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第5章 六凶編 VS ブラッディマリア・ブルードラグーン

第184話 変態紳士軍団

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 あのオジサンは、変態紳士軍団メンバーのロンドン・ロックス伯爵で、大柄な中年男性。気づかれないように尾行し、山手線で新宿から渋谷へ向かった。
「わー!!!」
「色んな意味でスゴー!!!!」
東京都渋谷区。山の手の新宿・池袋と並ぶ3大副都心で日本有数の繁華街である。東急百貨店・渋谷PARCO・渋谷109・渋谷スクランブルスクエアなどが建ち並び、若者の街としてサブカルチャーの中心となっている。
「この群衆、まるでサイレントマジョリティーやな。欅坂46だけに。」
「雅文、意外とアイドル好きなのね。」
人混みの中で、先程の中年男性を発見。彼は待ち合わせで有名な忠犬ハチ公の像に向かう。気づかれないように、彼を見張る。彼は小さな双眼鏡で、渋谷の街を観察。
「ほうほう、可愛い子がいっぱいいるな。」
電話がかかって来たようで、彼は通話する。雅文はそっと近づき、ハチ公の裏に盗聴器を仕掛ける。近くの物陰から通話を盗聴する。 
「もしもし、福田くんか。どこにいるんだい?」
「今、渋谷スクランブルスクエアにいます。ジョニーも一緒にいます。」
「分かった。もう少しでフェチズム男爵と中田くんも来るよ。」
「その時に、また電話下さい。カメラ準備しますので。」
「OK。」
盗聴した内容によると、フェチズム男爵・ロンドン・ロックス伯爵・中田くんと福田くんとジョニーは別行動で、演者とカメラマンは上手く別れている。雅文は、美夜子・風香・このはに待機するよう伝え、しばらく盗聴する。彼は再び電話がかかって来たので、通話する。
「もしもし、フェチズム男爵と中田くんか。今どこだい?私は、ハチ公前にいるよ。」
「ハチ公前か。ちょっと待っててくれ。今行くから。」
変態紳士軍団に会えると知り、興奮を隠しきれない2人。
「変態紳士軍団が目の前に来るんや!」
「サイン欲しい!」
興奮する2人を、雅文がなだめる。尾行は気づかれたら終わり。
「まだや。まだ行ったらアカン。」
しばらくすると、渋谷駅出口から、2人の男性が来た。1人は恰幅のいい大柄なオジサン、もう1人はリュックを背負った細身の青年。白いTシャツには「変態」と書かれている。合流出来たところで、3人が会話する。
「フェチズム男爵、今日はトレンチコートを着ているのか。」
「あぁ、この下はスクール水着だ。」
「今回の動画のタイトル「「スク水オジサンが女子を追いかける」」。これで行こう。」
3人が動いたのを見て、雅文は盗聴器を回収。尾行を続ける。

 渋谷スクランブル交差点は、大規模な歩行者天国でもあり、多くの人が行き交う。狭い土地に若者や時代のトレンドが凝縮されている。渋谷109の前まで移動。若者のファッションやサブカルチャーの象徴的な場所で、多くの若者で賑わう。観察する雅文達。すると、109から2人の若い女性が出て来た。1人は金髪ロングで黒いTシャツとズボン、もう1人は黒髪ロングで白いTシャツとズボン。その背後にフェチズム男爵が近づく。トレンチコートを中田くんに脱がしてもらうと、下はワンピースタイプのスクール水着。脇毛やスネ毛は綺麗に処理されている。そこにサングラスをかけ、信号が変わったと同時に走り出す。
「お嬢さん、キミ可愛いね~!!」
「イヤァ!!!!」
「変態だぁ!!!」
一定の距離を保った追いかけっこ。この様子を観察する雅文達。美夜子は乱入しようとするが、雅文は制止させる。よく見ると、彼女達には笑顔があり、フェチズム男爵は触れないように距離と速度を保っている。ロンドン・ロックス伯爵と中田くんは彼女達を観察し、気づかれないようにしている。彼女達と別れた所で、会いたがっている風香とこのはを行かせた。
「あの、もしかして「「変態紳士軍団」」さんですか?」
地雷系ファッションとは裏腹の礼儀正しさのギャップに、少し驚いたが、彼らも紳士として対応する。
「あぁ、その通り。私は、「「変態紳士軍団」」リーダーのフェチズム男爵だ。」
「男爵さん、コート着たほうがええんちゃいます?」
このはの指摘を受け、中田くんがコートを着せてあげた。紳士服のオジサンも自己紹介。
「同じく私は、ロンドン・ロックス伯爵だ。」
Tシャツの彼も自己紹介。
「僕は中田です。」
渋谷スクランブル交差点の前で、人通りもかなり多い。ロンドン・ロックス伯爵はカメラマン2人に電話。フェチズム男爵と連携の取れた動き。男爵は2人にこう言った。
「ここは人通りが多いからな。せっかく我々のファンに出会えたんだ。立ち話もなんだから、近くのカフェにでも行かないか?我々が金を出すよ。」
「えっ?いいんですか?!」
「男爵、太っ腹~!!」
行き先は恵比寿にあるセガフレード・ザネッティ。雅文と美夜子も尾行してついて行く。

 憧れの人に会えて、大喜びの風香とこのは。ここまでの苦労が報われ、安堵する雅文と美夜子。人探しの調査としては、成功という形で、後日報酬金などの交渉をする。ひとまずは店内の離れた席から、様子を見守る。セガフレード・ザネッティ恵比寿プライムスクエア店。カメラマンの福田くんとジョニーも、離れた席から見守る。ここでは撮影しない。フェチズム男爵は、ロンドン・ロックス伯爵・中田くんにカプチーノ、福田くん・ジョニーにレモンティ(アイス)、風香とこのはにカフェ・マキアートを奢り、自分はエスプレッソを注文した。フェチズム男爵は、トレンチコートを着て、優雅にエスプレッソを飲むが、下はスクール水着である。
「改めて、私は「「変態紳士軍団」」リーダーのフェチズム男爵だ。君達はどこから来たんだい?」
「大阪から来ました。」
「ほうほう、はるばる関西から我々に会いに来てくれたんだな。嬉しいよ。」
フェチズム男爵に続き、他のメンバーも自己紹介。
「ロンドン・ロックス伯爵です。」
「中田です。」
「カメラマンの福田です。」
「同じくジョニーです。」

変態紳士軍団
リーダー 
フェチズム男爵
本名 山本豪太郎
生年月日 1982年9月12日
出身地 東京都

メンバー 
ロンドン・ロックス伯爵
本名 沼田篤史
生年月日 1982年6月5日
出身地 東京都

中田くん
本名 中田弘樹
生年月日 1998年10月10日
出身地 千葉県

カメラマン
ジョニー
本名 ジャクソン・アルバレス
生年月日 2002年11月11日
出身地 アメリカ・フロリダ州

福田くん
本名 福田浩一
生年月日 2002年7月16日
出身地 神奈川県

発端はフェチズム男爵。彼は美術大学で、映像学を学び、映像会社に勤めていた。YouTubeやInstagramを駆使し、それらに大いなる可能性を感じた彼は、独立してYouTuberとしてデビューした。ロンドン・ロックス伯爵は失業して打ちひしがれていた所を、彼に拾ってもらった。中田はアニメ会社に勤めるも、過酷な環境に耐えきれず退職。彼に出会い、3人でスタートした。当初は、交代交代で撮影を担当。海外では、韓国・香港・アメリカなどで撮影した。そうしていると、再生回数が増え、知名度も増した。カメラマンとしてジョニーと福田が加入して現在に至る。
「スゴイです。」
「ハッハッハッ!私もファンに会えて嬉しいよ。」
こうして、案件は無事に解決した。

 最終日、東京駅に来た一同。新幹線で大阪へ帰る。トー横界隈にて、怪しげな奴らが暗躍していた。
「アイツらが神田雅文と桐島美夜子か。」
「エリカ様の生け贄にしてやりたいわ。」
奴らは一体?
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