88 / 229
第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸
第87話 南国での不思議体験
しおりを挟む
梅雨が終わり、本格的な夏を迎え、連日猛暑日が続いた。7月半ばのある日、出勤した雅文が、昼休みにアイスミルクティーを飲みながらテレビを見ていた。この日は所長が休みで、陳が所長代行。テレビでは、全国各地の夏祭りの様子が放送されていた。
「日本の夏祭りは、賑やかで楽しそうだな。」
長らく中国・香港・台湾を渡り歩いて来た陳にとって、日本の夏祭りは新鮮なものだった。大阪の天神祭は7月下旬、8月のお盆には、徳島で阿波おどり、夏の終わり頃には、なにわ淀川花火大会が開催される。テレビの画面が切り替わり、福岡の博多祇園山笠の様子を映し出した。その中に、一際可愛い女子が映った。
「あっ、あの子や!」
「知り合いなん?雅文。」
白い法被を着て、下は褌1丁の童顔の女子。この子は、昨年の秋に依頼で福岡に行った時に出会った。名は関谷 由梨。雅文の小学生時代の同級生で、6年生の頃に福岡へ引っ越した。
「可愛いな…。由梨ちゃん…。」
「日本の女って、感じね…。」
「また会いたいな、由梨ちゃん…。」
福岡の博多祇園山笠は、7/1~7/15まで開催されている。由梨は、あの一件を福岡で知った。
「雅文君、やるけんね。」
昨年の秋に再開した際、残暑厳しい時期だったので、庭に人が入れる大きさのタライを置いて、水を張り、水浴びした。
「行くで、由梨ちゃん。」
小さなタライで、雅文に水をかけてもらった。豊満な胸と尻に水が滴る。
「あはっ、良かと、雅文君。」
「由梨ちゃん、玲奈よりオッパイ大きい。」
玲奈とも水浴びし、お互い仲良くなった。
「あんっ、冷たくて気持ちいい~!」
その後、由梨のストーカーを特定。福岡有数の心霊スポット 旧犬鳴トンネルで、ストーカーとその仲間の暴走族 福岡博徒と対戦。由梨は、雅文達や心霊探偵 桐原孝太郎の力もあり、最後はストーカーに鉄拳制裁を食らわした。あれから1年、由梨は就職活動と卒業研究に励んでいる。
「雅文君、また会えたら嬉しいけん。」
思い出話を終え、雅文達は午後からの仕事に出た。それから1週間が経ち、雅文の高校では終業式を迎え、夏休みがスタートした。里香達にとっては、高校最後の夏休みであり、進路に向かう大事な時期である。終業式を終え、帰路に着く時、去り際に雅文は2人にこう言った。
「進路に向かって、頑張ってね。」
里香と由香里も、雅文にこう返した。
「あの時は、由香里のために戦ってくれてありがとうございました。」
「雅文さんも、探偵のお仕事頑張ってな。」
学校は夏休みとなったが、高校3年生という時期なので、受験勉強と就職活動に専念するためなのか、宿題はほとんど出されず、雅文は探偵の仕事に集中出来るようになった。終業式が終わった翌日、つまり夏休み初日、この日は午前9時に出勤。午前中は事務作業と調査報告書の作成に当たる。社用車が増えたことで、夏場の調査はより快適になった。車内でクーラーをかけておけば、張り込みも体力を温存出来、日光によるダメージも減る。夏場はなるべく体力の消耗を抑えて、調査できるかが鍵となる。休憩時間を終え、昼下がりになると依頼人が来た。
「あの、お話、よろしいでしょうか?」
どこか訛りのある口調で呟いた男性。坊主頭にバンダナを巻き、黒いTシャツに青いズボンでリュックを背負っている。発掘調査か何かのフィールドワークをしているような出で立ち。彼を迎え入れ、話を聞く。
「こんにちは。中村探偵事務所の神田雅文と申します。今回はどういった用件でしょうか?」
「はい。孫文記念館で研究員をしています金城浩二と申します。神戸に住んでいますが、生まれは沖縄の宮古島です。」
依頼人の名は、金城浩二 32歳。沖縄県宮古島市出身。高校卒業後に神戸大学へ進学し、大学院まで通い、アジアの歴史や文化について研究していた。孫文記念館に就職し、現在に至る。
「依頼なんですが、これ、私の友人のことなんですけどね…。私も半信半疑でまだ信じがたいことで、話せば長くなりますが、よろしいでしょうか…。」
「どうぞ。」
彼には、高校時代に仲の良かった親友がいて、彼とは高校卒業後も連絡を取っていた。彼の名は、我那覇弘毅。体育会系で、小学生からサッカーをやっており、かつてサッカー日本代表だった我那覇と名字が同じことから、代表イケる?と言われていた。彼は、サッカーの他にシャーマニズムや妖怪・神話などに興味があり、昔の漫画の「3×3EYES サザンアイズ」や「シャーマンキング」を愛読していた。高校卒業後、彼は沖縄本島にある唯一の国立大学の琉球大学に進学。人文社会学部琉球アジア文化学科に在籍し、琉球王国の国際関係や、洗骨文化・民俗信仰について研究していた。大学卒業後は、沖縄本島を拠点に、宮古島や西表島などの自然保護活動に務めている。半年前のある日、彼からLINEが来た。
我那覇(トプ画はジンベイザメ)
「宮古島や西表島、沖縄本島の近海で人魚の目撃情報が多発している。もし、実在していたら、俺は密漁者や乱獲から守りたい。その真偽を確かめに3か月後に、フィールドワークを始める。」
ここまでの少し不思議な話を、雅文は静かに真摯に傾聴していた。人魚は、伝承上の生き物で、ある国では神格化され、ある国ではバケモノとして恐れられている。日本では、八尾比丘尼という尼僧が人魚の肉を食べ、不老不死になったという伝説がある。近代には、人魚のミイラが発見され、どこかの寺に納められているが、本物かは分からない。その存在すらも、謎である。
「ただ、これも今に始まったことでは無いんですよ…。私も高校時代に彼とそれを見たかもしれないんで…。」
「人魚を、見た?…。」
ここまでの話を聞いていた美夜子は、事務作業を終わらせ、さりげなく雅文の横に座った。
「その話、興味深いわね。私にも聞かせて…。」
「「「私にも聞かせて…。」」って、「「かぐや姫」」のライブのアレか…。」
「お、中々の美らかーぎー、さね~!」
「吾輩は、桐島美夜子。探偵である。お話聞かせてくれるかしら?」
「日本の夏祭りは、賑やかで楽しそうだな。」
長らく中国・香港・台湾を渡り歩いて来た陳にとって、日本の夏祭りは新鮮なものだった。大阪の天神祭は7月下旬、8月のお盆には、徳島で阿波おどり、夏の終わり頃には、なにわ淀川花火大会が開催される。テレビの画面が切り替わり、福岡の博多祇園山笠の様子を映し出した。その中に、一際可愛い女子が映った。
「あっ、あの子や!」
「知り合いなん?雅文。」
白い法被を着て、下は褌1丁の童顔の女子。この子は、昨年の秋に依頼で福岡に行った時に出会った。名は関谷 由梨。雅文の小学生時代の同級生で、6年生の頃に福岡へ引っ越した。
「可愛いな…。由梨ちゃん…。」
「日本の女って、感じね…。」
「また会いたいな、由梨ちゃん…。」
福岡の博多祇園山笠は、7/1~7/15まで開催されている。由梨は、あの一件を福岡で知った。
「雅文君、やるけんね。」
昨年の秋に再開した際、残暑厳しい時期だったので、庭に人が入れる大きさのタライを置いて、水を張り、水浴びした。
「行くで、由梨ちゃん。」
小さなタライで、雅文に水をかけてもらった。豊満な胸と尻に水が滴る。
「あはっ、良かと、雅文君。」
「由梨ちゃん、玲奈よりオッパイ大きい。」
玲奈とも水浴びし、お互い仲良くなった。
「あんっ、冷たくて気持ちいい~!」
その後、由梨のストーカーを特定。福岡有数の心霊スポット 旧犬鳴トンネルで、ストーカーとその仲間の暴走族 福岡博徒と対戦。由梨は、雅文達や心霊探偵 桐原孝太郎の力もあり、最後はストーカーに鉄拳制裁を食らわした。あれから1年、由梨は就職活動と卒業研究に励んでいる。
「雅文君、また会えたら嬉しいけん。」
思い出話を終え、雅文達は午後からの仕事に出た。それから1週間が経ち、雅文の高校では終業式を迎え、夏休みがスタートした。里香達にとっては、高校最後の夏休みであり、進路に向かう大事な時期である。終業式を終え、帰路に着く時、去り際に雅文は2人にこう言った。
「進路に向かって、頑張ってね。」
里香と由香里も、雅文にこう返した。
「あの時は、由香里のために戦ってくれてありがとうございました。」
「雅文さんも、探偵のお仕事頑張ってな。」
学校は夏休みとなったが、高校3年生という時期なので、受験勉強と就職活動に専念するためなのか、宿題はほとんど出されず、雅文は探偵の仕事に集中出来るようになった。終業式が終わった翌日、つまり夏休み初日、この日は午前9時に出勤。午前中は事務作業と調査報告書の作成に当たる。社用車が増えたことで、夏場の調査はより快適になった。車内でクーラーをかけておけば、張り込みも体力を温存出来、日光によるダメージも減る。夏場はなるべく体力の消耗を抑えて、調査できるかが鍵となる。休憩時間を終え、昼下がりになると依頼人が来た。
「あの、お話、よろしいでしょうか?」
どこか訛りのある口調で呟いた男性。坊主頭にバンダナを巻き、黒いTシャツに青いズボンでリュックを背負っている。発掘調査か何かのフィールドワークをしているような出で立ち。彼を迎え入れ、話を聞く。
「こんにちは。中村探偵事務所の神田雅文と申します。今回はどういった用件でしょうか?」
「はい。孫文記念館で研究員をしています金城浩二と申します。神戸に住んでいますが、生まれは沖縄の宮古島です。」
依頼人の名は、金城浩二 32歳。沖縄県宮古島市出身。高校卒業後に神戸大学へ進学し、大学院まで通い、アジアの歴史や文化について研究していた。孫文記念館に就職し、現在に至る。
「依頼なんですが、これ、私の友人のことなんですけどね…。私も半信半疑でまだ信じがたいことで、話せば長くなりますが、よろしいでしょうか…。」
「どうぞ。」
彼には、高校時代に仲の良かった親友がいて、彼とは高校卒業後も連絡を取っていた。彼の名は、我那覇弘毅。体育会系で、小学生からサッカーをやっており、かつてサッカー日本代表だった我那覇と名字が同じことから、代表イケる?と言われていた。彼は、サッカーの他にシャーマニズムや妖怪・神話などに興味があり、昔の漫画の「3×3EYES サザンアイズ」や「シャーマンキング」を愛読していた。高校卒業後、彼は沖縄本島にある唯一の国立大学の琉球大学に進学。人文社会学部琉球アジア文化学科に在籍し、琉球王国の国際関係や、洗骨文化・民俗信仰について研究していた。大学卒業後は、沖縄本島を拠点に、宮古島や西表島などの自然保護活動に務めている。半年前のある日、彼からLINEが来た。
我那覇(トプ画はジンベイザメ)
「宮古島や西表島、沖縄本島の近海で人魚の目撃情報が多発している。もし、実在していたら、俺は密漁者や乱獲から守りたい。その真偽を確かめに3か月後に、フィールドワークを始める。」
ここまでの少し不思議な話を、雅文は静かに真摯に傾聴していた。人魚は、伝承上の生き物で、ある国では神格化され、ある国ではバケモノとして恐れられている。日本では、八尾比丘尼という尼僧が人魚の肉を食べ、不老不死になったという伝説がある。近代には、人魚のミイラが発見され、どこかの寺に納められているが、本物かは分からない。その存在すらも、謎である。
「ただ、これも今に始まったことでは無いんですよ…。私も高校時代に彼とそれを見たかもしれないんで…。」
「人魚を、見た?…。」
ここまでの話を聞いていた美夜子は、事務作業を終わらせ、さりげなく雅文の横に座った。
「その話、興味深いわね。私にも聞かせて…。」
「「「私にも聞かせて…。」」って、「「かぐや姫」」のライブのアレか…。」
「お、中々の美らかーぎー、さね~!」
「吾輩は、桐島美夜子。探偵である。お話聞かせてくれるかしら?」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる