Pieces of Memory ～記憶の断片の黙示録～

第5章 六凶編 VS ブラッディマリア・ブルードラグーン

第179話 世界T教会

　2月上旬、東京都奥多摩町のとある場所で何やら、怪しい儀式が行われていた。純白の教会があり、その前の庭で火を焚いている。白装束を着た数人の男女。ここは、世界T教会東京本部の持つ別荘兼教会である。
「愛・調和・力。これこそが全て。愛は調和によって保たれ、調和は力によって守られる。調和を乱す者は、力で制裁する。これにより調和は保たれる。」
理念を唱和し、祈りを捧げる。

世界T教会 東京本部
教祖 白木勤
出家信者 高橋優奈
　　　　 奥田美玖里
　　　　 片山純一
　　　　 中山卓
　　　　 小川茉莉子
信者 9人

この日は、祈りを捧げて終了。教会に戻り、出家信者と教祖だけで話す。円卓に座り、教祖が話し始める。教祖 白木勤。1985年 東京都で生まれた。成人してから、宗教に目覚め、単身で韓国へ渡航。世界平和統一家庭連合を経て、ひかりの会に入信。帰国後に、世界T教会を設立。ホーリーネームは、ガルガン・ポチェ。
「話は、昨年の夏に遡る。我々と同盟を組んだ百鬼夜行之衆が、関西の探偵連合軍と福岡の心霊体験 桐原孝太郎の手によって、壊滅させられた。殺し屋集団の猛毒獣大陸は、アイツらは殺し屋だから自業自得だ。まさか、探偵に潰されるとは、思わなかった。」
教祖の話を、皆は真剣に聞く。
「そして、その探偵連合軍には、神田雅文と言う者がいる。皆、覚えているだろう。昨年の春に、我々世界T教会 神戸市部が奴らに潰されたことを。我々の聖女として期待していた笹川ひかりが、命を落とした悲劇を！！」
教祖は語気を強めた。笹川ひかりは、18歳にして聖女と呼ばれ、期待されていた逸材。最後は、猛毒獣大陸のエージェントに殺されて死亡した。
「そうですね、奴らは許せませんよ！！」
「必ず復讐してやりましょう！！」
他の出家信者達も、復讐を望む。

　白木勤が期待を寄せている出家信者5人について、深堀りして行こう。

1 高橋優奈
生年月日 2003年5月5日
出身地 東京都
容姿 茶髪ロング・スレンダー
芸術に精通している。破滅的思考を持っており、暴れると手が付けられない。

2 奥田美玖里
生年月日 2005年6月17日
出身地 青森県
容姿 黒髪ボブ・背が小さい
出家信者で最年少。イタコやシャーマニズムを信仰しており、呪いにも詳しい。

3 片山純一
生年月日 2003年1月5日
出身地 神奈川県
容姿 黒髪・細身・長身
ニヒルな感じの青年。拳法の使い手。キリスト教を信仰していた。

4 中山卓
生年月日 2002年7月7日
出身地 東京都
容姿 黒髪・大柄
サングラスをかけた青年。出家信者で最年長。瓦30枚割れる程の怪力。

5 小川茉莉子
生年月日 2003年12月12日
出身地 東京都
容姿 黒髪ロング・両腕にタトゥー
黒髪ロングの細身の女性。高校生の頃に、同級生を殺害したことがある。ナイフ使い。

裏社会の列強 六凶の百鬼夜行之衆と猛毒獣大陸が陥落したことを受け、世界T教会も、この覇権争いに乗り込むことにした。
「我々も、この覇権争いに乗り込む。我らの親は、ひかりの会。残る六凶は、ブラッディマリア、ブルードラグーン・レッドキングダム・デスサーカス。奴らを一掃し、我々の理想とする「「愛・調和・力」」の世界を作ろうではないか！！！」
「はい！！！！！！」
これに、出家信者達も呼応する。世界T教会の恐るべき野望が動き出す…。

　1人、自分の書斎で寛ぐ勤。書斎には、ひかりの遺影が置かれている。沁み沁みと、ひかりとの懐かしい日々を振り返る。

　初めて出会った時、ひかりは17歳だった。あどけない少女だが、どこか神秘的な雰囲気を感じた。
「私は、世界T教会の教祖 白木勤。またの名を、ガルガン・ポチェ。」
「教祖様、お会い出来て光栄です。私は、笹川ひかり。神の子です。」
聖女になるための試練を乗り越え、ひかりは聖女になった。愛の儀式では、出家信者と共に、全裸で性交を楽しんだ。
「ひかり、ここに聖水を出すのだ。」
「はい、教祖様。」
バケツに中腰で屈み、勢い良く放尿した。
「ふぅ～、気持ちいい～。」
「我が娘のようなひかりよ。神の聖水を出すがいい。」
その後、聖水を浴び、洗礼を終えて皆から認められた。肉体関係も結んでおり、娘のように可愛がっていた。だが、昨年の戦いでひかりが死亡。神戸の病院の霊安室で、冷たくなったひかりを見て、彼は悲嘆に暮れた。
「おぉぉぉぉぉ！！！！！ひかり！！！私の聖女が！！！！」
ひかりと母親の遺体を引き取り、手厚く葬儀し、墓地に埋葬した。
「奴ら、必ずや潰してくれる…。」
雅文達への復讐に燃える…。

　一方その頃、お隣の韓国はソウルから離れた郊外の京畿道北東部にある加平郡(カピョングン)という村の山奥に、大きな教会と小さな村のようなコミュニティがあった。ここは、世界T教会の親元 ひかりの会総本部である。韓国の旧正月が終わり、閑散としている。そこにいる1人のオジサン。
「あぁ…。我らが期待した聖女のひかりが亡くなって1年、寂しいものだ…。」
マッコリを飲みながら、ひかりの死を悼む。ひかりの会 3代目教祖 キム・サンホン。彼の下にいる5人の神の子、と呼ばれる者は、初代教祖 キム・ハンジが開祖となった際に、入信した者達の子孫である。この日の夜、彼ら彼女らと話す。
「我々の理想の世界を、実現する時が来た。世界T教会の聖女 ひかりの無念を晴らし、彼女の命を奪った日本の憎き探偵共に復讐するぞ。我ら朝鮮民族の「「恨」」(ハン)の力を見くびるなよ…。」
韓国から、六凶の覇権争いに乗り込もうとするひかりの会。日韓のカルト教団勢力により、東アジアを巻き込む動乱が起ころうとしていた…。