Pieces of Memory ~記憶の断片の黙示録~

橋本健太

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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第152話 戦の掟

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   白熱の戦いが繰り広げられ、既に45分は経過した。妖怪達も徐々に頭数が減り、猛毒獣大陸のエージェント達も上層階へ辿り着いた。その頃、妖怪女帝 曼珠沙華と三妖魔、数体の妖怪達は、壇之浦へ向かう準備をしていた。
「何人ここへ来るでしょうね?」
「そうじゃのう。奴らの大将と共に、主力達を誘き寄せそう。」

   探偵連合軍は、それぞれ城の中央に辿り着き、作戦を練る。
「ここから上がれば、天守閣へ行ける。全員でなだめ込めば、敵に見つかるリスクは高い。」
京都支部 所長の西嶋は、冷静に戦況を分析し、作戦を立てる。各事務所から2人ずつ計6人を天守閣へ向かわせ、残りの12人で猛毒獣大陸エージェントと六道魔達を倒す、というもので攻める。行くのは、この6人となった。

西嶋満
河村美鈴
神田雅文
音無玲奈
西村博之
大野健介

「決まりやな。では、2人共、みんなを頼んだ!!」
西嶋は、景満と里奈に残りの者達を託し、中央棟から天守閣を目指した。一方、その様子を見ていた猛毒獣大陸エージェントも同じような作戦に出た。
「ほう、そういう作戦に出たか…。」
ボスのホオジロザメは、ほくそ笑みながら、天守閣へ向かう者を選抜し、テキパキと役割分担を行う。

ホオジロザメ・マンチニール
キロネックス・トリカブト
スローロリス・ケシ

この6人が天守閣を目指す。ここまで乙クラスエージェントのツキノワグマ・ドクゼリ、カツオノエボシ・キョウチクトウ ペアが撃破され、残るエージェントは10人となる。
「お前達、残りの敵は惨殺して構わん!!」

   天守閣を降りて、移動しようとしていた曼珠沙華達の元に、探偵連合軍と猛毒獣大陸エージェントが追いつき、鉢合わせとなった。
「ここか!!んっ?」
「おー、おー。お前らか…。探偵連合軍は…。」
曼珠沙華は、落ち着いて両軍を俯瞰し、静かに呟いた。
「お主達、よくぞ、わらわの元へ辿り着いた。わらわは、百鬼夜行之衆 妖怪女帝の曼珠沙華と申す。戦の掟として、まずは大将を生かすことじゃ。大将が殺られてしまえば、戦は終わり。この混線模様じゃから、お主らの大将と主力共々、ここから離れて戦おうではないか。」
現時点で、この場での戦意が無いことを知り、猛毒獣大陸のボス ホオジロザメは態度を軟化させた。
「ほうほう…。流石は六凶の大将とだけはある…。そう簡単に殺られたら、オモロないわな。よし、その提案に乗ったで!!」
全てを察した西嶋も、この提案に乗る。
「確かにな。この乱戦状態で、少しでも犠牲者を減らすには、いいアイディアや。で、どこでやるんや?」
両軍が提案に乗ったのを見て、曼珠沙華は行き先を伝える。
「わらわ達とお主らは、これから壇之浦へ向かう。その昔、源氏と平家の最後の戦いがあったのじゃ。そこで平家は滅亡。まぁ、お主らが最期を迎えるのに、ちょうどいい場所じゃ…。フフフ…。さぁ、わらわと行こうか…。」
不気味に微笑む曼珠沙華。その笑みは、狂気じみていた。一同は天守閣を降り、比叡山から京都市へ下りて、高速道路で壇之浦を目指す。

   全軍の大将と主力が、妖魔城から離れたことで、全軍の残る主力達はこうなった。

探偵連合軍
中村景満
烏丸雫
桐島美夜子
杉野京子

萩野涼介
荒牧博子
桜木真帆
陳青鴻

山本里奈
菅野雄介
中原優子 
城綾子

百鬼夜行之衆
六道魔
伝蔵
餓鬼丸
淫魔香
闇医者
霊姫
蛮奇那
妖怪軍団・手下

猛毒獣大陸
甲クラス エージェント
ブラックマンバ・ジャイアントホグウィード
アライグマ・スイセン

乙クラス エージェント
アフリカゾウ・大麻
コモドドラゴン・ジギタリス
ヒグマ・ドクニンジン
手下

「と、なれば我々の倒すべき敵は、ハッキリしてきたな。」
ここからは、景満と里奈が指揮を執る。百鬼夜行の妖怪達を撃破して、幹部達のいるフロアを目指す。

中央棟 3階
実験室
突入した陳と真帆。そこには、膨大な数の標本が置かれており、切断された人間の頭部・腕・足、更には内臓の液浸標本があった。
「うわっ…。気持ち悪い…。」
思わず目を背ける真帆。標本の他に、人体模型や骨格標本があり、霊力が宿って自分で動いている。奥の机で、フラスコやビーカーを使って、何かの実験をしている者がいた。
「フフフ…。貴様らか…。六凶に喧嘩を売った愚か者共は…。」
寒天培地には、大量の病原菌が培養されており、その際に出る異臭が鼻を衝く。ペスト医師が被っていたカラスのようなマスクを被った黒マントの不気味な雰囲気の男。
「うっ…。それは細菌兵器だな…。」
「フフフ、人体実験の始まりだ…。」

遊郭の間
狐の面を被った和服の女が、三味線を弾いている。そこに美夜子と景満が来た。
「何やここは、部屋を間違えたんか?」
通り過ぎようとする景満目掛けて、音波が飛んできた。
「蛮音 攻撃の音!」
大きな円が、景満に直撃した。
「ぐわぁ!」
「所長!」
駆け寄ろうとする美夜子の頭上から、着物を着た女の妖怪が現れた。
「フフフ、覚悟なさい。」
妖怪 天井下がりと串刺しになった生首がピョンピョンと飛び跳ねて現れた。
「稲生百物語のようやね。」
「私は、六道魔の1人 音の使い魔 蛮奇那と申す!生きて帰れると思うなかれ…。」

中央棟 4階
渡り廊下
ヒグマ・ドクニンジン ペアの前に、鎧を着た女戦士の亡霊が現れる。
「フフフ…。殺し屋か。私の足元にも及ばないわ…。」
「幽霊なんかおるかいな!!刻んでやるわ!!」

5階 天守閣
六道魔の残りの者は、戦況を見守っていた。
「あんっ…。あぁ…。アソコ、くちゅくちゅ気持ちいい…。」 
ビキニアーマーを脱ぎ、自慰に耽る淫魔香。
「あぁ!!肉美味いわ!!肉美味いわ!!」
骨付き肉をガツガツ貪る餓鬼丸。
「さて、あっしらは敵が来るまで待ちやしょう…。」
お猪口でチビチビと酒を飲む伝蔵。ただ者ではない奴ら。その実力は如何に?
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