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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第155話 武侠VS外道

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    残された探偵連合軍と百鬼夜行之衆 六道魔・猛毒獣大陸エージェントとの戦いが始まって、1時間が経過。時刻は20時を迎えた。現在の対戦構図はこうだ。

陳青鴻・桜木真帆VS闇医者
なんでもSちゃんVS霊姫
中村景満・烏丸雫VS牛頭・馬頭
萩野涼介・荒牧博子VSコモドドラゴン・ジギタリス

猛毒獣大陸もエージェントは、残り6人で手下は逮捕・死亡で全滅。

猛毒獣大陸 エージェント
ブラックマンバ・ジャイアントホグウィード
アフリカゾウ・大麻
コモドドラゴン・ジギタリス

百鬼夜行之衆 六道魔
餓鬼丸
伝蔵
淫魔香
闇医者
霊姫

戦いも白熱し、一歩も譲らない展開が続く。

中央棟 4階
「ハァハァ…。お母様とはぐれちゃった…。ここ、何処なん?」
西園寺薫と蛮奇那の戦いの最中、百鬼夜行之衆の妖怪に追われ、逃げ惑う内に薫とはぐれてしまった。メイド服で逃げる穂香だが、靴はヒールのため、走りにくく、足を痛めそうになっていた。背後から、大柄な男と不気味な雰囲気の女が来ていた。猛毒獣大陸エージェントのアフリカゾウ・大麻である。
「ハッハッハッ!!逃がさへんぞ!!パオーン!!」
猛ダッシュで駆け寄るアフリカゾウ、穂香は逃げ出そうとするが、躓いて転倒して、膝を擦りむいてしまった。
「痛い…。お母様、何処なん!!」
アフリカゾウは象牙をモチーフにした武器を手にはめ、穂香に襲いかかる。
「死ねぇ!!!」
(お母様、助けて!!)
そこに、美夜子が日本刀でアフリカゾウを斬りつけた。
「ぐわぁ!!!」
「誰?!」
アフリカゾウと大麻が、美夜子と対峙する。
「我輩は桐島美夜子。探偵である。こんなか弱い女の子を狙うなんて、殺し屋は外道ね…。我輩が地獄へ葬ってくれるわ!!」
穂香は、擦りむいた膝を庇いながら、美夜子を見つめる。
「探偵…。もしかして、雅文さんと玲奈さんの仲間ですか?」
不安そうに見つめる穂香。勇気づけるように、美夜子は返事した。
「ええ、雅文は私の相棒。玲奈ちゃんは私の仲間。そして、我輩は美夜子。2人の友達なら、私が守るわ。」
「美夜子さん!!」
そこにもう1人駆けつけた。
「骨のあるヤツおったー!!」
菅野雄介が、アフリカゾウに飛び蹴りをかました。アフリカゾウは吹っ飛ぶも、すぐに立ち上がった。
「あぁ?!お前も探偵の仲間か?!」
「そうや、俺は菅野雄介。武闘派や、よろしくな。」

桐島美夜子・菅野雄介VSアフリカゾウ・大麻

中央棟 3階
実験室
闇医者の放った毒矢には、病原菌の培養液が入っており、食らった人間は病気になる。
「うぅ!!」
病原菌ダーツの餌食となった真帆。猛烈な倦怠感に見舞われ、高熱に襲われた。
「真帆!!」
「身体が熱い…。息が苦しい…。」
仮面の下から不気味な笑みを浮かべる闇医者。
「フッフッフッ、その赤いダーツはな、エボラ出血熱×マラリアのウィルスを融合させたのだ。その名は、「「出血フィーバー」」だ!!!」
エボラ出血熱は、エボラウィルスが原因の感染症で、発熱・筋肉痛・頭痛に始まり、嘔吐・下痢・出血が出現する。マラリアは、マラリア原虫が引き起こす感染症で、発熱・筋肉痛・倦怠感を伴う。
「他にもあるぞ。コレラ×赤痢 「「レッドホワイトディアル」」。破傷風×狂犬病「「ブレイクボーンコンヴィルション」」。フハハ!!人体実験で効果は検証済みだ!!!」
ダーツを手に取り、高笑いする闇医者。ダークウェブでの臓器売買や債務不良に陥った人間に、闇バイトと称して連れ込み、人体実験を行っていた。この非道な行いに、陳の目に怒りが滲む。
「貴様、医者だろ?なぜ、このような人の命を弄ぶことが出来るんだ!!!!!」
「フフフ、貴様。731部隊というのを知っているか?」
731部隊とは、正式名称 関東軍防疫給水部で、部隊長の石井四郎の名を採り、石井部隊とも呼ばれた。満州国に本部を構え、捕虜達に生体解剖・病原菌注射・炭疽菌爆弾で爆撃など非道な人体実験を繰り返した。
「人体実験をしていた所ではないか?!貴様、それの真似事かー!!!!!」
「フフフ、もうじき、その真帆という小娘。内臓から出血して、骨が砕けるような痛みに襲われるぞ。心配するな。解毒剤と特効薬は持っている。だが、お前の前に立ちはだかる妖怪達を倒さなければ、私の元へは辿り着けない。フフフ、貴様らの犬死にだ!!!」
すると、銃声が鳴り響き、妖怪達は次々と撃破された。
「ここにおったんやな?邪魔者は片付けたわ。後は、貴方達2人でタイマン張りなさい。」
大阪支部所長の山本里奈。得意の拳銃で、妖怪達を一掃してくれた。陳は、真帆の様子を見るよう頼み、闇医者と対峙する。
「さて、これで1対1だな。」

陳青鴻VS闇医者
「フフフ、貴様が私に勝てるとでも?」
メスを手に持ち、振り回して襲いかかる。陳は攻撃をかわし、蹴りでメスを手放させた。すかさず、闇医者の両足を集中攻撃し、正拳突きをお見舞いした。
「ハイヤー!!!!」
「おぅ!!!!!!」
中国武術に長けている陳の猛攻に、思わず膝をついた。
「貴様、中々やるな…。」
「こんな命を弄ぶようなマネは止めろ…。」
闇医者も立ち上がり、すぐさまメスを振り回して反撃する。攻撃をかわす陳は、真帆の様子が気がかりであった。
(真帆、大丈夫か…。あともう少しだけ耐えてくれ!!)
「ゲホゲホッ!!」
真帆は血を吐いて苦しみ出した。心配する陳に、闇医者は毒づく。
「フフ、効き目が出たな。もうじき出血多量に加え、骨が砕けて死ぬ。「「ブレイクボーンフィーバー」」だ!!ハッハッハ!!!!!」
怒りが頂点に達した陳は、渾身の正拳で闇医者の仮面を砕いた。すると、顔の右半分に酷い火傷の痕がある醜い素顔が出てきた。髪は黒髪だが、右半分は生えていない。
「見たな、この私の素顔を!!!」
怒り狂った闇医者は、陳に殴りかかる。
「私は昔、優秀な医者だった!!!だが、新薬開発中の爆発事故で顔に大火傷を負い、仕事を失った!!!この顔のせいで、仕事を失った私は、百鬼夜行之衆に入り、生物兵器開発に勤しんだ!!!私は裏社会で闇医者として、生きることを選んだ!!!世の中の人間共は、私の実験動物、即ちモルモットなんだよぉ!!!!!!」
陳は全てかわし、闇医者のこめかみに飛び蹴りを食らわした。
「ぐわぁ!!!」
「心まで醜くなった哀れな者よ…。邪悪な心に染まった者は、地獄の裁きが待っておる!!!」
「地獄?!お前が死ねぇ!!!」
メスで刺しに来た闇医者をかわし、顔面に連続パンチをお見舞い。
「九龍大正拳!!!」
「ウベがロゴロブガボ!!!!ベアァァ!!!」
鼻血を出して、闇医者は倒れた。

○陳青鴻VS闇医者●
闇医者は警官に逮捕され、兵器などは全て押収された。解毒剤と特効薬で、真帆は回復した。
「ありがとう、陳さん。」
「よく戦ってくれたよ。」
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