20 / 27
市川の過去
しおりを挟む
生まれた時から父という存在はいませんでした。母は絵にかいたようなあばずれで。
若い頃はモテるのを良いことに二股以上は普通で金も貢がせてた時代もあったそうです。
子どもに語って聞かせるんだからロクな親じゃないでしょう。
『若さ』という付加価値がなくなっても金を出す男は少なくはなく、色んな男がやってきては母を抱き金を置いていきました。普通のシングルマザーの親子が住むような広くもないアパートで。当然のように、行為中の音や声を聞いて育ちましたね。
グレない方がおかしいんじゃないですか。
男達が金を出してくれるから、何か勘違いしてしまったんでしょうね。
昼間の仕事を辞めてしまったんですよ、あの人。男達が置いてく金で生活できる、酒も飲めるってね。
えぇ、あの時仕事を辞めたのが堕落の始まりだったんでしょうね。
母の所に来る男だって、昼間は働いてるんですから、昼間は暇をもて余すようになったんです。
自然と、酒に手がのびる。酒量が増える。男だって、昼間から飲んでぐてんぐてんになった、老いの影も出てきたような女抱きたくなくなるじゃないですか。そりゃぁ、客が減り始めましたね。
んで、他所の縄張りにも足を伸ばして、その土地の用心棒に叩かれたり。女だからって加減してくれたんでしょうけど、顔を殴られてたので、益々仲良くしてた付き合いの長い男も去っていく。
潮時なんだって気づく頭はとうに、どこか行っていたんでしょうね。当時高校に入ったばかりの、俺のバイトの金を当てにするようになり、男が来なくて身体が寂しくなり始め、あろうことか息子の俺に手を出そうとしたんですよ。
「博美ちゃん、博美ちゃんはママのここから産まれたんだもんね~。産まれてきたとこにチンチン入れるくらいできるでしょ。ほら、若くて有り余ってんだろうから出しなよ!」
母を見て育ち、女にはうんざりしてましたけど、一応自分を育ててくれてる母だという情はあったんですよ。
けど、その言葉を聞いて、もう母の頭はおかしくなってしまったんだなと悟りました。滑稽で笑いが止まりませんでしたよ。
俺がいても母の為にならない。一人になった方がこの人は立ち直る事が出来るかもしれない。余計堕落するかもしれないけど、賭だなと思いました。そのまま家を出ましたね。
後ろで叫んでる母の声が聞こえなくなっても聞こえてる気がして、遠くへ遠くへ。母の手が届かない所まで。
今どうしてるかって?知りませんよ。調べようと思えば調べられるでしょうけど、そこまでの興味がもてません。母にも、見たことない父にも。そんなわけで、女に興味をもつのは無理でした。
自分より幼い、穢れてなさそうな可愛い、無垢な顔立ちの子供にばかり惹かれるようになったのは、そんなわけなんでしょうね。古い事を思い出してしまいましたね。
若い頃はモテるのを良いことに二股以上は普通で金も貢がせてた時代もあったそうです。
子どもに語って聞かせるんだからロクな親じゃないでしょう。
『若さ』という付加価値がなくなっても金を出す男は少なくはなく、色んな男がやってきては母を抱き金を置いていきました。普通のシングルマザーの親子が住むような広くもないアパートで。当然のように、行為中の音や声を聞いて育ちましたね。
グレない方がおかしいんじゃないですか。
男達が金を出してくれるから、何か勘違いしてしまったんでしょうね。
昼間の仕事を辞めてしまったんですよ、あの人。男達が置いてく金で生活できる、酒も飲めるってね。
えぇ、あの時仕事を辞めたのが堕落の始まりだったんでしょうね。
母の所に来る男だって、昼間は働いてるんですから、昼間は暇をもて余すようになったんです。
自然と、酒に手がのびる。酒量が増える。男だって、昼間から飲んでぐてんぐてんになった、老いの影も出てきたような女抱きたくなくなるじゃないですか。そりゃぁ、客が減り始めましたね。
んで、他所の縄張りにも足を伸ばして、その土地の用心棒に叩かれたり。女だからって加減してくれたんでしょうけど、顔を殴られてたので、益々仲良くしてた付き合いの長い男も去っていく。
潮時なんだって気づく頭はとうに、どこか行っていたんでしょうね。当時高校に入ったばかりの、俺のバイトの金を当てにするようになり、男が来なくて身体が寂しくなり始め、あろうことか息子の俺に手を出そうとしたんですよ。
「博美ちゃん、博美ちゃんはママのここから産まれたんだもんね~。産まれてきたとこにチンチン入れるくらいできるでしょ。ほら、若くて有り余ってんだろうから出しなよ!」
母を見て育ち、女にはうんざりしてましたけど、一応自分を育ててくれてる母だという情はあったんですよ。
けど、その言葉を聞いて、もう母の頭はおかしくなってしまったんだなと悟りました。滑稽で笑いが止まりませんでしたよ。
俺がいても母の為にならない。一人になった方がこの人は立ち直る事が出来るかもしれない。余計堕落するかもしれないけど、賭だなと思いました。そのまま家を出ましたね。
後ろで叫んでる母の声が聞こえなくなっても聞こえてる気がして、遠くへ遠くへ。母の手が届かない所まで。
今どうしてるかって?知りませんよ。調べようと思えば調べられるでしょうけど、そこまでの興味がもてません。母にも、見たことない父にも。そんなわけで、女に興味をもつのは無理でした。
自分より幼い、穢れてなさそうな可愛い、無垢な顔立ちの子供にばかり惹かれるようになったのは、そんなわけなんでしょうね。古い事を思い出してしまいましたね。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる