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第4章 六凶編 VS 百鬼夜行之衆・猛毒獣大陸
第73話 バトルオブ神戸三宮
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2人を誘拐した両者は、急いで三宮センタープラザに向かっていた。その頃、同時刻にGolen Tigerと髑髏城からの使者が1人ずつ、中村探偵事務所のポストに果たし状を投稿した。探偵事務所では、この日は全員出勤しており、全員が業務を終えて戻って来ていた。時刻は17:30。雅文のスマホに里香から電話がかかってきた。
「もしもし。里香か?どないした?」
「雅文さん!大変です!由香里が攫われました!」
「ん?!どういうことや!!」
雅文のただならぬ様子に、一同は一斉に目を向けた。
「あの由香里のJKビジネスの一件で倒したGolden Fruitの、親玉のGolden Tigerに攫われたんです!」
雅文の脳裏では、この件についての推理がスーパーコンピューター並みの速さで展開された。あの時、Golden Apple・Golden Banana・Golden Peachを潰し、最後はKANSAI BLACK PANTHERの手によって、Golden Frultは壊滅。ここでは、由香里達をJKビジネスから解放し、JKビジネスのGolden Frult一派を壊滅させ、当初の目的を果たし、勝利を収めて終戦したかのように思えた。しかし、Golden Appleに勝利した時に店長の、近藤太一が吐き捨てたあの一言
「俺を逮捕できたからって、これで終わりやないぞ。Golden Tigerの餌食となるがいい!!」
これが伏線になっていたのではないか。Golden Tigerはそれから1年もの間、音沙汰無しだった。これは、復讐の準備をしていたと考えると、全てが繋がる。
「そうか、この戦いはまだ終わってへんかったんや!!」
「はい。」
「教えてくれてありがとう。里香ちゃん、事務所まで来てくれへんか?」
「分かりました。向かいます。」
ここで電話でのやり取りは終了。雅文は電話で話したことを所長に報告し、全員で情報を共有。所長は元警察の経験を活かして、統率力を発揮し、迅速な作戦会議に移った。
先程までのゆったりした雰囲気から一転し、緊張感の漂う張り詰めた雰囲気になった。ここに到るまでの経緯、Golden Tigerと髑髏城との因縁を整理し、会議を始める。
「Golden Tigerは由香里を、髑髏城は友梨亜を誘拐した。この2人は以前、我々が取り扱った案件の依頼人と重要参考人である。JKビジネスのバックには、半グレ組織がいた。そして、ストーカーの1人は同じく半グレ組織の手下。両者が我々を共通の敵と定め、2人を誘拐し、我々を誘き寄せて、全面戦争に持ち込もうと言うのが、奴らの狙いと見た。」
元警察の勘が冴え渡る。そこに先程、電話してきた里香が事務所に着いた。
「あ、お話し中すいません。」
「里香ちゃん、よく来てくれた。さぁ、上がって。」
制服のまま、事務所に訪れた里香。1度席に着かせ、話に入れる。
「所長さん、ポストを拝見したんですが、Golden Tigerと髑髏城から、果たし状が来ていました。」
手紙のようなもので、それをテーブルの上に広げると、こう書かれてあった。
「Golden FruitのJKビジネスを潰した憎き山本由香里は預かった。我々は、三宮センタープラザにいる。JKビジネスを潰されて損害を被った。お前達、中村探偵事務所に宣戦布告する。
Golden Tiger」
「友梨亜は預かった。殺したはずの神田雅文、貴様が生きているのは分かった。今度こそ仕留めてやる。場所は三宮センタープラザだ。全面戦争だ。
髑髏城」
この2通で、奴等の狙いと所長の予想が、ピッタリと一致した。JKビジネスを潰されたGolden Tigerと一戦交えた髑髏城の両者が、その後、何かの準備をしていたかのように音沙汰無しになったのも説明がつく。三宮センタープラザに待ち構えるGolden Tigerと髑髏城、そこに中村探偵事務所が乗り込めば、三つ巴のバトル・ロワイアルになる。
「成る程な。これは全面戦争や。」
所長は鋭い眼光で、静かに呟いた。声は小さかったが、重厚感があった。里香は、この緊張感に唾を飲んだ。
(これから全面戦争…。由香里、大丈夫なんかな…。)
あの時、由香里はほぼ1人でJKビジネスに立ち向かい、Golden Fruit一派に喧嘩を売った。里香は由香里の勇気を讃えたが、今回は親玉のGolden Tiger、更に髑髏城と反社会的勢力が2組も絡んでいるとなると、この戦いは無謀だと感じ、心のどこかで後込みしていた。
(でも、前は由香里が戦ったんや。今度は、私が戦う番や!!)
怯える自分を奮い立たせ、里香は声を絞った。
「あの、私も戦います!!」
勇気を見せた里香に、所長は優しく呟いた。
「ええやろ。前回は由香里ちゃんを救うために、依頼してくれた。由香里ちゃんは皆をJKビジネスから救おうと奮闘した。君達の勇気と友情に、私は心打たれた。よし、一緒に戦おう。」
所長は、里香の頭をポンポンし、背中を軽く叩いた。それに、他のメンバーも続く。
「私も、髑髏城にヤられたからな。この借りは返す。騎士として、囚われたプリンセスを助けるのは、当然のこと。」
「私も、雅文をあんな目に遭わせた髑髏城の奴らが許せないわ。叩っ斬ってくれる…。悪党には、鉄拳制裁してやりたいわ…。容赦なくね。」
「ウチも、Golden Fruitにヤられた傷が疼くわ…。ヤられっぱなしは嫌やしな。ウチの出番欲しいし、美味しいところは頂戴。」
「玲奈も、雅文さんがヤられた時には、何も出来ひんくて悔しかった…。せやから、今回は雅文さん達の役に立ちたい!玲奈も戦う!」
全員の闘志を感じ、所長は胸が熱くなる。
「よし!武器は私が用意してある。いざ行かん!三つ巴の戦いへ!!」
所長に鼓舞され、一同は社用車に乗り込む。事務所の戸締まりをし、茶色い社用車には、所長・雫・里香、黒い社用車には、雅文・美夜子・玲奈が乗る。
その頃、三宮センタープラザではGolden Tigerと髑髏城が暴れ回り、瞬く間にエリアを占領した。
「ハッハッハッ!!!全面戦争や!」
「フフ、開戦や!!」
両軍手下達が入り乱れて、激しい戦闘が繰り広げられる。
一方、車内では緊迫した空気が流れていた。
「ハァハァ…。」
「里香ちゃん、緊張してる?」
「はい、由香里は1人で戦ったんです。やから、私も…。」
不安がる里香に、所長が優しく励ました。
「大丈夫や。今の君は1人やない。」
雅文達は、戦いの話をしていた。
「所長は武器を用意してくれたわ。後は、敵陣で武器を奪えたらいいわ。」
「美夜子さん、流石ですね。「「お姉チャンバラ」」みたいです。」
「フフ、反社会的勢力の連中、日本刀で何人叩っ斬れるかしら…。フフフ…。」
玲奈が運転し、助手席の美夜子は冷酷さが滲み出た微笑みを浮かべた。後部座席の雅文は改造したエアガンを2丁、手入れし、殺傷能力を増した弾丸を込める。
「あの日、壊された記憶のパズル。今はピースだけが断片的に散らばっている。後はそれを繋ぎ合わせるだけや。その決定的なピースは、すぐそこや。アイツらを倒せば手に入る…。」
「もしもし。里香か?どないした?」
「雅文さん!大変です!由香里が攫われました!」
「ん?!どういうことや!!」
雅文のただならぬ様子に、一同は一斉に目を向けた。
「あの由香里のJKビジネスの一件で倒したGolden Fruitの、親玉のGolden Tigerに攫われたんです!」
雅文の脳裏では、この件についての推理がスーパーコンピューター並みの速さで展開された。あの時、Golden Apple・Golden Banana・Golden Peachを潰し、最後はKANSAI BLACK PANTHERの手によって、Golden Frultは壊滅。ここでは、由香里達をJKビジネスから解放し、JKビジネスのGolden Frult一派を壊滅させ、当初の目的を果たし、勝利を収めて終戦したかのように思えた。しかし、Golden Appleに勝利した時に店長の、近藤太一が吐き捨てたあの一言
「俺を逮捕できたからって、これで終わりやないぞ。Golden Tigerの餌食となるがいい!!」
これが伏線になっていたのではないか。Golden Tigerはそれから1年もの間、音沙汰無しだった。これは、復讐の準備をしていたと考えると、全てが繋がる。
「そうか、この戦いはまだ終わってへんかったんや!!」
「はい。」
「教えてくれてありがとう。里香ちゃん、事務所まで来てくれへんか?」
「分かりました。向かいます。」
ここで電話でのやり取りは終了。雅文は電話で話したことを所長に報告し、全員で情報を共有。所長は元警察の経験を活かして、統率力を発揮し、迅速な作戦会議に移った。
先程までのゆったりした雰囲気から一転し、緊張感の漂う張り詰めた雰囲気になった。ここに到るまでの経緯、Golden Tigerと髑髏城との因縁を整理し、会議を始める。
「Golden Tigerは由香里を、髑髏城は友梨亜を誘拐した。この2人は以前、我々が取り扱った案件の依頼人と重要参考人である。JKビジネスのバックには、半グレ組織がいた。そして、ストーカーの1人は同じく半グレ組織の手下。両者が我々を共通の敵と定め、2人を誘拐し、我々を誘き寄せて、全面戦争に持ち込もうと言うのが、奴らの狙いと見た。」
元警察の勘が冴え渡る。そこに先程、電話してきた里香が事務所に着いた。
「あ、お話し中すいません。」
「里香ちゃん、よく来てくれた。さぁ、上がって。」
制服のまま、事務所に訪れた里香。1度席に着かせ、話に入れる。
「所長さん、ポストを拝見したんですが、Golden Tigerと髑髏城から、果たし状が来ていました。」
手紙のようなもので、それをテーブルの上に広げると、こう書かれてあった。
「Golden FruitのJKビジネスを潰した憎き山本由香里は預かった。我々は、三宮センタープラザにいる。JKビジネスを潰されて損害を被った。お前達、中村探偵事務所に宣戦布告する。
Golden Tiger」
「友梨亜は預かった。殺したはずの神田雅文、貴様が生きているのは分かった。今度こそ仕留めてやる。場所は三宮センタープラザだ。全面戦争だ。
髑髏城」
この2通で、奴等の狙いと所長の予想が、ピッタリと一致した。JKビジネスを潰されたGolden Tigerと一戦交えた髑髏城の両者が、その後、何かの準備をしていたかのように音沙汰無しになったのも説明がつく。三宮センタープラザに待ち構えるGolden Tigerと髑髏城、そこに中村探偵事務所が乗り込めば、三つ巴のバトル・ロワイアルになる。
「成る程な。これは全面戦争や。」
所長は鋭い眼光で、静かに呟いた。声は小さかったが、重厚感があった。里香は、この緊張感に唾を飲んだ。
(これから全面戦争…。由香里、大丈夫なんかな…。)
あの時、由香里はほぼ1人でJKビジネスに立ち向かい、Golden Fruit一派に喧嘩を売った。里香は由香里の勇気を讃えたが、今回は親玉のGolden Tiger、更に髑髏城と反社会的勢力が2組も絡んでいるとなると、この戦いは無謀だと感じ、心のどこかで後込みしていた。
(でも、前は由香里が戦ったんや。今度は、私が戦う番や!!)
怯える自分を奮い立たせ、里香は声を絞った。
「あの、私も戦います!!」
勇気を見せた里香に、所長は優しく呟いた。
「ええやろ。前回は由香里ちゃんを救うために、依頼してくれた。由香里ちゃんは皆をJKビジネスから救おうと奮闘した。君達の勇気と友情に、私は心打たれた。よし、一緒に戦おう。」
所長は、里香の頭をポンポンし、背中を軽く叩いた。それに、他のメンバーも続く。
「私も、髑髏城にヤられたからな。この借りは返す。騎士として、囚われたプリンセスを助けるのは、当然のこと。」
「私も、雅文をあんな目に遭わせた髑髏城の奴らが許せないわ。叩っ斬ってくれる…。悪党には、鉄拳制裁してやりたいわ…。容赦なくね。」
「ウチも、Golden Fruitにヤられた傷が疼くわ…。ヤられっぱなしは嫌やしな。ウチの出番欲しいし、美味しいところは頂戴。」
「玲奈も、雅文さんがヤられた時には、何も出来ひんくて悔しかった…。せやから、今回は雅文さん達の役に立ちたい!玲奈も戦う!」
全員の闘志を感じ、所長は胸が熱くなる。
「よし!武器は私が用意してある。いざ行かん!三つ巴の戦いへ!!」
所長に鼓舞され、一同は社用車に乗り込む。事務所の戸締まりをし、茶色い社用車には、所長・雫・里香、黒い社用車には、雅文・美夜子・玲奈が乗る。
その頃、三宮センタープラザではGolden Tigerと髑髏城が暴れ回り、瞬く間にエリアを占領した。
「ハッハッハッ!!!全面戦争や!」
「フフ、開戦や!!」
両軍手下達が入り乱れて、激しい戦闘が繰り広げられる。
一方、車内では緊迫した空気が流れていた。
「ハァハァ…。」
「里香ちゃん、緊張してる?」
「はい、由香里は1人で戦ったんです。やから、私も…。」
不安がる里香に、所長が優しく励ました。
「大丈夫や。今の君は1人やない。」
雅文達は、戦いの話をしていた。
「所長は武器を用意してくれたわ。後は、敵陣で武器を奪えたらいいわ。」
「美夜子さん、流石ですね。「「お姉チャンバラ」」みたいです。」
「フフ、反社会的勢力の連中、日本刀で何人叩っ斬れるかしら…。フフフ…。」
玲奈が運転し、助手席の美夜子は冷酷さが滲み出た微笑みを浮かべた。後部座席の雅文は改造したエアガンを2丁、手入れし、殺傷能力を増した弾丸を込める。
「あの日、壊された記憶のパズル。今はピースだけが断片的に散らばっている。後はそれを繋ぎ合わせるだけや。その決定的なピースは、すぐそこや。アイツらを倒せば手に入る…。」
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