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出逢いは血飛沫を浴びた後
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初めて出会った時。
あなたはターゲットの血を浴びて廃墟に佇み、空を見つめていましたね。
その目が、何も映してないようで。
そこにいるのにいないようで、変に胸騒ぎがしたのを覚えています。
ボスに言われた「市川。普段迎えに行く奴が行けなくなった。Uの迎えに行ってくれ」の言葉。
返事二つで了承はしたが、内心面倒だとしか思ってなかった。
ターゲットを殺した後はいつもぼんやりしていて、ターゲットも味方も関係なく襲ってしまう時があると噂の殺し屋。コードネーム『U』。
何人か、組織の人間が怪我を負い入院している。
攻撃されなかった下っ端が、迎えに行く係になってからはそいつが固定。なんで攻撃しなかったのか正気に戻った『U』曰く、あまりに弱そうで敵だと思わなかった。だそうだ。
それをなんで私に行かせるんですかねボス。曲がりなりにもあなたの右腕勤めてるんですよ私。そこそこ下の者も指導中だし。
腕1本くらい覚悟した方が良いのでしょうか。組織内の人間を下手に傷つけるのも嫌なんで、立ち向かうわけにもいかないじゃないですか。
自分の腕1本犠牲にした方が利口ってもんですよ。一本あれば指導くらい続けられますからね。
『U』は、ボスの指令を受ければ日本全国どこへでも殺しに行く組織専属の殺し屋で、今まで面識がなく顔も見たことがなかった。
噂だけ聞くと、ひたすらに強いらしく、銃もナイフも使いこなすし、いざって時の肉弾戦も相当強い。筋肉ムキムキのガタイのいい屈強な男を迎えに行かなきゃならないのかと思うと、更にうんざりする。
私は同性で自分より小さい、男にしては可愛らしい感じの外見の男の子を泣かせるのが大好きなんで。屈強な男なんて全くの守備範囲外なんですよね。
さっさと、車に乗せてボスの所まで運んでさようなら。それだけの仕事ですね。
早く終わらせましょう。
あぁ、面倒くさい。
市街地をぬけて国道から細い市道に入り、山の麓みたいな廃墟のビルの下に車をつける。
昔々は人が沢山住んでいたこのシティも今ではゴーストタウンに成り果てた。確かテロにあったとかなんとかいう話でしたかね。経済が回らなくなって、住民は方々へ。銃声がしようと誰も聞こえないゴーストタウン。
ターゲットは何をして逃げていたのかは聞いてないが、この町に潜伏してたらしい。狙いやすくて結構なことですね。
ビルの2階。『U』はそこにいた。
顔には血飛沫、窓から空を眺めてはいるけれど見ていない空虚な表情。屈強な感じは全くなく、華奢で、それでいて筋肉はつくところについていて、顔は、人形のように整った造作をしていた。
「U。迎えに来ました」
「誰?」
「組織の者です。市川と言います」
「あぁ。ボスの右腕のおっさんか。名前だけは聞いたことある」
「おっさん……」
自慢ではないんですけど、私は早くにボスの右腕に上り詰めたので、まだギリギリ20代。見た目も年相応なつもりでおっさんと呼ばれる年ではないんですけど。
どう見ても十代なUからしたらおっさんの部類に入るのでしょうか。
「車で迎えに来てくれたんだろ。早く行こうぜ」
「あぁ。そうですね。こっちです」
あなたはターゲットの血を浴びて廃墟に佇み、空を見つめていましたね。
その目が、何も映してないようで。
そこにいるのにいないようで、変に胸騒ぎがしたのを覚えています。
ボスに言われた「市川。普段迎えに行く奴が行けなくなった。Uの迎えに行ってくれ」の言葉。
返事二つで了承はしたが、内心面倒だとしか思ってなかった。
ターゲットを殺した後はいつもぼんやりしていて、ターゲットも味方も関係なく襲ってしまう時があると噂の殺し屋。コードネーム『U』。
何人か、組織の人間が怪我を負い入院している。
攻撃されなかった下っ端が、迎えに行く係になってからはそいつが固定。なんで攻撃しなかったのか正気に戻った『U』曰く、あまりに弱そうで敵だと思わなかった。だそうだ。
それをなんで私に行かせるんですかねボス。曲がりなりにもあなたの右腕勤めてるんですよ私。そこそこ下の者も指導中だし。
腕1本くらい覚悟した方が良いのでしょうか。組織内の人間を下手に傷つけるのも嫌なんで、立ち向かうわけにもいかないじゃないですか。
自分の腕1本犠牲にした方が利口ってもんですよ。一本あれば指導くらい続けられますからね。
『U』は、ボスの指令を受ければ日本全国どこへでも殺しに行く組織専属の殺し屋で、今まで面識がなく顔も見たことがなかった。
噂だけ聞くと、ひたすらに強いらしく、銃もナイフも使いこなすし、いざって時の肉弾戦も相当強い。筋肉ムキムキのガタイのいい屈強な男を迎えに行かなきゃならないのかと思うと、更にうんざりする。
私は同性で自分より小さい、男にしては可愛らしい感じの外見の男の子を泣かせるのが大好きなんで。屈強な男なんて全くの守備範囲外なんですよね。
さっさと、車に乗せてボスの所まで運んでさようなら。それだけの仕事ですね。
早く終わらせましょう。
あぁ、面倒くさい。
市街地をぬけて国道から細い市道に入り、山の麓みたいな廃墟のビルの下に車をつける。
昔々は人が沢山住んでいたこのシティも今ではゴーストタウンに成り果てた。確かテロにあったとかなんとかいう話でしたかね。経済が回らなくなって、住民は方々へ。銃声がしようと誰も聞こえないゴーストタウン。
ターゲットは何をして逃げていたのかは聞いてないが、この町に潜伏してたらしい。狙いやすくて結構なことですね。
ビルの2階。『U』はそこにいた。
顔には血飛沫、窓から空を眺めてはいるけれど見ていない空虚な表情。屈強な感じは全くなく、華奢で、それでいて筋肉はつくところについていて、顔は、人形のように整った造作をしていた。
「U。迎えに来ました」
「誰?」
「組織の者です。市川と言います」
「あぁ。ボスの右腕のおっさんか。名前だけは聞いたことある」
「おっさん……」
自慢ではないんですけど、私は早くにボスの右腕に上り詰めたので、まだギリギリ20代。見た目も年相応なつもりでおっさんと呼ばれる年ではないんですけど。
どう見ても十代なUからしたらおっさんの部類に入るのでしょうか。
「車で迎えに来てくれたんだろ。早く行こうぜ」
「あぁ。そうですね。こっちです」
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