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第2章 VS JKビジネス

第30話 革命の炎

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   戦いは最終局面を迎え、Golden Appleの残る戦力は、店長の近藤太一と幹部の都築舞香、黒服2人の計4人となった。警官達によって武器は全て押収。後は雅文・美夜子が舞香を撃破してカードキーを奪い、鍵を開けて女子高生達を救出し、店長を逮捕するだけである。その頃、奥の部屋では由香里が店長から暴行を受けていた。
「ハハハハハハ、おい、どないした?さっきまでの威勢はどこ行ったんや?」
「由香里!しっかりして!」
由香里は、口から血を流してぐったりしている。檻の鍵を奪おうとした里香も、既に黒服2人に捕らえられ、逆に檻に収容された。
「ゲホ、ゲホッ!」
せき込みながらも、由香里は立ち上がった。攻撃を受け、手足の痣が痛む。それでも、由香里は皆をJKビジネスから解放する一心で、必死に立ち向かう。
「ハアハア、アンタなんかに負けへんよ。」
「おお、また立った。ハハハハ、お前の攻撃なんか効かへんわ。」
由香里はダッシュで駆け寄る。店長は蹴りを放ったが、それをかわして金的を入れた。
「ハアァァァァァァァン!」
脛を蹴って転ばせ、馬乗りになって何度も殴りつけた。
「これはみんなの分や!よくもウチらを食いモンにしてくれたな!女子高生はな、モノやない、人間なんや!」
怒りと哀しみに満ちた表情で、拳を放つ。その手に自分自身と皆の苦しみが伝わり、ジンジンと痛む。その背後から黒服が蹴りを入れ、由香里を引き離した。
「ああ!」
横たわる由香里に、立ち上がった店主が助走をつけて蹴りを入れた。
「やってくれたな、ゴラァ!!」
「ゲホッ!」
無理やり立たせ、手持ちの特殊警棒で由香里を殴った。
「痛い!」
「オラオラオラァ!」
殴られて、由香里は頭から血が出た。黒服がチェーンで由香里の腕を縛り、そのまま振り回して、店長に近づけた。店長は日本刀で、由香里の腹を刺した。遠心力と相まって、刀は深く刺さり、抜いたことで腹部から激しく出血した。横たわる由香里は、血と涙を流して悶え苦しむ。
「痛い、痛い!ゲホッ、ゲホッ!苦しい、苦しいよぉ!!」
「由香里、探偵さん達、ここに必ず来るから!それまで死なないで!」
由香里は、震える手で里香にVサインをした。
「うん…。」

 雅文・美夜子は舞香の猛毒地獄から抜け出す道筋を必死で探していた。足元を這いずり回るタランチュラとサソリをかわしながら、美夜子は舞香と戦い、雅文はアライグマとカミツキガメと格闘していた。
「外来種は病原菌を持っとる。噛まれたり、引っ掛かれたりしたらヤられる。」
銃弾を温存するため、雅文は攻撃を避けて逃げ続けていた。
「フフフ、しぶといわね。ほんなら、これでどうや?」
舞香は引き出しから、注射器を取り出し、1本1本アライグマとカミツキガメの動脈に注射した。すると、アライグマとカミツキガメの目の色が変わり、不気味な唸り声を挙げて凶暴化した。
「何をしたん!?」
「フフフ、これは覚醒剤とステロイドホルモンを混ぜたスペシャルドーピング。」
「まさか、あの時も…。」
Golden Bananaと戦った時も、黒服達が覚醒剤とステロイドホルモンを混ぜた注射をしていた。あの時と同じである。
「フフフ、雅文って言うたな…。アライグマに引っ掛かれて、カミツキガメに噛み砕かれろ!!」
「貴女ねぇ、生き物の命を何やと思ってるの!!!!」
「ハァ?黙れや、探偵風情が!!」
ハイヒールで蹴りを放ち、美夜子は横腹を蹴られた。
「うぅ!」
「フフフ、ウチにはまだ秘策があるんよ…。」
そう言うと、部屋の奥から虫かごを取り出した。3つの虫かごの中には、ヤドグガエル・ブラックマンバ・ヒアリが入っていた。
「ウソやろ?!」
「フフフ、猛毒の呪いで殺してアゲル。」

    雅文は凶暴化したアライグマとカミツキガメの攻撃から逃げ回っていた。舞香は、足元のタランチュラとサソリを回収し、ゲージに戻した。凶暴化したことで、アライグマとカミツキガメのスピードは格段に上がり、亀とは思えない素早い動きで襲ってきた。
「噛まれたら終わりや…。」
異常なまでに、ジャンプ力が増したアライグマが飛びかかってきた。
「そうや!オラァ!!」
拳銃を発砲し、アライグマは血を流して落下。カミツキガメの尻尾を掴んで、先程のアライグマに叩きつけた。だが、生命力も向上しているので、2頭は再び襲ってきた。
「弾切れになったら、アカン。」
アライグマを蹴り飛ばし、首筋を掴んでカミツキガメに頭を噛み砕かせた。手持ちの拳銃は3丁。今、使用しているのは後1発で終わり。残りの拳銃の銃弾は6発。計12発。アライグマの頭を噛み砕いたカミツキガメは、食らいついて放さない。雅文は強引に引っ張り、アライグマは脳ミソが飛び出して死亡した。
「お前もや!」
カミツキガメの頭に3発発砲して倒した。残りのアライグマとカミツキガメは拳銃を乱射して撃破。
「後はお前だけや。」
「テメェ…。アライグマとカミツキガメ殺しやがって!!蟲毒の術!」
舞香は大きなかごに、ブラックマンバ・ヒアリ・ヤドグガエル・サソリ・タランチュラを入れ、蓋をした。そして、中で共食いさせた。
「まさか、共食い?」
「フフフフフフ!!!有毒生物同士で、共食いさせたら生物濃縮の原理で、最強の有毒生物が生まれるんや!!」
「生き物はオモチャやないんよ!!止めなさい!!!」
共食いが終わり、中から最強の毒を持ったブラックマンバが出てきた。舞香はそれを掴み、
「フフフ、コイツの毒で死ねぇ!!」
と投げつけた。
「美夜子、伏せて。」
「ええ。」
雅文は拳銃で、蟲毒化したブラックマンバの頭を撃ち抜いた。
「えっ…。」
「美夜子、後は任せた。」
雅文は急いで、カードキーを奪い、部屋を出る。
「貴女の相手は私よ!」

    美夜子と舞香の一騎討ちとなり、蹴りを入れようとしたが、美夜子は全ての毒針を破壊し、胸ぐらを掴んで、強烈なアッパーを食らわした。
「思い知りなさい!!!」
(何で、こんな小娘ごときに…。)
舞香は床に倒れ込んだ。これで幹部は全員撃破。警官達によって、舞香も逮捕された。カードキーで鍵を開け、遂に扉が開いた。
「よし!開いた!」
その頃、由香里は店長に処刑されそうになっていた。
「ハハハ、クソガキ…。死ねぇ!!」
(やっぱ、アカンかったんや。ウチは結局、JKビジネスに食い物にされて、ヤられる運命やったんや…。こんなん、あんまりやないの…。)
由香里は無念の気持ちで、涙が止まらなかった。
「黒豹拳法 黒豹正拳!!」
「ぐわぁっ!!!」
松本が店長に一撃食らわし、その隙に警官達が女子高生達を解放・保護して避難させる。
「もう大丈夫や!」
「ありがとうございます。」
救急車を呼び、それまでの間、由香里を介抱する。
「由香里ちゃん、よくやったわ。後は任せて。」
「うぅ…。美夜子さん、怖かったぁ…。」
「悪ぃ、待たせたな。」
「雅文さん…。」
店長は立ち上がり、後ろの黒服達も武器を取る。
「テメェら、やってくれたな!」
「さて、リンゴ狩りと行きますか。」
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