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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第149話 妖魔大合戦

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    7月下旬、百鬼夜行之衆と猛毒獣大陸が作戦を立てて、8月7日に全面戦争をするということを、雅文達の上司であるクイーンオブアリス探偵事務所が、ダークウェブで特定した。所長の黒川アリスは、ウェブに精通しており、ダークウェブへのアクセス方法も熟知している。
「百鬼夜行之衆、大胆な宣戦布告ね。」
百鬼夜行之衆は、ダークウェブで猛毒獣大陸と探偵事務所を誘き寄せ、全面戦争に持ち込んで壊滅させるという狙いであった。日時は、8月7日 19時。場所は、比叡山の妖魔城。奴らの狙いは良く分かった。アリスは、すぐに事務所の探偵を集めて、作戦会議を行った。ダークウェブで入手した情報では、現在の奴らの戦力はこうだ。

百鬼夜行之衆
ボス 妖怪女帝 曼珠沙華
三妖魔 沙羅魔
    姦姦蛇羅
    羅暴鬼
六道魔 餓鬼丸
    伝蔵
          淫魔香
    闇医者
    霊姫
          蛮奇那
手下 180人
妖怪 100体

猛毒獣大陸
甲クラスエージェント
ボス ホオジロザメ・マンチニール
キロネックス・トリカブト
スローロリス・ケシ
ブラックマンバ・ジャイアントホグウィード
アライグマ・スイセン

乙クラスエージェント
アフリカゾウ・大麻
コモドドラゴン・ジギタリス
ヒグマ・ドクニンジン
ツキノワグマ・ドクゼリ
カツオノエボシ・キョウチクトウ
手下 20人

 これに対抗するには、傘下の京都・大阪・神戸支部が連帯して立ち向かう必要がある。会議を終えた後、アリスはこの旨を各探偵事務所に伝えた。

 8月1日、中村探偵事務所では、この日は全員出勤で、所長はアリスからの話を皆に伝えた。
「みんな、おはよう。とうとう六凶達との全面戦争となる時が来た。」 
真剣な面持ちで、これから全面戦争になるということを告げる。所長のただならぬ鬼気迫る様子に、皆は気が引き締まる。
「猛毒獣大陸とは、やり合ったな。」
「私達が撃破した連中より、もっと上の奴らと戦うことになりそうね。」
猛毒獣大陸とは、雅文・美夜子・玲奈が最初に丙丁クラスのエージェント達と戦い、これを退けた。百鬼夜行之衆とは、傘下の世界T教会との戦いで、妖怪達とやり合っただけで、まだ全体像は掴めていない。
「ダークウェブで、百鬼夜行之衆から宣戦布告が来た。8月7日 19時に奴らの本拠地で、全面戦争をするという内容や。恐らく猛毒獣大陸と我々をおびき寄せて、三つ巴に持ち込もうという算段や。そこで、今、交換留学中の京都と大阪の事務所と連携して、奴らに立ち向かう。」
会議終了後、所長は京都・大阪の所長と連携して、作戦を考えた。

   その日から、探偵の仕事の合間に、全面戦争に向けての特訓に励んだ。所長は、元警察官ということで、武芸にも長けている。
「こうだ、こう!!」
熱心に指導し、雅文達もついていく。仕事が終わり、磯上公園で時間が許す限り、雅文と美夜子は格闘技の特訓をしていた。
「相手は妖怪や。せやけど、持久戦に持ち込めば勝てる。」
「そうね。私も敵から刀を奪えれば、十分勝機があるわ。」
2人の脳裏に、年末年始の海外修行が浮かび上がる。

 1/1~1/4 香港
香港では、地図だけを頼りに、ランダムの出発地点からゴールを目指すということの他、現地の探偵達とカンフーバトルをした。九龍公園で、カンフーの特訓をした時、3人の様子を見ていた陳とウォンが意見交換して、それぞれの特徴を伝えた。
「雅文君は、冷静沈着で動揺せずに戦える。対峙した時に相手の強さを、見極めることだ。美夜子ちゃんは、一瞬の爆発的な強さで、ねじ伏せることは可能。だが、リスクは伴う。無理はしないように。玲奈ちゃんは、スピードを活かせば勝機はある。後はもっと頭を使って戦うことだ。」
そして、北角のスタジオでウォンの部下達とカンフーバトルをし、2勝1分と上々の成果を挙げた。

 特訓を終え、草むらに腰掛け、自動販売機で買ったスポーツドリンクで乾杯。
「香港で、カンフーバトルしたのが大きいな。」
「ええ。あれで肉弾戦も強くなれたわ。」
その後、トイレで着替え、それぞれ帰路についた。それから、決戦の日まで特訓を重ね、兵力を集め、万全な態勢を整えた。

 運命の8月7日、それぞれ仕事を終え、18時半に京都の比叡山に到着した。京都支部は、既に依頼でここの存在は知っていた。
「ここが、妖魔城…。何とも禍々しい雰囲気があるな…。」
戦々恐々する所長に、京都支部の所長が呟く。
「京都は、昔から妖怪の話がありんす。百物語のような怪異が、起こるかもしれへん…。」

京都支部
西嶋探偵事務所
本拠地 京都府京都市東山区茶屋町
所長 西嶋満(42)
口髭を蓄えた細身の男性。妖怪や伝承に詳しく、家には日本刀がある。金田一耕助に憧れている。

メンバー
萩野涼介(36)
西村博之(34)
荒牧博子(34)
交換留学生
河村美鈴(28)
城綾子(24)

大阪支部
山本探偵事務所
本拠地 大阪府大阪市北区梅田
所長 山本里奈(42)
黒髪ロングの気丈な女性。元警官で拳銃の腕はピカイチ。

メンバー
菅野雄介(38)
中原裕子(34)
大野健介(28)
交換留学生
陳青鴻(55)
音無玲奈(29)

神戸支部
中村探偵事務所
本拠地 兵庫県神戸市中央区北長狭通
所長 中村景満(42)
メンバー
烏丸雫(38)
神田雅文(24)
桐島美夜子(24)
交換留学生
桜木真帆(29)
杉野京子(26)

作戦を確認し、西嶋が描いてきた妖魔城の見取り図を参考に、それぞれ攻め込む位置につく。一方、その頃、猛毒獣大陸のエージェント達も乗り込んでいた。
「フフフ、奴らがいた。殺すのは、城に乗り込んでからや。」
決戦まで、あと10分。両者が到着したのを確認し、百鬼夜行之衆の妖怪女帝 曼珠沙華はほくそ笑む。
「フフ、臨むところじゃ。まぁ、戦いが始まって1時間後には、わらわと三妖魔は、奴らの大将と主力らを誘き寄せて、壇ノ浦まで行く。残りの奴らは、お主らが好きにしてよいぞ。」
六道魔達も、今か今かと待ち侘びて居る。
「ハハハ、餓鬼道の餓鬼の恐ろしさを思い知らせてやる!」
「敵ならば、全員斬り殺すまでだ…。」
「私の淫夢で、Hな地獄へ落としてアゲル。」
「フフ、虫の息まで弱らせれば、あとは生きたまま解剖してやる…。」
「わらわの霊姫二刀流で、奴らの首を刎ね飛ばしてくれよう!」
「地獄のショータイムで、血祭りにしてやる!」
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