悠生が息をする為の方法

七々虹海

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別れ

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「悠生ただいま。どうしたんですか。電気も点けないで。電気を点けて待っていてくれる人がいるって、案外嬉しいもんなんですよ?」

「知ってたのかよ?幹部だもんな、知らないわけないよな」

「聞いたんですね。私がどうこう出来る話じゃないんで」

「俺がいなくなってもいいのかよ……」

 ボスからの電話の内容は、本格的に海外に手を伸ばす。中国マフィアとの話がついたという内容だった。

 今までみたいにたまに外国での任務ってわけじゃなく、悠生はあちらで殺し屋としてだけじゃなく、これから組織で生きていく一員として学んでくれ。もちろん勉強係兼お目付け役もつける。という内容だった。

 英語の勉強させられたのに、中国語かよ!
語学は通訳の会話聞きながら覚えろってさ。

「少し考えさせてくれ」
と、咄嗟に口から出てしまったけれど、
「お前が考えて選べる立場じゃないだろう」と返され、
「分かってる」
と答え通話を切った。
 分かりすぎている事だ。

「どうせ!俺がいなくなったって、おっさんは困らないもんな!モテるもんな!本当は選び放題なんだろ!気まぐれに置いてくれてるだけなんだろ!自分より若くて可愛らしい顔立ちしてりゃ、俺みたいなずっと裏組織で生きなきゃならないめんどくさい人間よりもいい相手がいるはずだもんな!もういい!出ていく!出発までホテルかどっか泊まる!これでお別れだ!清々するだろ」

 言いたい事を最後まで言いきったら口を塞がれ、抱きしめられた。もうすっかり慣れてしまった、おっさんのタバコの香り。

 この人ほんとはこんなに力あったんだってくらい、抱き潰す気かってくらい力が入ってるから、もがいて逃れようとするけど、ビクともしない。貪るように唇と、抉じ開けられた舌をなぶられ、力が抜けていく。

「バカですかあなたは!」

 唇が離れても腕の力は抜いてくれず、近距離で怒鳴られた。いつも穏やかな人の怒鳴り声ってこえぇな。

「確かに最初は見た目だけで気になりましたよ。味見だけのつもりでしたよ。でも、段々と私には心を開いてくれて、コロコロ表情を変えるようになって、あぁ、愛されたがりの子だったんだな…って気づいた時には泥沼でしたよ!あ~クソ、こんな夢中になるとは思いませんでしたよ」
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