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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第141話 カルト・バトル

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 世界T教会の恐るべき実態を知った3人は、電話で依頼人を呼び出し、事務所で映像を見せた。
「やっぱり、とんでもない奴らやったんや…。」
潜入捜査中の雅文と真帆から、連絡は入っており、彼らの合宿は今日で終わるとのこと。出家信者以外は、皆帰宅する。証拠が出揃ったため、目的は達成され、依頼はここで終了となった。
「ここから先は、我々にお任せ下さい。我々はプロですから、ご心配なく。」
「分かりました。ありがとうございました。」
報酬金を受け取り、ここからは世界T教会との直接対決となる。3人で作戦を練り、警察にも協力を仰いだ。相手は、カルト教団。一筋縄ではいかないだろう。

 翌日、この日は全員出勤で、万全の態勢で奴らに立ち向かう。雅文と真帆にも連絡した。教会で朝の儀式と朝食を済ませ、気づかれぬよう調査を行う。
「この白装束、動きにくかったからな。やっぱり、この方が落ち着く。」
「作戦では、正午にここに来るとのことね。それまで奴らの悪事の証拠を集めましょう。」
一方その頃、猛毒獣大陸の丁クラスからエージェント2組と手下10人が送り込まれた。
「カルト教団が。舐めた真似しくさって…。」
「カルトなんて、もう時代遅れ。」

丁クラス エージェント
ヒョウ スズラン
カーペットパイパー エニシダ
手下10人

裏三國志の鬼劉備からの依頼で、世界T教会神戸支部の壊滅を目論んでいる。時を同じくして、百鬼夜行之衆は傘下を保護するため、封印されていた108の妖怪から3体送り込んだ。
「あれが、教会か。小豆磨げるとこねぇのか。」
「ハハハハハ、俺達に逆らう奴らはブチ殺して、腕を奪ってやるぜ!」
一反木綿に乗っているのは、小豆磨ぎと腕くれ坊。小豆磨ぎは、「小豆磨ごうか、人取って食おか、ショリショリ。」と歌いながら、小豆を磨いでいる。腕くれ坊は、腕を失った人間の怨念が妖怪化したもの。頭は禿げており、歯が発達している。時刻は午前9時。猛毒獣大陸のエージェントが、ポートアイランド周辺で張り込み、奇襲するタイミングを伺っている。一方、探偵事務所では、事務所のドアに「取り込み中」と掲示し、作戦を考える。
「雅文と真帆だが、潜入捜査していることがバレるとマズいことになるな…。」
「そうですね。雅文から連絡が来ている間に行った方が、ええかもしれませんね。」
教会の地下には、拷問部屋があるため、連れ込まれると厄介だ。雅文は、武器としてエアガンは持っているが、それだけでは心許ない。真帆は、格闘技経験者だが、数人を薙ぎ倒せるかどうかだ。戦う、となれば、教祖を含めた出家信者達を打倒しなければならない。所長は、神戸警察に連絡し、ポートアイランドの教会周辺を張り込むように、と伝えた。これは、所長が元警察官だから出来ることである。

 1時間経過。雅文と真帆は、全ての証拠を集めることに成功した。そして、所長に連絡しようとした時、
「やっぱりね。こういうことやと思うた…。」
ひかりが、教祖と信者達を連れて現れた。教祖と出家信者は、白いマントを羽織っている。真帆が時間を稼ぎ、雅文が連絡する。
「残念なことや…。まさか、スパイが潜り込んでいたとは…。」
「スパイやないよ。私は桜木真帆、探偵よ!」
一同がざわめくが、出家信者達は、いたって冷静である。
「驚いたよ。昨夜、私の部屋にあったDVDが無いのだからな。探偵ってのは、アレか?捜査のためなら、人の物を平気で盗むのか!!!」
2人を怒鳴りつけた教祖だが、真帆は動じなかった。
「よくそんなこと言えたわねぇ…。教えの名の下に、拷問・殺人・洗脳をするようなアナタ達に、神の名を語る資格は無いわ!アッラー・キリスト・釈迦が見たら、何て言うかしらねぇ?」
「き、貴様ぁ!表に出ろ!」
「教祖様に代わって、天誅致す!」
連絡を終えた雅文と真帆は、外に出て、信者達も外に出る。教会に到着した警官達は、気づかれないように近づき、この様子を静観する。
「全員出てきたようだな。」
「よし、降りるぞ。」
教祖と出家信者は、2人を取り囲むように対峙した。
「さて、死ぬ前に聞くが、貴様らの目的は何だ?」
「依頼があった。「「この辺りで怪しげなカルト教団がいる。内情を調査して欲しい」」とな。逆に質問するが、お前のバックに誰がいる?」
「教祖様に向かって、お前とは!」
激昂するひかりを制し、教祖は口を開いた。
「世界T教会だ。そして、六凶の百鬼夜行之衆だ。我々は作ろうとしているのだよ。我らが盟主の世界を。「「愛・調和・力」」を掲げ、愛は調和でもたらされ、調和を乱す者は力で制裁する。これで平和が保たれる。そのために皆、金を払ってでも、入信してくれたのさ。調和を乱す者は、愛で作られた平和をも乱す。そんな奴らは、裁きの名の下に殺す必要があるんダホォ!!!」
言い切る前に、雅文が教祖の顔面に右フックを食らわした。

 警官達が駆け寄り、一定の距離を保って、教会を包囲した。
「警察だ!!」
そこに、所長達も追い付き、離れた位置から観察する。警官達が来たところで、雅文は盗聴器を再生する。
「この哀れなゴミクズが!!穢らわしい者め!地獄へ堕ちろ!!死ね!!」
「熱い!熱い!燃えるぅ~!!!」
地下室での拷問の様子が再生され、一同は戦々恐々する。
「これが、奴らの実態です。このカルト教団は倒さなくてはなりません。」
殴られた教祖は立ち上がり、雅文を睨み付ける。
「フフフ、いいだろう。受けて立つぞ、このクソガキがぁ!!!!」
「ハッハッハ!!天誅や!!」
「この私に勝てるかしら?」
信者達は武器を持って立ち上がり、教祖の号令で襲いかかった。
「かかれぇ!!!」

    その時だった。教会が突然爆発し、黒煙と炎が立ち込めた。
「何事だ!?」
そこに、猛毒獣大陸のエージェントと手下達が現れた。
「フン、カルト教団が!」
「あんたらを恨んでいる奴らは、いくらでもおるわ!!全員皆殺しや!!」
教祖と出家信者達は、マントを脱いだ。純白のアーマーに身を包み、臨戦態勢であった。教祖と男性信者は、プラチナで出来た特注アーマーで、強度は高い。ひかりの母は、レオタード状のアーマーで、腕と足にプロテクターをつけている。
「何や強そうやな…。」
「そして、私!」
マントを脱いだひかりは、腕と足にプロテクターをつけ、純白のビキニアーマーに身を包んでいる。聖女の肩書きだが、年齢は18歳。成長期の大きくなりかけている乳房と、桃のような尻が映える。
「フン、教会を爆破するとはいい度胸。貴様らは、もう後戻り出来ないぞ…。」

出家信者
教祖 嶋村忠芳 マンジュマン
出家信者 笹川ひかり シヴァニャン
                  笹川悠里 ラーマニャン
                  大久保小太郎 ガネシャ
                  小山源太郎 ガルーダ・ギーター
                  小久保直人 マヌ

襲いかかる猛毒獣大陸の手下と、取り押さえようとする警官を攻撃する。
「下賤な者達め、どいつもこいつも死ぬがいい!!」
日本刀で斬り倒すひかり。雅文と真帆も、信者達や手下達と応戦する。
「フハハ!!ひかり様には、指一本触れさせへんぞ!!」
ガネシャと呼ばれるアーマーに身を包んだ髭面の大男は、三又の槍で攻撃してくる。
そこに、猛毒獣大陸のエージェントも攻撃を仕掛けてきて、2人は追い詰められる。
「ハッハッハ!!探偵風情が死ね!」
駆けつけた美夜子達が加わり、雅文達は猛毒獣大陸・世界T教会との三つ巴の構図の中で、徐々に巻き返していく。

    百鬼夜行之衆からの援軍として、送り込まれた妖怪達が牙を向く。
「小豆磨ごうか、人取って食おか、ショリショリ♪」
謎の歌を歌いながら、小豆を投げつける小豆磨ぎ。雅文はエアガンで応戦したが、弾切れになってしまった。
「クソッ、弾切れか!!」
「ハッハッハ!!もう終わりか?」
槍を持っている相手に、素手では敵わない。雅文は逃避しながら、作戦を練る。
「腕くれよ、腕無くしちまったよ…。」
両腕のない大柄な坊主の妖怪 腕くれ坊。歯が発達しており、噛み砕いて殺す。
「何だこのバケモノ!!」
エージェントのカーペットパイパーが立ち向かうが、忽ち頭を噛み砕かれてしまった。
「ギャアァァァァァァ!!!!」
「油断大敵でゴワス!!」
動揺するパートナーのエニシダに、一反木綿が襲いかかり、首を絞めて殺害した。所長と雫も警官達と共に、援護に回り、徐々に敵の頭数を減らしている。

    逃げ続ける雅文だが、ひかりに捕まり、取り押さえられた。
「うぅ!」
「フフフ、探偵風情が!よくもさっきは、教祖様を殴ってくれたな!!」
プラチナで出来たプロテクターは重く、そのアーマーでの拳骨は結構効く。
「ハァハァ…。ひかりちゃん、私は絶対、女子には攻撃せぇへんよ…。せやから、君もあんなカルトの偶像なんかから、自由になることや…。その方が君の幸せ…。」
憤怒したひかりは立ち上がり、プラチナのブーツで雅文の背中を踏みつけた。
「ぐわぁ!!」
「ふざけるな!!!貴様に何が分かる?私は聖女や!!貴様とは格が違う!!」
ヤられながらも、何かを察した雅文。指でさりげなく合図を送った。
「分かった…。私は降参する…。」
「思い知ったか!哀れなゴミクズが…。教祖様、どうしますか?」
「決まっておる。私を殴ったんだ。惨殺あるのみ!!」
雅文は立ち上がり、ひかりに毒づいた。
「あぁ…。君もそうやな…。」
「何がだ?」 
「ハァハァ…。そのビキニアーマーから見える桃のような尻、美少女はみんな桃尻やな…。」 
「なっ?!この変態野郎!!教祖様、コイツを蜂の巣にして!」
教祖が発砲しようとした時、所長が横腹に飛び蹴りを食らわした。
「ぐわぁ!!」
「教祖様!」 
そこに京子が背後から、ひかりに浣腸をお見舞いした。 
「あぁぁぁぁ!!!!」
「人は鍛えても鍛えられない場所がある。」
悶絶している所に、美夜子が強烈なケツキックをお見舞いした。
「あぁぁぁぁ!!!!」
尻を押さえて悶絶するひかり。
「あらあら、さっきの威勢はどこへ行ったのかしら?」
「貴様ぁ…。絶対に殺す!!!」
相対する美夜子とひかり。雅文は弾切れのエアガンを、京子に改造してもらい、雑魚退治に出る。
「美夜子、その子は頼んだ。」 
「任せて。覚悟しなさい。」
「聖女に喧嘩売って、ただで済むと思うな!!」
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