Pieces of Memory ～記憶の断片の黙示録～

第5章 六凶編 VS ブラッディマリア・ブルードラグーン

第171話 それぞれの年越し

　一方、香港に行っていた所長達。大晦日を香港で迎えた。修行2日目。朝は、ホテルのビュッフェスタイルでいただく。香港は温暖な気候で、12月も日中は半袖で過ごせる。
「いい天気ね。」 
「さて、今日も頑張ろう。」
朝食を済ませ、トレーニングウェアに着替えて九龍公園に移動。レンタルしたマイクロバスでマカオへ行く。香港からマカオまで、陸路からでも行けるようになった。港珠澳大橋を通り、1時間足らずでマカオに到着した。世界遺産の美しい街並みに、西洋の世界観が凝縮され、見る者を魅了する。マカオでの修業は、尾行練習。面積30㎢だが、人口65万人の人口過密都市のマカオ。その中で、世界遺産が密集しているマカオ半島にて、尾行練習を行う。アリスとウォンが監督を行う。組み合わせを決め、ターゲットが指定された目的地へ向かう。それを気づかれずに尾行し、目的地へ着いた時点でタッチすれば勝利。ただし、ターゲットに振り向かれ「等一下」（ドンイーシャ）「ちょっと待って」と言われたり、見失ってしまえばゲームオーバー。組み合わせは、こうなった。

景満VSアグネス
雫VSラム
陳VSリー

1本目　景満VSアグネス
目的地は、聖ドミニコ教会。モザイク状の石畳が美しいセナド広場からスタート。ヨーロッパ風の街並みに魅了されながらも、元警察の景満は慣れた動きで気づかれない。そして、気づかれることなく、アグネスをタッチして勝利。
「私の勝ち。」
「流石ですね。」

2本目　雫VSラム
目的地は、モンテの砦。1617～26年にイエズス会の修道士によって築かれた要塞。近くには、グランドリスボアというホテルが聳え立つ。
「変わった形やな。」
雫はアイドル時代に香港を訪れたことはあるが、マカオは行ったことが無い。土地勘の乏しさを何とかカバーしながら、尾行を進めたが、振り向かれ「等一下」と言われ、ゲームオーバー。
「悔しい～。」
「まだまだ。」

3本目　陳VSリー
目的地は、マカオ博物館。陳は香港で探偵をしていた頃に、マカオも行ったことがあり、土地勘は抜群。リーは、チラチラ後ろを振り向きながら、途中駆け足で撒こうとしたが、陳もスピードについていき、リーをタッチして勝利。
「中々やるようだな。」
「ブルース・リーの道はまだまだ遠い。」

その後は、マカオ半島でランニングなどのトレーニングを行い、昼食はマカオ料理をいただいた。香港に戻り、クールダウンやシャワーなどの小休止を経て、九龍公園でトレーニング。カンフーの動きや技を覚え、鍛え上げていく。
「ジャッキー・チェンの映画みたい。」
「彼は凄いよ。」

　夜になり、辺りはネオンが灯り、夜景が煌びやかに輝く。トレーニングが終わり、旺角の探偵事務所で交渉。京都・大阪・神戸の支部を束ねるクイーンオブアリス探偵事務所の所長と代表取締役社長である黒川アリスは、海外の探偵とビジネスパートナーとして提携することを考えていた。アリスは、マレーシアで外資系企業で働いた経験があり、現地とイギリスで探偵について学んだことがある。香港もマレーシアと同じく、イギリスの旧植民地ということが共通している。陳とウォンの単なる個人的関係にだけ留まらせるのはもったいない。ビジネスパートナーとして提携すれば、強力な関係を築けられ、相互発展の可能性も広がる。アリスはそう感じた。
「ミス・アリス。中々面白いアイディアですね。気に入りました。」
「貴方方の若い力は素晴らしい。いいパートナーになれるわ。」
こうして、クイーンオブアリス探偵事務所と黄仙探偵事務所、日本と香港の探偵同士のパートナーシップが築かれた。それを記念して、夕食は銅鑼湾にある広東料理の名店 西苑酒家（サイユンジャウガー）で広東料理をいただく。
「陳、ありがとう。君達のパートナーになれるなんて光栄だよ。」
「互いに頑張ろう。」
ここでウォンが、この店の名物を注文。その名も「大哥叉焼」（ダイゴチャーシュー）。肉厚な豚もも肉を、蜂蜜入りの甘いタレに漬け込んでロースト。大哥は広東語で「兄貴」と言う意味で、香港のスター ジャッキー・チェンの愛称でもある。
「これは、ジャッキー・チェンがリクエストした料理だ。」
「陳、お目が高いな。」
これからの互いの繁栄と発展を祈り、両事務所所長同士で食べさせあう。
「フフ、ロマンチックやな。」
「ブルース・リーとアニータ・ムイみたい。」
香港で大人な夜を過ごした。

　熱海では、玲奈が提案した部屋分けにより、面白い夜になっていた。夕食は、寿司を腹いっぱい食べた。まるで修学旅行の夜のように、賑やかであった。雅文と美夜子は諒と和史と同部屋。マジシャンの諒が、余興代わりにマジックを披露。
「凄い。」
「トランプマジックは、序の口さ。」
夏の百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸との戦いをYouTubeで一部始終見ていた諒と和史。2人から戦いのことについて聞かれ、雅文と美夜子は1つ1つ真摯に答えた。玲奈が仕切っていた部屋では、昭二と哲二が穂香・葉月・瑠奈とウハウハになっていた。
「うひょー。下着姿もいいね～。」
「蜜壺姫、サイコー。」
穂香・葉月・瑠奈は下着姿を見せて誘惑する。すると、玲奈がSM嬢の格好で登場。
「生で見る？SMショー。」

　香港にいる所長達は、明日はカンフーバトルを行うということで22時にはホテルに戻った。
「アリスさん、ホンマに凄いですね。」
「ありがとう。海外でのビジネスは楽しいわよ。」
アリスは大学卒業後、就職先でマレーシアに移住。英語力を磨き、マレー系・華僑・印僑とも交流し、ビジネスを展開した。貪欲に文化を学んでいく姿勢は、所長になっても変わらない。明日に向けて、しっかりと身体を休める。

　雅文・美夜子・諒・和史は「ゆく年くる年」を見ながら、除夜の鐘を聞いていた。一方で、玲奈達は、全員全裸になり、エッチな遊びに興じていた。コンドームをしっかり着用し、ハーレム状態に。
「玲奈ちゃん、腰振りエロいな～。」
「せやろ？ほら、玲奈と繋がってるやろ？あぁ、あん！気持ちいい～！！」
最後はカウントダウンと同時に絶頂。
「穂香のオマタ、トロトロして来る～！」
「あぁん！いい！もっと、もっとしてぇ～！！」
「あん、あぁ！ご主人様ぁ！」
「玲奈も気持ちいい～、あぁ、あんっ、みんな、せーのっ！」
「イクゥ～！！！！！」