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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第128話 シティミッション

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    1月1日午前7時、日本は爆笑ヒットパレードやシューイチ!などの正月特番が早朝から放送され、初日の出を見ようとする者や初詣に行く者と外も大賑わいを見せていた。そんな中、初めて海外で年越し&新年を迎えた雅文・美夜子・玲奈は、起床してトレーニングウェアに着替えた。
「おはよう、雅文君。新年快楽!」(あけましておめでとう!)
「陳さん、あけましておめでとうございます。」
雅文と陳は歯を磨いてから、着替えて軽くストレッチをする。一方、美夜子と玲奈もスタンバイする。
「あけましておめでとう、玲奈ちゃん。」
「はい、美夜子さん。あけましておめでとうございます。」
着替えを済ませ、一同はホテルのロビーに集合。それから、尖沙咀の九龍公園(カオルーンパーク)に行き、そこでラジオ体操。身体を温め、そのまま朝食を食べに行く。訪れたのは、香港の大衆食堂 茶餐庁(チャーチャンテン)。そこで粥をいただく。
「日本では正月だからな。雑煮の代わりに粥をいただこうか。」
具だくさんで油が使われている粥は、胃に優しく腹持ちが良い。朝食を済ませ、一同はホテルに戻り、ウォン達が迎えに来るまでスタンバイ。9時になり、ウォン達と合流。雅文・美夜子・玲奈は、彼らの手作り弁当(容器・箸は使い捨て)と水(ミネラルウォーター 600ミリリットル×3本)、香港の地図を受け取り、スマホと財布を陳に預けた。それから、ウォンが手配したマイクロバスに乗り込み、3人は目隠しをした状態で移動する。バスは、エアポートエクスプレスに入り、香港島に上陸した。香港島の西側に行き、郊外の西湾(サイワン)に到着。
「最初は、玲奈ちゃん。ここで降りてもらいます。」
チェンが引率して、玲奈を西湾で降ろし、メモを渡した。バスは移動し、北側の北角(ノースポイント)に停車。
「美夜子ちゃん、降りてもらいます。」
アグネスに引率され、美夜子は北角で降りて、メモを受け取った。バスは九竜半島に戻り、ネイザンロードを北上して、太子(プリンスエドワード)に到着。雅文を降ろし、メモを渡して、バスは立ち去った。

    現在の時刻は10時。九竜半島エリアのゴールは、カオルーン・シャングリ・ラ。香港島エリアのゴールは、湾仔(ワンチャイ)にあるフェリーターミナル。制限時間は15時。その時間になると、それぞれの持ち場にスタンバイして、ゴールするのを待つ。チャレンジ中、九竜半島は陳とウォンが、香港島はアグネス・チェン・リーが要所要所でモニタリングし、様子を見守る。3人は目隠しを外し、メモを確認して、現在地を知り、ミッションを始めた。

九竜半島 太子(プリンスエドワード)
太子(タイジー)は油尖旺区にある街で、旺角(モンコック)と隣接している。
「ここは太子か。この道がネイザンロードやね。」
雅文がいる所は、太子駅。右手には、旺角大球場がある。
「旺角大球場、サッカー香港代表のホームスタジアムやな。て、ことは南に降りたらええだけやな。」
冷静に状況を分析し、すぐさま行動に移す雅文。南に向かって進んでいく。

香港島 北角(ノースポイント)
北角(パッコク)は、香港島の郊外のエリア。美夜子は辺りを見渡し、位置を確認した。
「あの向こうは、銅鑼湾(コーズウェイベイ)ね。ビルがいっぱいね。」
マップで位置関係を把握し、湾仔のフェリーターミナルを目指す。

香港島 西湾(サイワン)
香港島西部で、堅尼地域(ケネディタウン)までヴィクトリア湾に沿って広がる一帯の地域である。ここにある香港大学の前にいる玲奈は、学生時代に来たことを思い出していた。 
「香港大学や!懐かしいなぁ…。玲奈、留学でここ来たわ!」
当時の記憶を辿り、香港島を歩く。

    その間、陳とウォン達は香港各地でモニタリングし、情報を共有していた。
「今のところ順調ね。」
陳はここまで安心して観ていた。香港の面積は、1104㎞2で東京23区の2倍程度なので遠方に行かなければ少なくとも迷わないであろう。時刻は11時。チャレンジ開始から1時間が経過した。雅文は、順調にネイザンロードを南下して、旺角の女人街(ノイヤンガイ)を進むと、登打士街(ダンダーシーガイ)についた。ここは立ち食いスナックの店が建ち並んでいる。美味そうな匂いがしてきて、足が止まりそうになる。
「美味そうな匂いや…。せやけど、財布あらへんねんな…。」
誘惑に負けずに進んでいき、途中、水を飲みながら歩いた。一方、美夜子は北角から天后(ティンホウ)に着き、ビクトリアパークが見えた。
「まぁまぁ、距離あるわ。」
学生時代は剣道部で活動していた。「破壊剣」と言われるスタイルは、体力を消耗しやすく、持久戦は少し分が悪い。
「何とか、ビクトリアパークまで。」
辛抱強く歩き、ビクトリアパークに到着した。玲奈は、土地勘があるので、楽しみながら進み、西營盤(サイイップン)駅に到着し、近くの公園についた。

    正午になり、銅鑼湾で正午を告げるヌーン・ディ・ガンという大砲(空砲)が撃たれた。ちょうど3人共、昼食をとる。弁当の中身はランダムで、それぞれ異なる。

九竜半島 
旺角の公園についた雅文は、弁当を開ける。中には、炒飯・ガチョウロースト・油菜(ヤウツァイ)・春巻が入っていた。
「うん、美味い!」
こんなアクティブな正月は、高校サッカー以来であろう。

香港島
銅鑼湾のビクトリアパークで、美夜子は昼食をいただく。開けると、香港名物の焼味飯(シウメイファン)というローストをご飯に乗せたものと、焼売・焼餃子・油菜が入っていた。
「中々美味しいわ。外で食べると、また格別ね。」

同じく香港島の西營盤の公園で、昼食を食べる玲奈。中身は、シンガポール名物のチキンライス(出汁で炊いたご飯・茹でた鶏肉)、茹でザリガニ・海老餃子・油菜。
「香港はご飯美味しいわ。ザリガニも美味いわ。」

    昼食を済ませ、しばらく休憩した後、再び歩き出した。普通に歩いているが、駅を何ヵ所も進んでいるので、疲労は結構来る。雅文は油麻地(ヤウマティ)に着き、そこから少し走っていくことにした。美夜子は、銅鑼湾駅を過ぎた所で湾仔運動場が見えた。
「もうすぐね。」
玲奈は、中環に到着。坂道の多いエリアを途中走りながら進んだ。
「走らんかったら、間に合わへん!」
お互いにゴールを捉え、そこに向かってひた走っていた。陳とウォン達はそれぞれの持ち場につき、雅文達が来るのを待つ。時刻は14:30。最近に到着したのは雅文。ネイザンロードを駆け下り、尖沙旦のカオルーン・シャングリ・ラについた。
「ハァハァ…。ついた…。」
「お帰り、雅文。」
陳に迎えられ、ホテルのロビーで待機。スターフェリーで、香港島に迎えに行ったアグネスとチェンは、湾仔のフェリーターミナルで待っていた。しばらくすると、美夜子が到着した。
「ついたわ。ここがゴールね。」
「美夜子ちゃん、お帰り。」
その頃、上環から走ってきた玲奈は、湾仔フェリーターミナルを見つけた。
「おった!!玲奈行くから、置いていかんといて!」
ダッシュした玲奈も、無事に到着した。
「ハァハァ…。中環から走ってきた…。」
「中環から?大したものね。」
その後、全員でフェリーに乗り、九竜半島に戻り、雅文達と合流。新年早々のシティミッションは、無事に全員クリアで終わった。キンバリーホテルに戻ってシャワーを浴び、クールダウンする一同。ホテルにランドリーは無いので、ウォンに洗濯物を預けて洗ってもらう形になった。夕食は、香港で有名なレストラン 竹園海鮮飯店(チュックユエン ホイシン ファンディム)でいただく。ロブスターなどの海鮮料理に舌鼓を打ち、明日に向けて英気を養った。

     1月2日、朝は九龍公園でラジオ体操。朝食を済ませ、旺角の探偵事務所に向かい、今日の内容について説明される。香港での特訓の日程では、1月4日の13時に北京行きの飛行機で中国へ行く。翌日は、トレーニング&カンフーバトル。午前中は、尖沙旦プロムナードでランニング。
「あのビル群、スゴいな。」
「あれ、風水意識してるんですよ。」
皆、熱心に特訓に励む。
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