郡という郊外の都市の、更に山奥にある教会で、住み込みで働き、熱心に教えを吸収した。2020年代になり、聖女になるひかりに出会った。日本に帰国後、紆余曲折を経て、世界T教会を設立。東京に本部を構え、神奈川・千葉・京都・大阪・兵庫に拠点を設けた。
順風満帆な日々を振り返りながら、ハーバーランドの潮風に当たる。
「あの頃は幸せだったな…。」
だが、そんな日々は終わりを告げた。雅文によって、神戸支部は壊滅。猛毒獣大陸のエージェントによって、ひかりは暗殺された。その後、猛毒獣大陸に京都と大阪、ブルードラグーンに神奈川と千葉の支部を壊滅させられてしまった。
「私は、奴らを許さない!!」
勤は怒りに震える。ハーバーランドの海に煌めく夕陽が、どこか血の色のようであった。
神戸市中央区港島のポートアイランドに、本拠地を移した世界T教会。そのニュースは、全国に流れ、六凶達も観ていた。
「フフフ、あのカルト教団、神戸に都落ちしたのね。」
東京・新宿歌舞伎町にて。ブラッディマリアのボス エリカは、奴らを嘲笑う。大阪から連れてきたグリ下キッズ・路上生活者・3人の労働者達は、衣食住を保証された環境で、彼らの本拠地のビルで仕事を与えられ、充実の日々を送っていた。
「美味い飯が食えて、日雇いやない。毎日、安定した仕事が得られて、武術訓練で身体も鍛えられてる。ここは天国や。」
西成のあいりん地区で、その日暮らしの不安定な生活をしていた時に比べれば、ブラッディマリアでの生活は楽園だ。
「世界T教会か。そういや、大阪にも、奴らの分派がおったな。」
「まぁ、でも、俺達はここに救われたんや。あんなカルト教団に狙われなくて済んだんや。」
愛知県の山奥に拠点を構える、武闘派のレッドキングダムは、海外への傭兵派遣に勤しんでいた。
「ハッハッハッ!!!アジアの動乱で、俺達は儲かってるな!!!」
ボスの刈谷は高笑いしていた。ひかりの会の東アジア征服作戦は、台湾と香港で敗北を喫して失敗に終わった。側近のビキニアーマーの女性は、奴らの動向を推測する。
「フフ、奴らがまた東アジア征服に乗り出したら、日本と中国を狙うかも。」
「ほうほう。中国か。その昔、日中戦争で日本軍が直接、中国大陸に乗り込んだな。」
もう1人、側近より更に若い女子が、その話に食いつく。
「えー!!日本って、中国と戦争したんですか!?」
「あぁ。大日本帝国と中華民国の戦争さ。序盤こそ南京や重慶を陥落させたが、中国大陸は広い。点と線(都市と鉄道)の占領しか出来ず、泥沼化して長期戦に引きずり込まれて敗れた。だから、あんなカルト教団如きが、中国を占領なんて無理だ。」
世界T教会との対決はしないようだ。戦いを挑む者達が出てくれば、その動向を見守り、奴らが壊滅した時に、ひかりの会壊滅を狙う。沖縄本島より遥か遠くの人工島にいるブルードラグーン。奴らの動きをチェックする。
「奴らが行動を起こせば、叩き潰しにかかる。」
兵力を整え、乗り込む準備を始める。
そして、11月下旬。肌寒くなって来た頃。世界T教会の恐るべき計画が、進んでいた。勤は、韓国・加平郡のひかりの会とZoomでやり取り。相手は、教祖のキム・サンホンである。
「アンニョンハセヨ。キム様。」
「アンニョンハセヨ、我が同志の勤よ。」
ひかりの会では、北朝鮮からの脱北者や、中国・モンゴルからも信者が来ており、規模は拡大している。兵力も増し、韓国制覇に乗り出そうとしていた。
「我々の野望は、こうだ。」
韓国は、経済成長しているが、儒教に基づく旧態依然とした思想・過度な競争社会・財閥が牛耳る経済などで、閉塞感が漂い、OECD加盟国で最も自殺者が多いと言う現状にあり、若者から「ヘル朝鮮」と揶揄されている。そんな現状を変えるべく、「愛・調和・力」の名の下に、政権を倒して、国家元首になり、愛の楽園を築く、という壮大な野望がある。これに対し、韓国政府は、ひかりの会をカルト教団と見做し、危険視している。キムが国家元首になれば、今の北朝鮮やかつての文化大革命期の中国や、スターリン政権下の旧ソ連のような過剰な個人崇拝による独裁体制になりかねない、と韓国政府・韓国メディアは警戒している。
「素晴らしい野望ですね。私もそう思っている。韓国の現状が「「ヘル朝鮮」」。これは他人事ではない。「「ヘル朝鮮」」だけでなく、「「ヘル・ジャパン」」と言われる日が来てしまう、という危機感はあります。」
勤は、キムの野望に賛同する。
「我々は、兄弟だ。この野望のために、同盟を結ぼうではないか。」
「はい、キム様。」
こうして、日韓カルト同盟が結成された。恐るべき野望が動き出す…。
「山奥に住んでいる、神聖な方です。」
「ほうほう、チベットのダライ・ラマのような方だね。」
女子高生と意気投合し、自宅に案内してもらった。勤は、その後、加平郡に行き、ひかりの会を訪れた。
「アニョハセヨ。私は、白木勤。日本の宗教家だ。」
教会内部に入り、キム・サンホンに謁見した。荘厳な雰囲気が漂う。
「アニョハセヨ、私は、ひかりの会教祖キム・サンホンだ。」
勤は、ひかりの会に入信。手続きを済ませ、4月から韓国に移住した。加平郡という郊外の都市の、更に山奥にある教会で、住み込みで働き、熱心に教えを吸収した。2020年代になり、聖女になるひかりに出会った。日本に帰国後、紆余曲折を経て、世界T教会を設立。東京に本部を構え、神奈川・千葉・京都・大阪・兵庫に拠点を設けた。
順風満帆な日々を振り返りながら、ハーバーランドの潮風に当たる。
「あの頃は幸せだったな…。」
だが、そんな日々は終わりを告げた。雅文によって、神戸支部は壊滅。猛毒獣大陸のエージェントによって、ひかりは暗殺された。その後、猛毒獣大陸に京都と大阪、ブルードラグーンに神奈川と千葉の支部を壊滅させられてしまった。
「私は、奴らを許さない!!」
勤は怒りに震える。ハーバーランドの海に煌めく夕陽が、どこか血の色のようであった。
神戸市中央区港島のポートアイランドに、本拠地を移した世界T教会。そのニュースは、全国に流れ、六凶達も観ていた。
「フフフ、あのカルト教団、神戸に都落ちしたのね。」
東京・新宿歌舞伎町にて。ブラッディマリアのボス エリカは、奴らを嘲笑う。大阪から連れてきたグリ下キッズ・路上生活者・3人の労働者達は、衣食住を保証された環境で、彼らの本拠地のビルで仕事を与えられ、充実の日々を送っていた。
「美味い飯が食えて、日雇いやない。毎日、安定した仕事が得られて、武術訓練で身体も鍛えられてる。ここは天国や。」
西成のあいりん地区で、その日暮らしの不安定な生活をしていた時に比べれば、ブラッディマリアでの生活は楽園だ。
「世界T教会か。そういや、大阪にも、奴らの分派がおったな。」
「まぁ、でも、俺達はここに救われたんや。あんなカルト教団に狙われなくて済んだんや。」
愛知県の山奥に拠点を構える、武闘派のレッドキングダムは、海外への傭兵派遣に勤しんでいた。
「ハッハッハッ!!!アジアの動乱で、俺達は儲かってるな!!!」
ボスの刈谷は高笑いしていた。ひかりの会の東アジア征服作戦は、台湾と香港で敗北を喫して失敗に終わった。側近のビキニアーマーの女性は、奴らの動向を推測する。
「フフ、奴らがまた東アジア征服に乗り出したら、日本と中国を狙うかも。」
「ほうほう。中国か。その昔、日中戦争で日本軍が直接、中国大陸に乗り込んだな。」
もう1人、側近より更に若い女子が、その話に食いつく。
「えー!!日本って、中国と戦争したんですか!?」
「あぁ。大日本帝国と中華民国の戦争さ。序盤こそ南京や重慶を陥落させたが、中国大陸は広い。点と線(都市と鉄道)の占領しか出来ず、泥沼化して長期戦に引きずり込まれて敗れた。だから、あんなカルト教団如きが、中国を占領なんて無理だ。」
世界T教会との対決はしないようだ。戦いを挑む者達が出てくれば、その動向を見守り、奴らが壊滅した時に、ひかりの会壊滅を狙う。沖縄本島より遥か遠くの人工島にいるブルードラグーン。奴らの動きをチェックする。
「奴らが行動を起こせば、叩き潰しにかかる。」
兵力を整え、乗り込む準備を始める。
そして、11月下旬。肌寒くなって来た頃。世界T教会の恐るべき計画が、進んでいた。勤は、韓国・加平郡のひかりの会とZoomでやり取り。相手は、教祖のキム・サンホンである。
「アンニョンハセヨ。キム様。」
「アンニョンハセヨ、我が同志の勤よ。」
ひかりの会では、北朝鮮からの脱北者や、中国・モンゴルからも信者が来ており、規模は拡大している。兵力も増し、韓国制覇に乗り出そうとしていた。
「我々の野望は、こうだ。」
韓国は、経済成長しているが、儒教に基づく旧態依然とした思想・過度な競争社会・財閥が牛耳る経済などで、閉塞感が漂い、OECD加盟国で最も自殺者が多いと言う現状にあり、若者から「ヘル朝鮮」と揶揄されている。そんな現状を変えるべく、「愛・調和・力」の名の下に、政権を倒して、国家元首になり、愛の楽園を築く、という壮大な野望がある。これに対し、韓国政府は、ひかりの会をカルト教団と見做し、危険視している。キムが国家元首になれば、今の北朝鮮やかつての文化大革命期の中国や、スターリン政権下の旧ソ連のような過剰な個人崇拝による独裁体制になりかねない、と韓国政府・韓国メディアは警戒している。
「素晴らしい野望ですね。私もそう思っている。韓国の現状が「「ヘル朝鮮」」。これは他人事ではない。「「ヘル朝鮮」」だけでなく、「「ヘル・ジャパン」」と言われる日が来てしまう、という危機感はあります。」
勤は、キムの野望に賛同する。
「我々は、兄弟だ。この野望のために、同盟を結ぼうではないか。」
「はい、キム様。」
こうして、日韓カルト同盟が結成された。恐るべき野望が動き出す…。
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