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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第77話 カンフー師弟

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    髑髏城隊長軍がセンタープラザ西館から、本館に向かっていた。連絡通路の下は、テレビ局のワゴン車などが停車し、報道関係者が現場に行き、この戦いの様子を生中継で報道。更にその横では、敗北したGolden Tigerと髑髏城の兵士が、次々とパトカーに乗せられ、警察に連行され、パトカーは警察署と現場を往復していた。
「フフ、あの神田雅文という探偵が生きていたとは、大したモンや。せやけど、再び舞い戻って来るとは、わざわざ殺されに来たのも同然や。」
日本刀を持ち、不敵な笑みを浮かべる第3支部隊長 刈谷雅丈。その横にいる副隊長 塩谷美香は小刀を抜き、舌舐めずりしている。
「まぁ、あんな探偵共とGolden Tigerとかいう半グレ集団なんか、切り刻んで血祭りにしたるわ。」
侍がタイムスリップしたような出で立ちで、日本刀を持っている第5支部隊長 河原林太郎丸と、くノ一のような服装の青葉凛子は、昨年の夏の戦いを振り返っていた。
「あの時は、警察の邪魔が入ったが、今回は殺したい奴らのオンパレードや。全員斬り殺してやらぁ!!」
「このセンタープラザが、血に染まるで…。」
ライフルを持った金髪の黒Tシャツのイギリス人。第6支部隊長のロバート・フォルチェ。イギリスでは名の通った殺し屋で、これまで26人殺している。
「hey hey!I want to kill enemy!!」
副隊長の今村奈央は、スタンガン使いで、この2人の連携攻撃を食らうと、ほぼ確実に殺される。そんな危険な6人が本館に乗り込んだ。この集団のまとめ役の、刈谷雅丈が組長からの伝言を伝えた。
「Golden Tigerの組長並びに大幹部は、まだ泳がせておき、見つけても、こちらからは攻撃しない。仮に攻撃されても、なるべく攻撃をかわし続けること。いいな。」
そう言って、一同は本館に乗り込んだ。

    四面楚歌となった玲奈を助けたのは、昨年の秋に調査で出会った「甘茶楼」のマスター 陳青鴻だった。
「音無玲奈、探偵か。またいつか出会えそうだな。そうだ、私の連絡先を交換しよう。」
連絡先を交換し、非常事態が起きたら、いつでも呼んでくれ、と言われた。 
「ホンマに来てくれたーー!!!!ジャッキー・チェンみたいやー!!!!!」
現れた救世主に玲奈は、興奮して欣喜雀躍した。
「私は、台湾と香港にいた頃は拳法家としても、活躍していた。さぁ、かかって来るがいい、小悪党共!!」
「何のマネか知らんけど、調子乗んな、オッサン!!!」
髑髏城の兵士5人が一斉に襲ってきた。彼はひょいとかわして、横腹に正拳突きを食らわした。
「遅い…。」
「オラァ!」
正面の敵に蹴りを入れ、そのまま他の奴らも蹴りで倒した。
「フン、1人で何も出来ぬ臆病者め。」
倒された兵士は、警官に逮捕されパトカーに送られた。3人のキョンシーガールの動きが止まったのを見計らい、早業でお札を剥がした。
「これで、呪縛から解かれた。」
お札が剥がれたキョンシーガール達は、我に返った。
「あれ?一体何を?」
「確か、あのお札を付けられてから、意識が飛んだというか…。」
お札の裏には、幻覚剤の一種 LSDが塗られ、それで操られていた。お札を持って、念のため、キョンシーガール達は警官の保護の下、病院へ行って治療を受けることとなった。
「陳さん、会えて良かったー!!」
玲奈は、陳に抱きついた。戦場ではぐれて心細かった玲奈にとって、救世主のような存在に見えた。
「私もだ。再び玲奈ちゃんに会えるとはな。事情は電話で聞いたよ。今はこの戦いを生き延びることだ。」
冷静に答え、2人は3階へ向かった。

所長・雫・里香サイド
Golden Tigerの兵士に取り囲まれ、所長は半ばリンチのような状態で苦戦していた。
「くっ…。数が多すぎる…。」
里香はG-Tiger5の樹銀丈に捕らえられ、雫は応戦したが、兵士に阻まれた。
「フフ、意気がった所で、お前は1回ウチの兵士にヤられとるやないか。」
「あんたらこそ、タイマン勝負出来ひん癖に…。意気がってんのは、そっちやろ?」
「雫さん…。」
「まぁええわ。コイツの前に、まずはお前から死ねぇ!!」
拳銃で発砲しようとしたその時、何者かが彼の横に現れた。
「黒豹拳法 黒豹正拳!!!」
「ぐはぁ!!!」
正拳突きを食らい、樹はバランスを崩した。すると、兵士達も次々と倒され、警官に取り押さえられ、逮捕された。
「待たせたな。」
「誰やおま、あっ!?テメェは!!」
「KANSAI BLACK PANTHERリーダーの松本孝一。元大阪府警の警官や。」
周りにいた警官達は、彼に敬礼した。
「Golden Tigerよ。私の友人の故郷を、荒らさんといてくれるか…。侵略者には、裁きを与えよう!!」
Golden Tigerとの因縁が出来るきっかけとなった、JKビジネスの一件で力を貸してくれた関西のレジスタンス勢力 KANSAI BLACK PANTHERである。他のメンバーが里香を救出。
「大丈夫?里香ちゃん。」
「李羅さん、久しぶりです。」
所長は松本に状況を説明した。
「2階の連絡通路が封鎖された?!」
「センタープラザ本館から西館までの連絡通路は、3階にもある。しかし、そこももうじき封鎖されるやろう。」
「成る程な。」
「敵は、Golden Tigerだけやない。髑髏城もいる。」
「三つ巴の全面戦争か、心して臨もうか。では、コイツは私に任せて、先へ行ってくれ。」
そう言って、松本は樹の相手を引き受け、所長達と他のメンバーらを3階へ向かわせた。
「私も後で向かう!!心配するな!!」
こうして、KANSAI BLACK PANTHERは、中村探偵事務所サイドに参戦した。

KANSAI BLACK PANTHER 松本孝一
VS
Golden Tiger G-Tiger5 樹銀丈

間合いを取り、お互い睨み合う。
「まさか、ここで会えるとはな。」
「元はと言えば、あの由香里とかいう小娘が、反乱起こしたせいや。まぁ、あれは済んだことやから、ええけど。ここからは関西の裏社会の覇権を獲る。そのための戦いや。」
先に動いたのは、樹の方だった。特殊警棒で殴りかかるが、松本は咄嗟にかわし、鳩尾に蹴りを入れ、正拳をお見舞いした。
「ぐわぁ!」
「フン、大したことないな。」
「あぁ?!大したことないやとゴラァ!!」
懐から拳銃を出し、発砲したが、それもかわし、拳法の連続攻撃をお見舞いする。
「黒豹拳法 連舞!!手刀!正拳!回し蹴り!膝蹴り!飛び蹴り!」
首に手刀、顔に正拳、太ももに回し蹴り、顎に膝蹴り、腹に飛び蹴りと連続で攻撃する。
「オォ…。」
右の拳に力を溜め、眉間目掛けて猛然一撃。
「黒豹 タンクー正拳!!!」
「ガアァァァ!!!」
樹は倒れ込み、警官に逮捕された。
「ご協力ありがとうございます!」
警官に敬礼されたが、彼は謙遜した。
「私は元警官。現役やないよ。さて、彼らの元へ急ごうか。後は頼んだで。」
「はっ!!」

○松本孝一VS樹銀丈●
中村探偵事務所 3勝
Golden Tiger 1敗

雅文・美夜子サイド
3階に到達し、連絡通路を目指す。3階には、ゲームセンターやアニメイトがあり、オタク文化がある。
「あれ?雅文さん何してるん?」
現れたのは、同級生の鬼塚萌那・神宮祥子・姫野愛美の3人。名字の頭文字を取って、鬼神姫と言われている。
「今ここは戦場になっとる。」
「戦場?!」
雅文は3人に事情を説明する。
「Golden Tigerって、里香と由香里を狙ったヤツやんな!」
「あぁ、そこに髑髏城も絡んでる。」
髑髏城と聞いて、萌那の顔色が変わる。
「髑髏城…。去年の夏、私の友人がアイツらに殺された!!」
「友人?」
雅文の脳裏をよぎる昨年の記憶。夏休み明け、萌那は少し浮かない顔をしていた。ひょっとしたら、その一件が関連しているかもしれない。
「分かった。一緒に戦おう!」
「くれぐれも無茶はせぇへんことよ。」
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