Pieces of Memory ～記憶の断片の黙示録～

第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第120話 体験入店

   車は大阪に入り、御堂筋を通って、北新地に着いた。キャバクラなどの大人のお店が建ち並び、路地裏から店内に入った。あくまでも潜入捜査であるので、玲奈は盗聴器を持っている。
「ここが、バックヤード。更衣室は向こうにあるから。」
別室に移動し、キャバクラの仕組みについて懇切丁寧な説明がされ、玲奈は熱心にメモをとる。

   キャバクラというのは、そもそもキャバ嬢と呼ばれる女性が客席について、接待を行う飲食店で、風俗営業法の定義では、第2条の風俗営業のうち「接待飲食等営業」に分類されている。客の横について接待するものである。
「風俗営業法で、定義があるんですね？」
「はい。性的なことはしないのでご安心を。」
玲奈は秘書をしていた頃に、副業でSMクラブで女王様として働いた経験がある。そこは女子限定で、年齢は18～30歳まで。SMプレイでは、女の子のタイプを見極め、ハードに責める時には、緊縛・蝋責め・雌犬調教をし、ソフトに責める時には、ハケ水車・全身リップと使い分ける。最初は上手くいかず、ソフト過ぎて物足りない、と言われたり、女子高生に緊縛からの蝋責めで、尻を鞭でぶっ叩いたら泣かれてしまった、ということもあった。
（客がどういう人か、見極めることやな…。酒も入るし、玲奈はあんまり飲めないし…。）
他にも、色々と料金の説明をしてもらい、衣装を貸し出してもらった。黒いリボンシアーキャバドレスで、太ももから下を出したセクシーなものである。現在の時刻は18時。開店は19時、開店前のミーティングは18時45分。この「Sexy Angel」の営業時間は19時～25時。玲奈は今日の所は午前から仕事しているので、22時には帰らせる。所長との約束では、調査期間中は遅出で13時出勤でキャバクラに行って潜入捜査するものである。更衣室に行き、玲奈は初めてキャバドレスを着る。SMクラブでは、ボンテージレオタードを着て、女子高生から大人のお姉さんまで丸裸にして、調教してきたが、ここでは主導権を握るより渡す方が多くなる。頑張れ、玲奈ちゃん。他のキャバ嬢達も来て、キャバドレスに着替える。玲奈も下着姿になるが、他の子がTバックなどのセクシーな下着を履いているのを見て、キャラクターのパンティーを履いてる自分が恥ずかしくなった。
（みんな色っぽい、玲奈とか子どもみたいやん…。）
ブラジャーを外して、キャバドレスを着た。風俗ではないので、接客中に脱いだりはしない。
（そうやんな、別にセクキャバやないし、チン〇触らへんから下着とか大丈夫やな。）
18時45分、開店前ミーティングが始まり、そこで玲奈は自己紹介をした。
「今日から、この店で体験入店という形で5日間だけだが、働くことになりました音無玲奈さんです。」
「こんばんは、ここで体験入店します。音無玲奈と申します。玲奈ちゃんって呼んでください。」
19時に開店し、キャバクラでの潜入捜査が始まった。

　しばらくすると、仕事終わりの営業マンやサラリーマンなどが、続々と来店。玲奈は席に着き、客達に接待する。
「こんばんは。玲奈です。」
「新しい子やね？中々セクシーやな。」
探偵業で、色々な現場に行った経験があるので、それらを活かして積極的に会話する。最初はオレンジジュースを飲んでいたが、如何にもリッチな客が来た時に、ブランデーを勧められた。
(この琥珀色のアレ…。キツいヤツや…。)
「玲奈ちゃんもどうや？」
「えっ、玲奈はあんまり飲めへ…。」
横にいた飛鳥が、耳元で呟いた。
「貴女、新入りやろ？ちゃんと飲まなアカンで…。」
(えっ？飲むの？ちょっ、目が怖いねんけど…。)
意を決して、ブランデーをグイっと飲み干した。喉だけでなく身体が熱くなってきた。
(ヤバい、火照る！！火照ってきた！！)
その後も、数人の客の接待をし、ヘネシーやウィスキーを飲んだ。1日目の調査終了後、玲奈は盗聴器で盗聴した情報を得られた。しかし、飲めない酒をグイグイいったせいか、中之島の自宅に帰った時には、真っ先にトイレへ駆け込み、吐いてしまった。
「オェェェェェェェェェ！！！！！！」
(あぁ…。あんなキツい酒、グイグイ行くんやなかった…。めっちゃ気持ち悪い…。ゲボがいっぱい出る…。)
落ち着いた後は、ウィダーインゼリーを飲み、パジャマに着替えて眠りに着いた。

    翌日、目覚めると午前8時だった。歯を磨いてから用を足し、シャワーを浴びる。
(あぁ…。まだちょっと頭痛い…。)
お湯を浴びて、酔いを醒まそうとしていた。アルコールには利尿作用があり、裸になったことで、再び尿意に襲われた。
(ヤバい…。またオシッコ出そう…。)
しゃがんで、排水溝に向かって放尿した。
(あぁ…。溜まってるから、真っ黄っ黄やん…。)
脳裏に、穂香や葉月・瑠奈としたレズセックスがよぎった。あの時は、秘部と菊門と舐め合い、聖水プレイも楽しんだ。
(アカン、レズセックス思い出したら、ムラムラしてきたぁ…。)
用を足し終え、秘部を洗って、シャワーから上がり、キャバクラ用の勝負下着に着替える。
(キャバクラやから、ホンマのセクシーさ見せたるで…。)
豹柄のブラジャーとTバックで、肉食系女子をアピール。朝食を済ませ、盗聴器で得た情報を整理する。

     2日目のキャバクラ調査で、玲奈は飛鳥の席に盗聴器を仕掛け、会話を盗み取る。
「飛鳥ちゃん、今月のお金🖤」
サラリーマンから、札を受け取り、笑みを浮かべる飛鳥。
「いつもありがとう。飛鳥のしもべ🖤」
「しもべとか光栄で～す🖤膝枕ちて～！」
サラリーマンに膝枕をし、上機嫌の飛鳥。
「フフフ、◯◯社の金、たっぷり貰えた～！」
今夜はいい情報を手に入れることが出来た。3日目で、決定的な証拠を捉えた。16時、大阪梅田駅にて、飛鳥が女子高生風のギャルに金を渡して、更に受け取っている光景を目にした。
(これ、決定的やー！！！)
気づかれないように、スマホのカメラで写真を撮って、証拠として押さえた。その夜も、有力な情報を手に入れられた。
(しかし、飛鳥ちゃん、とんでもない女やな…。)