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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第126話 你们是我们的朋友(あなた達は私達の友達)

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   12月30日、午前6時。起床した一同は公園で体操を行い、朝食を済ませ、トレーニングウェアに着替えて、李達を待つ。
「今日は、場所を変えて行う。」
「どこに行くんですか?」
「台湾南部の台南というところだ。私も台湾に住んでいた頃、よく行ったものだ。」
台南市は、台湾の6つの直轄市(台北・新北・台中・台南・高雄・桃園)の1つで、清朝の頃は台湾の中心地であった。陳は、台湾に住んでいた頃を思い出して、沁々と語る。そうしている間に、李がマイクロバスで迎えに来てくれた。 
「早上好!(おはよう!)行こうか。」
李達と共に、台北から台南へ向かう。

   バスに揺られること3時間、時刻は午前10時。台南市に到着した。台南運河で区切られた安平区で行う。皆はバスから降りて、体操をする。ここで約2時間、前日と同様に1対1でかくれんぼをする。1回戦は玲奈VS梅李香。玲奈が探すが、台湾は初めてな上に、台南は未知の領域なので、探すには苦労した。
「どこにおるん?」
探し回る玲奈だが、見つけることは出来ずにゲームオーバーとなった。
「昨日のリベンジね。」
「参りました。」
2回戦は美夜子VS王白龍。場所は台南市中西区。地図を頼りに美夜子はターゲットを探す。清朝や日本統治下の時代の面影を残した街並みを堪能していた。
「いろいろな時代を感じるわ。」
媽祖廟の大天后宮(ダーティエンホウコン)を探し、王を見つけた。3回戦は台南公園で行われ、雅文は李を見つけ出し、午前の部は終了。昼食はローカルフードをいただく。台南は美食の街で、台南小吃と呼ばれている。雅文は、蝦仁飯(エビ丼)と炸蝦捲(エビの巻き揚げ)を、美夜子と玲奈は小巻米粉(イカビーフン)を食べる。
「素朴な味が美味いな。」
「イカめっちゃ美味しい~!」
「玲奈ちゃん、あーん。」
「あー、む!めっちゃコリコリしてる~。」
小吃に舌鼓を打ち、腹を満たした一同。13時まで休憩し、ここからは更に南下して、高雄を通って、屏東縣から船で小琉球へ行った。ここからは「逃走中」を行う。陳はハンター側で参加し、李達もハンターを務める。時刻は14時。15時まで、逃げ切ったら雅文達の勝利。
「さて、オープニングに先駆けてゲームをしよう。」
そう言って、李が取り出したのは小さなルーレット。そこには1~6までの番号が書いてある。回すのは、雅文。その結果、ルーレットは3で止まった。
「よし、我々が追いかけるまで3分待とう。」
開始まで3分ある。それまで出来るだけ、様々な所に隠れる。

    3分後、ハンターさながらの黒スーツに身を包み、サングラスをかけた4人が、雅文達を捕まえに行った。小琉球は、琉球郷と呼ばれ、沖縄本島のような南国から、小琉球とも言われている。リゾート地ではあるが、雅文達は「逃走中」をしているので、観光気分ではない。
「ミッションは出て来おへんやろ。ただ、逃げ切れるかどうかや。」
雅文は、「逃走中」を何度も見ているので、ゲームはよく知っている。
「綺麗な島やね。これだけ綺麗な海なら、海ガメにも会えそうね。」
ロマンチックな感傷に浸る美夜子、その近くにハンター。
「あら、ハンターね!」
見つかった。美夜子はいち早く走り出し、ハンターはそれを追いかける。森の中に逃げ込み、上手く撒いた。
「危なかったわ…。」
玲奈は、三隆宮と呼ばれる建物の近くにいた。
「台湾にこんな所あったんや。でも、「「逃走中」」するとは思わへんかった。」
しばらく歩いていると、黒スーツの人が近づいていた。
「ヤバい、ハンターや!!」
ハンターに追われる玲奈、逃げ出すが、前からもハンター。挟み撃ちにされ、玲奈は捕まった。
「あぁ…。悔しい…。」

    確保情報は、2人にも伝わった。何だかんだで30分は経過していた。徐々に体力を消耗し、雅文はハンターに捕まり、残りは美夜子だけになった。
「私だけね。さて、私を捕まえられるかしら?」
残り15分。隠れてやり過ごそうとしたが、ハンターに見つかり、追いかけられた。
「まずいわ!」
必死で逃げるか、疲労が蓄積し、撒くことが出来ずに捕まった。ゲームオーバー。その後、港に集まり、クールダウンをしてから屏東縣に戻り、マイクロバスで台北に帰る。19時、台北に到着した。ホテルに戻り、シャワーを済ませ、ウェアを李に洗濯してもらう。20時、台湾での最後の夜は、皆で過ごすことになった。中華圏では、割り勘はせず、代表者が全員分を支払う。小籠包や炒飯などに舌鼓を打ち、最後の夜は充実した。
「陳よ、また会えて本当に嬉しかった!雅文君、美夜子ちゃん、玲奈ちゃん、君達も頑張るんだよ。」
「私も、李にまた会えてよかった!謝謝!」
修業を乗り越え、互いに友情が芽生えたようだ。台湾もかつては、日本の植民地だった時代があった。植民地支配に対しては、賛否両論あるが、何もなかった所にインフラを整備し、学校を建てて教育を施し、公衆衛生を徹底して伝染病を抑えたりと、近代化した。
「日本人は、法律法律とうるさかったが、秩序があった。」
1930年代には、嘉義農林高校が夏の高校野球に出場するなど、深い関わりがあった。友情は海を越えるものである。

    12月31日、陳達はチェックアウトし、李達に感謝を伝えた。
「互いに頑張ろうな!」
「あぁ、また会おうな!」
李と陳は固く握手した。それから、桃園国際空港まで送ってもらった。
「次は、香港か。頑張りたまえ!!」
李達に別れを告げ、次なる目的地 香港へ向かう。
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