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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第109話 夏祭りバトルゲーム

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   猛毒獣大陸のエージェントが立ちはだかり、葉月と瑠奈はマネージャーと共に逃げ出す。人混みとどさくさに紛れて、プロデューサーとはぐれてしまった。
「あぁ、何てこった!はぐれてしもうた…。」
そこに、雅文と玲奈が駆け付けた。
「プロデューサーさん!」
「あぁ、雅文君に玲奈ちゃん!2人とはぐれてもうた!」
雅文は、プロデューサーにここまでの経緯を話した。奴らは手下達を雅文らに仕向け、その隙に2人を仕留めようという作戦を執ったのである。相手は、裏社会の列強 猛毒獣大陸。プロの殺し屋集団なので、抜け目がない。
「でも、まだ近くにいるとは思う。探し出しましょう。」
「あぁ!」
3人で、行方を追う。

 時刻は20時。なにわ淀川花火大会は大盛り上がりを見せる頃、手下達は薫の超能力の前に返り討ちに遭っていた。
「超能力者ナメたら、アカンで…。それに、年上の女性には「「オバはん」」やのうて「「お姉さん」」や、よう覚えとき!!」
「ギィヤアァァァァァァァ!!!」
超能力探偵 西園寺薫にとってはチンピラ6人倒すことなど、朝飯前である。サイコキネシスとヒプノシスで、軽々と撃破し、手下達は全員逮捕され、大阪府警に引き渡された。
「花火が綺麗やな。たーま、やー。」
「お母様の超能力、いつ見ても痺れる~!」
ツインテールに、青を基調とした浴衣の少女、彼女は薫の長女 穂香である。薫は超能力で、今周辺で起きていることを透視した。
「ん、何や、物騒やな…。アイドルの子を狙う殺し屋がおるな…。」
「アイドル、お母様、もしかして葉月ちゃんと瑠奈ちゃん?そうやったらマズい。」
「近くにおるな。行くで、穂香。」
「はい、お母様。」
2人は、葉月と瑠奈の救出に向かった。

 その頃、2人はエージェントのゴンズイとイヌサフランに追われていた。
「おっと、逃げても無駄やで…。」
ゴンズイが懐から、拳銃を取り出し、弾を込める。
「マズい、ヤられる…。」
夜の闇が一層深まり、夏の湿気のむわっとした空気が流れる。賑やかな花火大会の傍らで、不穏な空気が漂い始める。逃げようとした2人をゴンズイが狙撃したが、2人は何とかかわした。
「上手く避けたな…。コイツは毒針やからな。」
かわした2人だったが、謎の白い塊につまずき転倒。ネバネバした物体で、2人は身動きが取れなくなる。
「うわぁ!何やこれ?!」
「まさか、トリモチ?」
草むらから、もう2人エージェントが現れ、そこにあのストーカーしていた男も現れた。
「よう、久しぶりやな。」
彼は、2人を嘲笑しながら見下ろす。
「トリモチショット使えるわ~!まんまとかかったし。」
「さて、後は殺すだけやで。」
拳銃を持った黒髪ショートの黒Tシャツの女性と、坊主で丸縁のサングラスの男性。この2人もエージェントで、コードネームは、ラッパウニとハエドクソウ。ストーカー男が、2人を暗殺するために殺し屋に依頼し、手下を仕向け、その隙に殺そうとした、という算段が2人の頭をよぎった。そして、全てつじつまが合った。
「やっぱりアンタやな!殺害予告送ったん!」
「あぁ、そうや。お前等が大人しく俺のモンにならへんからな。」
「アンタのモノちゃうし!殺し屋雇って、1人で何も出来ひんウン〇野郎!」
「あぁ!?殺してええぞ。殺れ。」
エージェントが襲い掛かろうとした時、銃声が鳴り響き、エージェントが攻撃された。
「何や!ん?いぃぃ!!」
ストーカー男の眉間と鳩尾に弾が直撃し、ひざまづいた。そこに満月をバックに、2丁拳銃で雅文が現れた。
「待たせたな。マイ エンジェル。」
粋な登場に、2人はハートを掴まれた。
(雅文さん、超カッコいい~!)
(ヤバい、めっちゃイケメンやん…。)

 その隙に、玲奈は2人を救出し、警察に通報した。一般的に、警察に通報して、警官が現場に来るまで約9分はかかる。その9分間にコイツらを撃破して安全に警察に引き渡すことが、この戦いで達成すべきミッションである。探偵の仕事としては、ストーカー対策の案件で、そのストーカーを見つけ出し、対峙することが出来た。これにより、依頼人をストーカーから保護することが出来、後は現行犯として警察に突き出すまで。対立構造は、雅文・玲奈VSエージェント4人&ストーカーで、2対5と雅文達は不利な立場である。
「敵は5人か。手強いな…。」
「やるしかないですよね…。」
息巻く2人に対し、ストーカー男は立ち上がり、ポケットからチェーンを取り出した。
「テメェら、俺と2人の恋を邪魔すんなや…。オォ!」
「アンタ、これのどこが恋や!ただのストーカーやで。後な、葉月と瑠奈は玲奈の可愛いマゾペットやねん。ご主人の玲奈が、お仕置きしたるわ。」
鞭を振り回し、毒づく玲奈。そこにエージェントのラッパウニとハエドクソウが襲い掛かった。
「超能力奥義 サイコキネシス!」
強力なサイコウェーブが2人を攻撃し、2人は草むらに吹き飛んだ。
「久しぶりやね、玲奈ちゃん。」
「ご主人様、後でHしましょう。」
薫と穂香が駆け付け、エージェントを2人撃破してくれた。そこに薫も加わり、3対3の構図になった。
「さて、ウチも交ぜてもらうさかい。」
「粋がるなよ、クソババァが!」
ストーカー男がチェーンで薫を攻撃する。雅文と玲奈は、ゴンズイ・イヌサフランと応戦する。
「食らえ、ゴンズイ痺れ針!」
拳銃から数本の毒針が放たれ、雅文を襲う。かわしきれず、右太ももに刺さり、右足が痺れて動きが鈍った。
「雅文さん!」
「よそ見したらアカンで!」
イヌサフランはメリケンサックで攻撃し、玲奈は鞭で距離を取って戦う。足が痺れた雅文を、ゴンズイは容赦なく袋叩きにする。
「オラオラオラオラ!沖縄で人魚捕獲の依頼を潰した探偵は、お前やな!?そのせいで、同じく六凶の百鬼夜行之衆と揉めたんや!髑髏城も貴重な資金源やったのに、それも潰しやがって、どう責任取るんやオォ!」
「フン、殺し屋が粋がるな…。」
毒づく雅文だが、防御がやっとで、毒針を刺された右足から痺れは右半身に及んだ。
「フン、舐めた真似しくさってオラァ!調子に乗るな、探偵がゴラァ!」
殴る蹴るの暴行を加えるゴンズイ、そこに穂香が背後から金的を入れた。
「ハゥ!」
ひざまづいた拍子に、解毒剤らしき瓶が転がった。
「穂香ちゃん、その瓶をくれ!」
穂香は瓶を拾い、雅文に飲ませた。そこに警官とプロデューサーも駆け付けた。
「あそこや!」
「お前が殺し屋か、よくも葉月と瑠奈に手ぇ出したなゴラァ!」
挨拶代わりに助走をつけて飛び蹴りを食らわし、ゴンズイは吹き飛んだ。プロデューサーは一目散に2人の元に駆け寄った。
「大丈夫か?ケガは無いか?」
「はい、大丈夫です。」

 薫は穂香のアシストを褒め、静かに微笑んだ。
「ようやった、穂香。さて、アンタも終わりやで。ストーカーさん。」
「クソォ、ハァハァ…。何で俺の攻撃が全部読めるんや…。」
攻撃のし過ぎと猛暑と湿気により、彼は膝をついてハァハァとうなだれる。先程までの威勢はどこへやら。超能力者の前では、パワーファイターは無力なのである。薫は、手を合わせてピラミッドを作って呟く。
「さぁ、見えたで。アンタの末路。行き先は、ブタ箱や!」
薫の目が赤く光る。精神統一をし、手から波動を放つ。
「ヒプノシス、ヒプノシス。金縛り!」
波動により、彼の両足に黒い靄がまとわりつき、身動きが取れなくなる。
「オイ、何しやがったババァ!」
「ババァやなくて、お姉さんな。さて、2人共やってええで。」
そこに怒りの形相の葉月と瑠奈が助走をつけて、鳩尾めがけて蹴りを入れた。
「このクソ野郎!」
「葉月をイジメんな、ボケェ!」
最後は、プロデューサーの怒りの鉄拳。
「ウチの可愛いアイドルをイジメるなゴラァ!」
「ブヘぇ!!」
ストーカー男を撃破し、ストーカー規制法違反の現行犯で逮捕してもらった。一方、玲奈は鞭でハエドクソウを滅多打ちにした。
「ウチの可愛いマゾペットをイジメたな!」
腰の上に乗り、火をつけた蝋燭の蝋を首筋に垂らした。
「あぁぁぁぁぁぁ!熱い、熱い!」
雅文もゴンズイに逆襲と言わんばかりに、中国拳法をお見舞いし、あと一撃でKO出来そうな所まできた。
「もうお前らの計画も失敗やな。この戦いも我々の勝ちや。」
「クソォ…。舐めやがって…。食らえ、ゴンズイ痺れ針!」
乱れ撃ちをかわし、太ももに蹴りを入れた。ふらついた所に、顎めがけてアッパーをお見舞いし、ノックアウト。猛毒獣大陸のエージェントは逮捕され、雅文達の勝利となった。
「ありがとう、穂香ちゃん。」
「いえいえ、ご主人様と葉月ちゃんと瑠奈ちゃんを守ってくれてありがとうございます。」
花火大会が終わり、辺りは静けさに包まれた。  
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