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初めてのキス
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目の前の小さな身体を抱き締める。小さいとは言っても身長は165㎝はあるだろう。人肌に馴れてない身体。抱き締めるだけでも、ビクっとして全体が強張ったのが伝わってきた。両腕もどうしたらいいのか分からずアワアワと宙を舞っている。
「両腕を私の背中に回して下さい。ゆっくりでいいので」
なんの返事も返せないようだけど、ゆっくりと手を伸ばし、思ったよりも強い力で背中に手を回された。背中を掴んでるって言った方が正しいかもしれないですね。
「素直に良く出来ましたね」
この少年がここまでの殺し屋になるには、師が良かったんだろう事と、その師の教えを素直に反復練習したんだろう事が予想出来る。素直に。私好みにしてさしあげましょうか。
「人と触れあうって暖かいと思いませんか?」
「……まだ、よく分からないけど不快ではない…かな」
「こういう生き方してると、人肌だけでも恋しくなることあるんですよね」
「それって、誰でもいいって事か?」
「そんな時もありましたけど。今は君の事が知りたいですし、甘やかしあげたいと思ってますよ」
「甘やかすって?」
「例えば今してるみたいに抱き締めたり、色々と、殺し以外の事教えてあげたくなるくらいには魅力的ですね」
おっ、いい反応ですね。やっと目があった。何か引っ掛かったんでしょうか。
「俺が殺し屋じゃなくても?」
あぁ。そこですか。
「当たり前ですよ。私は迎えに行った殺し屋がゴツくてデカイ男だったら全く話そうって気にもなりませんでしたね。君だから興味を持ったんです」
背中を掴む手が強くなる。この少年は確かに強いのかもしれない。しかし、根っこの所はまだ幼い。支えてあげたい。
顎を少し上に向けてそっと近づく。大きな目を見開いたままのその顔に近づいて、誰も触れた事がないのだろう唇に口づけた。一瞬で離れる。
まだあどけない顔でびっくりしている顔が近くにあった。多分殺し屋の仮面は完全に取れた年相応の表情。
「よく、、、わかんなかった…」
「では、今度はゆっくりと…」
可愛い頭の、手触りの良い髪の感触を味わいながら、ゆっくり、浅く何度も重ねるだけのキス。身体も頂いてしまいたかったけれど、目の前の少年はこれだけでもキャパオーバーのようですね。
盗聴っていう自分に課した仕事を忘れてるようですから。出来るだけゆっくりと、時間をかけて私の物にしてあげますよ。
気は長い方じゃありませんので、タカが外れてしまう時が来るかもしれませんがね。
「両腕を私の背中に回して下さい。ゆっくりでいいので」
なんの返事も返せないようだけど、ゆっくりと手を伸ばし、思ったよりも強い力で背中に手を回された。背中を掴んでるって言った方が正しいかもしれないですね。
「素直に良く出来ましたね」
この少年がここまでの殺し屋になるには、師が良かったんだろう事と、その師の教えを素直に反復練習したんだろう事が予想出来る。素直に。私好みにしてさしあげましょうか。
「人と触れあうって暖かいと思いませんか?」
「……まだ、よく分からないけど不快ではない…かな」
「こういう生き方してると、人肌だけでも恋しくなることあるんですよね」
「それって、誰でもいいって事か?」
「そんな時もありましたけど。今は君の事が知りたいですし、甘やかしあげたいと思ってますよ」
「甘やかすって?」
「例えば今してるみたいに抱き締めたり、色々と、殺し以外の事教えてあげたくなるくらいには魅力的ですね」
おっ、いい反応ですね。やっと目があった。何か引っ掛かったんでしょうか。
「俺が殺し屋じゃなくても?」
あぁ。そこですか。
「当たり前ですよ。私は迎えに行った殺し屋がゴツくてデカイ男だったら全く話そうって気にもなりませんでしたね。君だから興味を持ったんです」
背中を掴む手が強くなる。この少年は確かに強いのかもしれない。しかし、根っこの所はまだ幼い。支えてあげたい。
顎を少し上に向けてそっと近づく。大きな目を見開いたままのその顔に近づいて、誰も触れた事がないのだろう唇に口づけた。一瞬で離れる。
まだあどけない顔でびっくりしている顔が近くにあった。多分殺し屋の仮面は完全に取れた年相応の表情。
「よく、、、わかんなかった…」
「では、今度はゆっくりと…」
可愛い頭の、手触りの良い髪の感触を味わいながら、ゆっくり、浅く何度も重ねるだけのキス。身体も頂いてしまいたかったけれど、目の前の少年はこれだけでもキャパオーバーのようですね。
盗聴っていう自分に課した仕事を忘れてるようですから。出来るだけゆっくりと、時間をかけて私の物にしてあげますよ。
気は長い方じゃありませんので、タカが外れてしまう時が来るかもしれませんがね。
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