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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第154話 残された者達の戦い

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   一方その頃、妖魔城での戦いは、それぞれバラけて、対戦相手が決まったようだ。
中央棟3階
実験室
闇医者は、1人で淡々と実験に没頭しており、人体模型と骨格標本は魂が宿り、陳と真帆に襲い掛かる。
「カカカ、魂をよこせぇ!」
死神の出で立ちをした骨格標本が、鎌を振り回して攻撃する。
「厄介だな…。この妖怪達は!!」
「あの闇医者も、何だか気味悪いです!」

中央棟4階
渡り廊下
「ギィヤァァァァァ!!!」
六道魔の1人 餓鬼丸が、猛毒獣大陸の手下から生気を吸い取り、ミイラにしていた。
「アァァァァ!!」
「まさか、この俺様がぁぁぁぁ!!!」
あっという間に、ミイラのように瘦せ細ったヒグマ・ドクニンジンは呆気なく倒され、窓から庭へ投げ捨てられた。
「生気を吸えば吸うほど、俺は強くなる!ハッハッハッ!!」

ヒグマ・ドクニンジン 脱落

一方、庭と城内で撃破された者から、逮捕していった警察達も、ただならぬ激闘が起きていることを感じていた。
「何や?!ミイラみたいになっとる!!」
「ただごとやないな。頼んだで、探偵達…。」
 
中央棟 4階
大広間
コモドドラゴンとジギタリス相手に、萩野涼介と荒牧博子が応戦していた。コモドドラゴンは大柄で素早く、ジギタリスは毒矢を飛ばす。

萩野涼介・荒牧博子VSコモドドラゴン・ジギタリス

「ただデカい訳やないんやな…。」
奪った武器で応戦する2人だが、相手はプロの殺し屋。伊達ではない。
「せやけど、ここでヤられてる場合やないよ。」
「ハッハッハッ!!殺し屋に喧嘩売った時点で、お前らは終わりや!!」 

中央棟5階 
天守閣
伝蔵VSアライグマ・スイセン
猛毒獣大陸 最高の甲クラスエージェントとだけあって、妖怪3体を消した。
「フフフ、鬼蟲・霊媒携帯・黒魔導、3体消しただけも十分やりおるな。さて、お前達、探偵と殺し屋共を全員始末してくるがいい。あっしは、コイツらを殺ろうか…。」
酒を飲みながら傍観していた伝蔵が、重い腰を上げて、刀を抜いた。飄々とした雰囲気とは裏腹に、背後からドス黒い殺気が漂う。
「侍か虚無僧か知らんが、お前1人ぐらい消したるわ!!」
「そうよ、所詮1人だけ!!首を取るのは簡単よ!!」
首を賭けたデスマッチと知り、伝蔵は斬りかかる体勢で構える。
「さぁ、お主ら来るが良い…。本気であっしの首を取れるならな…。」
向かってきたアライグマとスイセンの攻撃の軌道を読み、軽くいなしてから、目にも止まらぬ速業で、あっという間に2人の首を斬り落とした。
「殺し屋風情が…。あっしを殺せると思わないでくだせぇ…。」

アライグマ・スイセン 死亡
斬り落とした2人の首を見ながら、伝蔵は再び床に座り、グビグビと酒を呷った。
「壇之浦の方は、どうなることやら。」

 その頃、放たれた7体の妖怪達が探偵連合軍の前に立ちはだかった。
「何や、コイツは?!」
金棒を持った大型の牛と馬の妖怪。牛頭・馬頭である。

中村景満・烏丸雫VS牛頭・馬頭
「妖怪のようです、所長…。」
「コイツはただものでは無さそうやな…。」
鼻息を滾らせ、荒ぶる牛頭・馬頭。
「愚かな人間め、嬲り殺しにしてくれる…。」
「この小娘、捻り潰してやろうか…。」
金棒を振りかざして、襲い掛かって来た。
「何とか、この化け物を倒すしかない!」
「そうですね、所長!」
攻撃を避けながら、一進一退の状態で戦う。

西園寺薫・何でもSちゃんVS蛮奇那・霊姫
超能力による攻撃で、蛮奇那を圧倒している。
「くっ、超能力者が!」
「妖怪にも立ち向かえるんよ…。」
一方、超能力使いのSちゃんは、霊姫と互角に渡り合っている。
「まさか、戦国時代からの亡霊と戦えるなんて思わんかった。」
「近代化されたか、知らないけど、私は幽霊になってからは、先の世界大戦も知ってるから。」
三味線使いの蛮奇那の、音による攻撃も、薫は超能力で難なく防ぐ。
「攻撃が効かない!」
「さぁ、降参しぃや!」
手をかざし、強い念を込める。目は赤く光っている。手には大きな念力で出来た紫色の球が出てきた。
「食らえ、サイコブースト!!!」
「ギャアァァァァァァァ!!!!!!」
大爆発が起き、蛮奇那は妖力を失い、ボロボロになって倒れ込んだ。和服は破れ、肌は人間のものに戻っていた。薫は、手をかざして、蛮奇那の来歴を読み取った。
「成程、元は人間やったんやな。人間に戻った以上は、ウチは手を出さへんから。」
弱って、戦意喪失した蛮奇那を攻めずに、手を差し伸べて立たせる。
「ハァハァ…。生かしてくれるのか…。」
「うん。今、外には警察おるから。自首して罪を償うことや。そしたらやり直せるで。」
薫の優しい言葉に、蛮奇那は涙が零れた。蛮奇那に付き添い、薫は下の階へ下りた。

〇西園寺薫VS蛮奇那●

浮遊状態で戦うSちゃんと霊姫の戦いも大詰めである。
「さて、私も決着をつけるよ。」
「わらわの霊姫二刀流で切り刻んでくれようか!」

 その頃、百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸・探偵連合軍の主力は、壇ノ浦に到着した。夜の闇に包まれ、地獄への入り口が今にも開きそうである。
「フフフ、わらわは待ちくたびれたぞ。さぁ、やるか、お主ら。」
「妖怪がホンマにおるとはな。まぁ、エエわ。俺らはプロの殺し屋。お前らまとめて消したるわ。」
準備運動を済ませ、臨戦態勢になる雅文。
「妖怪女帝・殺し屋のボス、そして、我々、探偵。地獄へ墜ちるのは誰になるやら。バトルゲームの始まりや!!!」
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