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第3章 back to school 青春の甘い楽園

第41話 バトルゲーム

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    髑髏城の手下の1人が刑務所行きとなり、現場から何とか逃走した大男は、アジトに帰って来た。アジトがあるのは、神戸市兵庫区。福原町や新開地より更に奥の、JR兵庫駅周辺に拠点を構える。時刻は23時。
「組長!えらいことになってしまいました!」
血相変えて、戻ってきた部下にボスは冷静に問いかけた。
「どないしたんや?」
「この間、狙っていたバニーガールの友梨亜とかいう小娘をストーカーしていたら、探偵風情のクソガキに護衛されたんですよ!」
「それで?」
「兄貴が応戦したんですが、クソガキが思った以上に強く、返り討ちにされた上に、警察に捕まってしまったんですよ!」
「な、何やと?!」
ここまで落ち着いて聞いていた組長は、思わずソファーから立ち上がった。
「そのクソガキ、探偵かいな…。んっ、待てよ…。何か、この前、大阪でGolden Fruitの一派がソイツらに潰されたとか言うてたな…。ひょっとしたら…。」
「実は、そのクソガキ、名乗ったんですよ。神田雅文という探偵なんですよ。大阪で、JKビジネス潰した、あのクソガキですよ!!」
組長の推理が、確信に変わった。
「やっぱりそうか!JKビジネス潰したからって、いい気になって、今度は髑髏城に喧嘩売ったんやな…。ハッハッハッ、名乗ってくれたんやったら、好都合や!あのクソガキいてもうたる!!そして、三宮も手中に収めたろうやないか!」
「そうっすね…。あんなクソガキ、ウチらの敵やないっすね。」
「お前、よう帰って来れたな。良かったわ。もう遅いから、家帰って寝ろ。話は明日や。」

    後日、雅文は友梨亜から報酬を貰い、この一件は終わった。ただ、雅文の中では妙な胸騒ぎがしていた。あの時、髑髏城の奴が逮捕される際に放った捨て台詞が引っかかっているのである。
「これで終わりやと思うな!」
奴らが、反社会的勢力ならば、反撃を仕掛けてくるに違いない。そうなると、再び友梨亜にも危害が及ぶ。髑髏城の動向も注意深く見なければならない。
(奴ら、何か仕掛けてくるな…。)
その後、精力的に探偵業に励み、あの一件から1週間が経過した。しかし、奴らの動きはない。
(用意周到やな…。何かしてくるやろな…。)

 髑髏城の勢力図はこうだ。神戸に拠点を構えており、本拠地は神戸市兵庫区にある。それに次いで、支部は東灘区・灘区・中央区・長田区・須磨区・垂水区にあり、僻地の西区と北区には無い。つまり、本部が1ヶ所、支部が6ヶ所ある。奴らは、それぞれのエリアで闇金業・買春・麻薬取引などで資金を集め、水面下で地下の犯罪シンジゲートを築き上げ、神戸だけでなく、関西の裏社会を手中に治めるという野望を抱いている。そして、その野望を達成した暁には、「六凶」と呼ばれる裏社会・闇社会の列強の傘下に入れてもらおうと思っている。
「フフフフフ、組長。聞きましたよ。我ら「「髑髏城」」に喧嘩を売るクソガキが現れたということを。」
ここは、兵庫区にあるアジト。表向きは「ゲーマーズ パラダイス」というゲームセンターだが、その地下は「髑髏城」の本拠地となっており、違法薬物や拳銃などが置かれている。ゲームセンターが閉店し、1日の業務を終えた支配人が、缶のコーラをチビチビ飲みながら降りてきた。細身で長身、蝶ネクタイをし、ゲームセンターというよりかは、カジノディーラーのような風貌をした男は、ドカッとソファーに座った。
「ああ、あのガキのことは聞いてるわ。ハハハ、オモロイやないか。」
中央の席に座るドクロTシャツを着たドテッ腹で、髭面の大男は葉巻を吸いながら高笑いした。彼が、髑髏城のボスである。名は大山田貫爾(かんじ)、かつて麻薬取引で、メキシコやコロンビアなどで反社会的勢力の一員として行動。腕っぷしと智略、ポルトガル語とスペイン語を駆使する語学力で信頼を築き上げ、麻薬取引や犯罪稼業で巨万の富を築き、その後、闇ルートで日本に帰国。その財力と知力で髑髏城を結成し、今日に至る。
「フフフ、あのガキが粋った所で、組長に捻り潰されるんがオチや。」
そう言って冷笑を浮かべるのは、「ゲーマーズ パラダイス」店長の髑髏城 副組長の菅沼拓郎。JKビジネスで富を築いた男。優れた情報収集・解析で敵を丸裸にする、髑髏城の頭脳である。
「まあ、調べはついてますので、心配なく。」
「流石、菅沼。いつも仕事が早いやんけ。」
この情報を基に、念入りに計画を立てた…。支部はこうだ。

髑髏城 本部 神戸市兵庫区
支部
1番支部 神戸市東灘区
2番支部 神戸市灘区
3番支部 神戸市中央区
4番支部 神戸市長田区
5番支部 神戸市須磨区
6番支部 神戸市垂水区

雅文のいる中村探偵事務所は、神戸市中央区にある。3番支部は三宮駅から少し北上した路地裏に構えている。友梨亜を狙ったのは、そこで売春をさせるためであった。3番支部の兵士を使って、Loft101の友梨亜を襲い、周辺で暴れまわる。それを使って、雅文を誘き寄せて仕留めるという作戦を考え付いた。
「フフフフ、あのガキを血祭りに上げてやりましょうよ…。」
「ハハハ、血祭りにしたるのも悪うないな…。」

 6月も中旬になり、夏の気配が近づいた頃、髑髏城は遂に動き出した。3番支部に兵力と武器を送り込み、作戦を実行に移す。
「雅文か、あの探偵事務所のガキやな?どう料理したろうか?」
3番支部隊長は、長身の丸刈り男。名は刈谷雅丈(まさたけ)。40代の元ヤクザ。
「フフフ、あの子には友梨亜っていう娘がおったな。その娘を餌にしたらエエんや。」
各支部の隊長と副隊長は男女のペアである。3番支部副隊長は、30代の女性。名は塩谷美香。
「作戦は出来上がってるんや。後は思い切り暴れるだけや。」
「そうやね。血祭りにするんやったな。」
その日の夜、雅文と美夜子が仕事終わりで、阪急電鉄 神戸三宮駅に向かっていた時のことだった。
「髑髏城って言うのが、気になるわ。」
「奴らが、仕掛けてくるかもしれへんしな。」
そう言っていると、けたたましい轟音を鳴らして、生田ロード方面を北上する黒いバイクの集団が見えた。
「ん?何やアレ?」
よく見ると、最後尾のバイクには、髑髏の旗がついていた。
「まさか、髑髏城の奴ら?!」
「あの方角は、Loft101の方やな!友梨亜ちゃんが危ない!」
「強硬手段に出たわね?雅文、行くの?」
「行くで、全面戦争やな。」
2人はバイクの後を追いかけた。その頃、黒バイクの集団は阪急電鉄 神戸三宮駅西改札エリアに到着。そこで火炎瓶や拳銃などで破壊行為を行った。
「ハハハハハ、髑髏城の支配下に付けや!」
「金よこせ、オラァ!」
奴らは周囲の人たちを、手当たり次第に襲撃し、金を奪ったり、拳銃で発砲した。到着した2人は煙と血の臭いに、顔をしかめた。
「何やこれ?!」
「う、酷いことするわね。」
髑髏城の兵士が雅文に気づいた。
「お、アイツですよ!兄貴!」
「お前が雅文か!」
「ああ、そうや。何のマネや、これは…。」
「無差別テロね、酷いことするわ。」
相手は拳銃と木刀を持っている。武器を奪えば、こちらのもの。
「かかれぇ!」
手下が一斉に襲ってくる。雅文と美夜子は、攻撃をかわして武器を奪いにかかる。上手く武器を奪い、雅文は拳銃、美夜子は木刀を駆使して戦う。
「2丁拳銃ならお手のもの!さあ、来い。掃除してやる。」
「貴方達、まとめて地獄へ送るわ。」
敵の兵力は8人。兵長らしき黒マスクの男を除くと、残る兵士は3人。
「え?「「HUNTER×HUNTER」」?」
「「「BLACKCAT」」やないか!」
雅文は2丁拳銃で2人、撃破し、美夜子も瞬く間に兵長と残りを倒した。
「貴方達の目的は何?」
「ハアハア、Loft101の友梨亜とかいう小娘を誘拐してな、ボスの元に売り飛ばすんや。そして、薬漬けにして監禁してな…。」
非道な計画に、美夜子は怒り、兵長の脇腹に蹴りをかました。
「がはぁ!」
「あの娘に何の罪があるんよ!薬漬けやなんて、貴方達は人間以下よ!」
その後、駆け付けた警察によって、一派は逮捕された。その時に、本拠地を聞き出すことに成功し、2人は急いで向かった。
「フフフ、馬鹿なガキ共や。そこがお前らの墓場になるとも知らずにな…。」
    
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