上 下
84 / 188
第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第83話 battle3

しおりを挟む
    白熱の大幹部との死闘も大詰め。両軍の組長にかなり近づいてきた。Golden TigerのG-Tiger5は全滅(逮捕 3人 死亡 2人)、髑髏城隊長軍は残り2人。大幹部もそれぞれ残り1人となった…。

センタープラザ西館 3階
ホビーステーション 神戸三宮店
米山源三VS古塚克明
ホビーステーションというだけあって、オモチャやプラモデルが数多く陳列されている。そんな遊び場のような場所で、屈強な男2人が力比べをしていた。
「ぐぬぬぬぬ!!!」
「デカいだけやろ、お前は!!」
克明は、源三を押し倒し、ジャンプしてエルボードロップを食らわす。
「ぶへぇ!!」
巨体である分だけ、動きが鈍いのが弱点。克明は動きが俊敏で、リーチも長い。
「クソォ…。舐めんなよ、俺を!!」
パンチするも、軽くかわされ、逆に蹴りを入れられ、顔面に連続パンチをお見舞いされ、鼻血を噴き出して悶絶する。
「畜生!!」
「フン、動きが遅い…。」
敏捷性・俊敏さに欠ける源三、だが、彼の持ち味は屈強なパワー。それを発揮出来れば一撃で倒すことも可能。

(落ち着け、落ち着くんや、俺…。アイツはスピードがある。俺は避け続ければ、消耗を抑えられる。)
精神統一をして、落ち着きを取り戻した源三は、辺りを見渡す。ここはホビーステーション。隠れる場所は十分ある。
「よし!」
一目散に走り出し、店内を駆け回る。それを克明が追いかける。
(どこかに、どこかに隠れる場所があるはずや。)
追いかけっこを続け、克明の体力の消耗を狙う。克明を尻目に、源三は物陰に隠れてチャンスを窺う。
(ハァハァ…。もうすぐや…。)
そして、近づいてきたところを横から襲撃。
「オラァ!」
「フン!」
しかし、カウンターパンチを食らい、鼻血を出してふらつく。それでも、何とか踏みとどまった。
(ここで退いたらアカン!)
「もう一発!」
もう一度、正拳が来たが、かわして腕を掴んで、一本背負いで投げ飛ばした。
「ぐおぉ!」
「逃がさへんぞ!」
仰向けに倒れた所に、馬乗りになって跨る。体重90㎏ある源三は、パワーが持ち味。一度、巨体で押さえ込めば、相手は逃げられない。
「くそぉ!」
「さぁて、今まで俺をボコボコにしてくれたなぁ!この俺様の必殺技を受けて見ろ!」
右の拳に、全ての力を凝縮させ、全体重を乗せた重いパンチを、顔面に振り下ろした。
「黒豹拳法 豹重拳!」
渾身の一撃で倒した。今までのダメージが蓄積した源三は、何とか立ち上がって、勝ち名乗りを挙げた。
「渾身の一撃を、侮るなかれ…。」

○米山源三VS古塚克明●

店から出ると、警官が、撃破した大幹部達を逮捕して連行していた。ダメージを負いながらも勝利した李羅と正昭が迎えてくれた。
「勝ったのね。」
「あぁ!」
「残りは組長だけやな。」
入念なウォーミングアップを済ませたリーダーが、組長のいる場所を特定した。
「よし、じゃあ、みんな。私は必ず勝って戻ってくる。」
「はい!」
リーダーは、ダッシュでその場所へと向かった。

センタープラザ西館 2階
MS WORLD 三宮店
陳青鴻・烏丸雫VS岡部陵
陳は隅で、腕を組んで戦いを見守っている。雫と陵が相対している。ここまで雫は攻撃を避けているが、陵の身体能力が高く、じわじわと追い詰められていた。
「どないした?さっきから逃げてばかりやな?」
(雅文と美夜子はどないなったんや?)
雫のスマートフォンに、雅文から着信が来た。
「もしもし、雫さん。雅文です。」
「雅文!今どこにおるん?」
「今、髑髏城の組長がいるゲームセンターを特定しましたので、そこに向かっています。大幹部2人倒しました!」
「大幹部2人倒したんやな?よっしゃ、ありがとう!後はウチらだけや!頼んだで!」
「雫さんも健闘を祈ります!」
ここで電話は終了。雫は立ち上がって、陵に毒づいた。
「アンタが余裕でおれるんも、今のうちや。大幹部2人はもう倒された。後はアンタだけや!」
「な、まさか、舞と俊也がヤラれたやと…。おのれ、許さん!お前だけでも殺してやる!」
仲間が倒されたことに、怒りが爆発した陵は、激昂して襲い掛かってきた。
「怒りに震えてるだけやな…。」
「うるせぇよ!」
雫は上手くいなして、攻撃を避け続ける。一瞬の隙を突いて、懐から催涙スプレーを取り出し、間合いを詰めて、顔面に食らわした。
「毒霧の術!」
「うわぁぁぁぁぁ!」
悶絶した所で、横腹に蹴りを入れ、金的をお見舞いした。陵の動揺と怒りの様子を見て、雫はあることを察した。
「貴方、何か過去に因縁や隠し事が、あるんやないの?」
催涙スプレーの刺激と金的の痛みで、涙目になりながらも、陵は立ち上がって、落ち着いて答えた。
「流石は探偵やな…。ハァハァ…。あぁ、そうや。俺の異名は「「残虐王」」。これは、俺が昔、大阪で半グレ集団の頭として暴れていた頃の異名や。その名をつけてくれたんは、東京に存在していた反社会的勢力 コロニアリズムの六道衆と呼ばれる幹部の1人 暴力王こと谷郷一騎さんや。」
「コロニアリズム!?」

現役グラビアアイドルの斎藤朱里が、高校時代に体験した反社会的勢力 コロニアリズムとの戦いを描いた小説「奴隷ゲーム」。そこに登場したコロニアリズムのボスを含めた6人の幹部、六道輪廻から取って、六道衆と呼ばれた。その中の1人、暴力王という異名のある大阪出身の大男がいた。彼は20代の頃に、大阪で半グレ集団を経て、ヤクザになり、その後、上京してコロニアリズムに入った。当初、コロニアリズムは高校生の朱里とその親友 麻衣に狙いを定めて、奴隷ゲームを開始したが、朱里が乱交パーティーとグラビアオーディションで出会ったOL 楓と協力して、セブンスパーティーを結成し、コロニアリズムと全面戦争となり、暴力王は朱里を追い詰めたが、追いかけている最中、赤信号で飛び出し、トラックに撥ねられて即死した。雫もこの小説を読んだが、そこで衝撃を受けた。かつて、自分が所属していたアイドルグループ Sexy Amazonesのプロデューサー兼メンバーの東海林貴臣が、コロニアリズムのボスだったからだ。グループが解散したのは2010年。コロニアリズムが結成されたのは2015年。芸能界から消えた貴臣は、反社会的勢力を結成したのだ。このことを知った当初、雫は驚きを隠せなかったが、作中の終盤に、貴臣の過去が描かれ、背景を知った雫は貴臣の事情を理解した。

「私がお世話になった貴臣さんが、反社会的勢力を結成した事情は分かったの。せやから、別に貴臣さんを軽蔑なんかしてへん。」
「そうか。せやけど、俺はこの「「奴隷ゲーム」」のコロニアリズムとの戦いと、今回のGolden Tigerと我々との戦いに、ある共通点を見つけた。「「奴隷ゲーム」」では、当時高校生やった齋藤朱里が、親友の武富麻衣のために立ち上がり、セブンスパーティーとやらを結成して立ち向かった。今回の件の発端は、Golden TigerのJKビジネスにハマった友人を救うために、里香とかいう小娘が、探偵に依頼した。そして、その友人が他の女子高生達に奮起を促し、JKビジネスを壊滅させた。少年少女の革命ごっこに、潰されたようなモンや!!」
「革命ごっこやない!本物の革命や!」
「ほざくなゴラァ!!」
激怒した陵の連続攻撃が来た。雫はかわそうもするも、避けきれず食らってしまった。
「うっ!」
「ハッハッハッ!革命ごっこなんか無駄や!」
雫の頭を掴み、UFOキャッチャーのガラスにぶつけた。ガラスは割れ、破片が飛び散る。そのまま床に放り投げ、執拗に踏みつける。
「うぅ!!」
「少年少女の出来心の革命で、反社会的勢力を潰しよって!!そのせいで、裏にいる奴らがどれ程迷惑被ったと思ってるんや!」
この状況下でも、陳は静かに見つめている。
「オイ!陳やか李やか知らんけど、そこの中国人!!コイツを見捨てたんか?それとも、怖じ気ついて攻撃出来ひんのか?ハッハッハッ!」
「私は、彼女が自分の意思で交代するのを待っているだけだ。」
「そうか、分かった。痛めつけるのも後味悪いわ。交代や。」
雫はふらつきながら、立ち上がり、陳と交代した。
「後は頼んだわよ。」
「あぁ…。任せておけ。」

「私は、陳青鴻。台湾と香港で探偵をしていた。コロニアリズムとは、植民地主義という意味だな?いつまでも古い思想に凝り固まった哀れな者よ…。葬ってくれよう…。」
その言葉に反応した陵は、間髪入れずに猛攻撃を仕掛ける。陳は攻撃を受け、防御に徹して、チャンスを伺う。
「ハッハッハッ!!その通り!コロニアリズムとは、植民地主義という意味や!お前が探偵をやっていた台湾と香港は、その昔、欧米列強の植民地やったやないか!!ハッハッハッ!周庭?黄之峰?オードリー・タン?ハッハッハッ!ソイツらなんか俺の手にかかればクチャクチャや!!」
陵の挑発に怒りを覚えた陳は、正拳に正拳で返した。
「ぐわぁ!!」
「植民地主義など、もう時代遅れだ。人は自由を求めるものだ。だが、支配する自由などは無い!!」
内ももに強烈な回し蹴りを入れ、連続で鳩尾にパンチを入れる。
「テメェ…。何が自由や!!植民地は植民地で、永遠に奴隷や!!」
殴りかかって来たが、冷静にかわして、力を込めた正拳を、腹にお見舞いした。
「ぐわぁ!!!!!」
「自由を求める者を、止められやしない!!!」

◯陳青鴻・烏丸雫VS岡部陵●

その後、髑髏城の隊長2人も逮捕され、髑髏城の幹部は全滅した。そして、雅文と美夜子は、髑髏城組長の元に辿り着いた。

センタープラザ西館 2階
ゲームセンター キングダム
挨拶代わりに雅文が、エアガンで狙撃した。
「痛いな、コラァァ!!」
「待たせたな、友梨亜…。私は、神田雅文。探偵や!!!」
「同じく。我輩は、桐島美夜子。探偵である!!」
友梨亜を救出し、ここからは大将戦となる。

神田雅文・桐島美夜子
VS
大山田貫爾・菅沼拓郎

不敵な笑みを浮かべ、戦闘体勢に入る貫爾と刀を抜く菅沼。
「ハッハッハッ!メキシコとコロンビアで暴れ回ってた頃を思い出すわ!!」
「フフフ、切り刻んでやろうか?」

センタープラザ西館 3階
由香里を救出し、里香と再会出来た。
「由香里!大丈夫やった!」
「うん!助けに来てくれたんや!ありがとう!」

松本孝一VS鬼塚虎吉
お互いに上半身裸になり、筋骨隆々な様子が伺える。
「JKビジネスを潰された時から、俺はムカついとったんや!!まぁ、このままお前ら潰せば、関西の天下は俺らのモノや!」
「フン、お前達の好きにはさせへん!!由香里ちゃんは、もう自由や!!」
しおりを挟む

処理中です...