Pieces of Memory ～記憶の断片の黙示録～

第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第162話 美鈴VS姦姦蛇螺

　猛毒獣大陸は、これで壊滅し、残る敵は百鬼夜行之衆だけとなった。ボスの曼珠沙華・三妖魔の姦姦蛇螺・沙羅魔のみ。壇之浦での戦いで、探偵連合軍の神田雅文・西嶋満・西村博之は、戦闘を終えて座り込んでいる。福岡から来た桐原孝太郎・神崎悠・曽山京子の3人のおかげで、戦況は有利になった。
(残り敵は、あの3人か…。)
雅文は、肩で息をしながら、戦況を見守る。ここで敗れれば、全ては水の泡になってしまう。最後まで気が抜けない。

河村美鈴VS姦姦蛇螺
下半身が大蛇の姦姦蛇螺は、その巨体に似合わず、俊敏な動きで美鈴に襲い掛かる。
「観念しなさい！」
「わぁ！！」
牙は猛毒で、腐食性の毒を有する。鱗で覆われた皮膚は頑丈で、刀では斬れない。どうやれば、攻略出来るかと美鈴は苦悩している。
（あの蛇の化け物、胴体は人間やんね。てことは、接近してきた時に攻撃すればええな。）
蛇螺は再び襲い掛かるが、それをかわし、顔面に蹴りを入れた。
「ウグゥ！」
「アンタにも、攻撃は当たるんやな。」

桐原孝太郎VS曼珠沙華
妖怪女帝の霊力は凄まじく、並大抵の呪いは効かなかった。
「藁人形、金縛り！！」
「わらわに、藁人形など効かぬ！！」
掌から出た鬼火が、藁人形を燃やし、悠と京子に襲い掛かる。
「うわぁ！」
「小賢しい小娘が、焼き殺してくれようか！」
大量の鬼火が襲い掛かるが、孝太郎が霊力で防御した。
「霊壁！！」
「孝太郎さん！！」
「悠！京子！奴は只者やなか！下がっとれ！！」
鬼火を防御した孝太郎を見て、好戦的な笑みを浮かべる。
「フフフ、お主も中々やるようじゃのう…。」
「心霊探偵として、やっとるけん！！半端な腕では務まらん！！」

音無玲奈VS沙羅魔
サキュバスである沙羅魔は、散弾銃で瞬殺にするより、肉弾戦で徐々に弱らせようと考えた。
「覚悟するがいい！」
「うぅ！」
肉弾の戦闘力も高く、重量のある拳は威力が高い。ここまで戦い通している玲奈は、疲労が溜まっており、パンチだけでもダメージが大きい。
「何じゃ、もう終わりか。」
「終わるか、このバケモノ！」
毒づく玲奈に、沙羅魔は猛攻を仕掛けようとする。
「死ねぇ！」
そこに悠と京子が援護する。
「封印 藁人形！」
藁人形の足を釘で刺し、沙羅魔の動きを封じる。
「ぬぅ、動けん！」
「あ、あなた達は？」
一昨年、福岡の旧犬鳴トンネルで一戦交えた2人が、援護してくれていることに玲奈は驚いた。
「久しぶりです、玲奈さん！」
「あの時は、すいませんでした！」
「ありがとう、助かったわ。」
動きを封じた沙羅魔に、玲奈が助走つけて殴りつけた。
「うぐっ！！」
「探偵ナメたらアカンで！！」

河村美鈴VS姦姦蛇螺
戦い続けて消耗している美鈴を、蛇螺はじわじわといたぶる。
「ハァハァ…。」
「フフフ、どこまでも逃げるがいい！！」
逃げるしかない美鈴、見兼ねた雅文が銃を渡した。
「雅文さん？」
「あの蛇の化け物、必ず弱点はある。火炎・電撃・冷凍、それらを駆使すれば倒せる。」
アドバイスを聴き、美鈴の闘志に火がついた。
「はい！！」
逃げることを止め、美鈴は蛇螺に立ち向かう。
「かかってきなさい！！」
「フフ、ようやく観念したか、死ねぇ！！」
食らいつこうとした蛇螺を、電撃銃で痺れさせる。
「サンダーボルト！！」
「ぐわぁぁぉぁ！！！！」
感電して弱る蛇螺に近づき、至近距離で火炎放射をお見舞い。
「ファイヤー！！」
「あぁぁぉぉ！！！！熱い！！熱い！！」
火だるまになった蛇螺は、燃える身体を引きずり、海に浸かる。電撃と火炎で弱りながらも、蛇螺は美鈴を睨みつける。
「ハァハァ…。貴様ァ！！！！」
向かって来る蛇螺に、最後は冷凍銃で攻撃。
「食らいなさい！！」
液体窒素による強烈な冷気で、海水に濡れた蛇螺の身体は忽ち凍りつく。
「な、ナンダこれハ…。」
凍結した蛇螺の背中に乗り、キャメルクラッチで真っ二つにした。落下した上半身は、いとも簡単に砕け散った。
○河村美鈴VS姦姦蛇螺●

　三妖魔を倒し、美鈴は緊張の糸が切れ、蛇螺の身体から落下。それを雅文がキャッチ。
「よくやった。美鈴ちゃん。」
「雅文さん、私は1流の探偵ですか？」
「あぁ、美鈴ちゃんは立派な探偵や。」
これで、百鬼夜行之衆の兵力は、曼珠沙華と沙羅魔だけとなった。

音無玲奈VS沙羅魔
姦姦蛇螺が倒され、沙羅魔は動揺を隠せなかった。
「まさか、蛇螺が敗れるなんて…。」
「フンッ、あんたらも終わりやな！！」
玲奈は、追討ちをかけるように沙羅魔に連続パンチをお見舞いする。沙羅魔は激怒し、目が赤く光る。
「な、何や？！」
「貴様ら、人間の分際で調子に乗りおって！！！！」
妖力を解放した沙羅魔は、藁人形の呪いを容易く打ち破った。
「また藁人形壊されたけん！！！」 
「こんなモノでわらわを封じられたとでも？！」
羽が生え、沙羅魔はアーマーのブラジャーを取り、Tバックだけとなる。
「玲奈より、オッパイ大きい…。」
「さて、玲奈と言ったか。中々可愛い女子じゃな。わらわの魔力に酔いしれるがいい。」
沙羅魔は目を見開き、玲奈を幻惑する。玲奈にしか分からないフェロモンのような霧が舞い、陶酔して恍惚とした笑みを浮かべる。
「何？なんか…。ムラムラしてきたぁ…。」
興奮した玲奈は、スーツを脱いでいき、下着姿になる。
「さぁ、お主…。わらわと性交をしようではないか…。」
不気味に微笑む沙羅魔。玲奈の運命は？！