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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸

第75話 三つ巴

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    両軍が入り乱れる乱戦が繰り広げられ、時間の経過と共に撃破された敵兵から順に警官に逮捕され、徐々にだが、戦局は雅文達に傾いてきた。

所長・雫・里香サイド
里香を死守しながら、敵兵を蹴散らして、2階へ辿り着いた。センタープラザ本館2階には、西館への通路があるが、まずは由香里を救出することが最優先。所長はGolden Tigerの組長・幹部一派が本館にいると睨み、2階を探し回る。その頃、本館4階には、組長・幹部らがいた。
「ハッハッハッ!2階へ来たようやな。まぁ、こんな所でヤられてもろうてもつまらんしな。」
由香里は縛られた状態で、床に座っていた。組長の後ろに控える3人の大幹部が睨みを効かせる。
(雅文さん達、来てくれたんや!)
戦いが始まって30分は経過した。縄が食い込み始めて、痛みが生じる。
「ねぇ、縄が食い込んで痛いんやけど…。」
「あぁ?あぁ、悪かったな。ほどいたるわ。」
組長は、あっさりと由香里の縄をほどいた。
「えっ?」
「あくまでもお前は、アイツらを誘き出すための餌。殺す気はない。その代わり、逃がさへんで。」
大幹部達に睨まれ、由香里は身動きがとれない。
「さて、30分以上経ったな。よし、G-Tiger5を解放する!探偵と警官共をギタギタにしてええぞ。」
そう言った直後、G-Tiger5の面々は、下の階へと下りていった。
「ハッハッハッ!探偵共がG-Tiger5に勝てるかどうかやな?惨殺した死体なら、ここに持ってきたるで。」
組長は由香里を嘲笑した。
(頼む…。雅文さん達、頑張って!!)
由香里は、祈ることしか出来なかった。

雅文・美夜子・玲奈サイド
一方、その頃、2階への階段を上っていた3人。2階に辿り着いた3人の前に、髑髏城の 兵士が立ちはだかる。
「グハハハハハハ!!!!俺様を忘れたとは言わさへんで~!!!」
シルクハットを被り、ドクロTシャツに、黒いビキニパンツを履いたハリウッドザコシショウのような出で立ちの大男は、昨年の夏に友梨亜の一件で戦ったヤツである。
「お前確か、土曜プレミアムでナレーションしとった…。」
雅文の無茶振りにも、ヤツは真摯に対応した。
「今夜の「「土曜プレミアム」」は、ジャッキー・チェン主演の、「「ポリスストーリー 香港国際警察」」!!って、それは、バッキー木場や!!」
「「「ポリスストーリー 香港国際警察」」って、貴方、シブいわね。」
「じゃかあしい!!!」
このノリツッコミの流れに、玲奈も便乗する。
「ブリーフを何十枚も履いて、ネタやってる人!」
「ハイ、好き?嫌い?好き?嫌い?好き?嫌い?嫌いじゃないけどー、ってちゃうわ!ヒッキー北風の下り、疲れるねん!」
「何の時間なの?」
「美夜子さん、辛辣~。」
「黙れ、そこぉ!ハァハァ、俺は、髑髏城3番支部上級兵士 リッキー吉川様や!雅文と言うたな?死んだ思うたら、生きとったんやなぁ!?グハハハハハハハハハ!!あの時、その女を庇って、撃たれとったなぁ?啖呵切っとったなぁ?」
バカにする口調で詰め寄り、雅文を挑発する。雅文の目に、静かな怒りが込み上げる。
「お前、無事でおれると思うな…。」
「ハァ?何て~?」
「日本刀で、斬り殺してやりたいわ。」
挑発しながらも、リッキー吉川には作戦があった。
(よし、今のうちに玲奈とかいう小娘を、あの2人から引き離したろ…。)
後ろ手でスマホを操作し、仲間を呼んだ。すると、中国風のBGMと共に黒いチャイナドレス風のワンピースを着た3人の若い女子と、満州人風の出で立ちの小太りのオジサンが、キョンシーのように腕を前に出し、両脚を閉じた状態でジャンプしながら現れた。額には、お札が貼られている。
「你好嗎!私は、髑髏城本部上級兵士 キョンシー九竜アルネ!」
中国史を始め、歴史に精通している美夜子は、落ち着き払った口調でツッコミを入れる。
「キョンシー九竜って、キョンシーは満州民族が支配していた清朝の妖怪、九竜は香港の九竜半島、色々と時代錯誤してるわ。」
「ゴチャゴチャ、ウルセィヨ!死了、死了(死ね、死ね)!」
「どこで覚えた兵隊志那語が知らないけど、愛新覚羅溥儀の生涯のような深みもない中年の、キョンシーごっこに付き合ってる暇はないわ。」
「ヤレェ!」
キョンシー九竜が号令を出すと、3人のキョンシーガールと数名の兵士が玲奈に向かって襲い掛かる。
「殺サズニな!追い回して追い回して追い回せ!」
10人の手下に追われ、玲奈は強制的に雅文・美夜子の元から引き離された。
「それが狙いやったのね!」
「食らえ、爆竹地獄!」
そう言うと、10本の爆竹の列に火をつけ、美夜子に投げつける。木刀で払いのけ、かわしたが、爆音と熱波と煙のダメージを受けた。
「美夜子!」
助けに行こうとする雅文に、リッキー吉川が攻撃する。
「びっくり鈍器~!」
レンガを投げつけられ、頭と腹に直撃してうずくまった。
「ゲホゲホ…。ハァハァ…。」
「グハハハハハ、同じことの繰り返しや。観念せぇ。」
煙の中から立ち上がった美夜子は、キョンシー九竜に木刀で猛然一撃をお見舞いした。
「ガァァァ!」
「キョンシーめ、吾輩が天誅致す!」

中村探偵事務所 神田雅文VSリッキー吉川 髑髏城
        桐島美夜子VSキョンシー九竜

所長・雫・里香サイド
センタープラザ本館から西館への連絡通路へ向かうも、何者かの手によって封鎖されてしまっていた。
「くっ…。待てよ?まさか!」
これは、髑髏城の作戦でボスと大幹部達は西館におり、雅文達が来れないようにしていたのである。そうこうしていると追いついてきたGolden Tigerと髑髏城の兵士達が襲ってきた。Golden Tigerの兵士達は、里香と雫を所長から引き離し、追いかけ回した。
「しまった、雫!里香!」
追い回され、はぐれた2人。途中、何人かの兵士を警官が逮捕したが、前方からも兵士が現われた。そこに1人の警官が現われた。
「大丈夫かいな、お嬢さんたち。」
黒い制服で、いかにも前時代的でまるでドン・キホーテのコスプレ衣装のようである。Golden Appleとの戦いで、偽覆面パトカーに騙された里香は、注意深く観察し、質問した。
「警察手帳は?」
そこに追いついた警官がやってきて、彼を偽物だと見抜いた。
「お前は、ニセ者やー!」
「チッ、バレたらしゃあないな。」
彼は、近づいてきた警官に催涙スプレーを噴射し、拳銃を奪って返り討ちにした。帽子を取ると、黒髪を結った細身の顔が出てきた。
「俺は、G-Tiger5の1人、元詐欺師の樹銀丈様や。」
彼は、かつてオレオレ詐欺を利用して、大阪を拠点とした詐欺グループを結成し、荒稼ぎしていたが、摘発されて東南アジアに逃亡。逃亡先のタイで国際ロマンス詐欺を行っていたが、反政府運動によるクーデターの影響で帰国。その後、Golden Tigerに入り、G-Tiger5の一員となった。
「樹銀丈、貴様、詐欺師やな!」
警官に発砲し、声を荒げて、里香を睨みつける。
「樹銀丈様な!呼び捨てにすんな、ポリ公の分際で…。お前が里香言うたな。JKビジネス潰しよって、どないしてくれるんや、あぁ!!まぁ、ええわ。俺の他にも、G-Tiger5のメンバーは、このエリアを闊歩してるんや。お前の仲間も殺されるんは、時間の問題や…。」
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