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欲求
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晴空に会える見込みが見えなくなった今。目的も目標も見つからないままに、ただただ無意味に毎日が過ぎていた。
僕はベッドで横になっているか、ソファーに転がってるか、そんな時間ばかりだった。ソファーに転がってる時はBGM代わりのテレビがついている。島にいた時はあまり見ていなかったもの。3年ぶりに面白いアニメやドラマ、バラエティーはないかと、余りある時間で探してみたがハマれるものはなかった。
思い返せば好きなアニメは晴空が面白いからと一緒に見始まったものだったし、好きな歌だって晴空が好きで車の中で口ずさんだりしていた曲だった。
僕は晴空がいないと空っぽなんだと思った。
年齢的にはバイトだって出来るし、その気があるなら通信制の高校を考えてみてもいいんだろう。高校は両親と貴嶺さんに金銭的余裕があるならの話。
晴空が通ってたんだから、僕が通うお金はあるか…。変な心配してしまったな。今通う気もない癖に。
貴嶺さんは忙しそうに昼間は出掛けている。ご飯は、パートの仕事を終えたお母さんが、夜作ってお裾分けって持ってきてくれる時が多い。冷凍食品もあるしレトルトもある。
「凪ちゃん。食べないと身体に悪いわよ」
「分かってる」
僕が自分からは食べないのが分かったらしく、食べる所を見張って食べ終わるのを見てからお父さんが待つ家に帰っていく。食べないって見かねた当初なんて、食べさせようと口にスプーンを運んできたくらいだった。
「あれ?お母さん…そのネックレス…」
「あぁ、これ?これはお母さんが…あなたのおばぁさんがくれたものなのよ」
船で貴嶺さんが言っていた通りのネックレスが、お母さんの首にあった。
僕でも分かる。見るからに魔除けのようなオーラを出してるんだ。これのおかげで僕ら家族は守られていたんだ。きっとそう。
晴空は……守りの範囲から出てしまった?
相変わらず食欲はないけれど、仕方がないから夕飯だけはどうにか見張られてる時間に食べることにしたものの、味がしない。何を食べても無味無臭なスポンジを咀嚼して飲み込んでるみたいだ。
僕はどんな悪いことをして、この無意味な作業を続けているんだろう。栄養をとっているから無意味ではないけれど、僕からしたら嫌な作業だ。死んで晴空に会えるならその方がずっといい。
親も子供二人失って悲しむだろうけど、きっと一時か数年のことだよ。お父さんはお母さんが、お母さんはお父さんがいれば立ち直れるよ。
いずとみぃが見せてくれた昔の風景の中の二人は、想いあっててキレイだった。息子の僕が涙を流すほどに。
こんな力のせいで晴空と離ればなれになったけど、その力のおかげで、両親が揃ってる時の二人の周りの空気がキレイなことに気づけた。僕たちは愛し合って想いあっている二人から産まれたんだね、晴空。晴空にも教えてあげたかったよ。『愛し合ってる二人』って両親に使うのは気恥ずかしい言葉だけどね。
食欲はない。睡眠欲もなく、いつの間にか気絶するように昼夜関係なく寝ていた。性欲もなくて良いのに、島で週の半分くらいの夜貴嶺さんに弄られていたお尻だけは疼いた。最悪で最低だと思った。晴空を失ったのにお尻が疼く自分が情けなくてどうしようもないのに泣けなかった。晴空を忘れたいわけじゃないのに、身体だけ縋ってもいいかな…毎日ごちゃごちゃ余計な事ばかりを考えている頭は、終にはそんな事まで考えて始めていた。
自分が一番最悪だった。
僕はベッドで横になっているか、ソファーに転がってるか、そんな時間ばかりだった。ソファーに転がってる時はBGM代わりのテレビがついている。島にいた時はあまり見ていなかったもの。3年ぶりに面白いアニメやドラマ、バラエティーはないかと、余りある時間で探してみたがハマれるものはなかった。
思い返せば好きなアニメは晴空が面白いからと一緒に見始まったものだったし、好きな歌だって晴空が好きで車の中で口ずさんだりしていた曲だった。
僕は晴空がいないと空っぽなんだと思った。
年齢的にはバイトだって出来るし、その気があるなら通信制の高校を考えてみてもいいんだろう。高校は両親と貴嶺さんに金銭的余裕があるならの話。
晴空が通ってたんだから、僕が通うお金はあるか…。変な心配してしまったな。今通う気もない癖に。
貴嶺さんは忙しそうに昼間は出掛けている。ご飯は、パートの仕事を終えたお母さんが、夜作ってお裾分けって持ってきてくれる時が多い。冷凍食品もあるしレトルトもある。
「凪ちゃん。食べないと身体に悪いわよ」
「分かってる」
僕が自分からは食べないのが分かったらしく、食べる所を見張って食べ終わるのを見てからお父さんが待つ家に帰っていく。食べないって見かねた当初なんて、食べさせようと口にスプーンを運んできたくらいだった。
「あれ?お母さん…そのネックレス…」
「あぁ、これ?これはお母さんが…あなたのおばぁさんがくれたものなのよ」
船で貴嶺さんが言っていた通りのネックレスが、お母さんの首にあった。
僕でも分かる。見るからに魔除けのようなオーラを出してるんだ。これのおかげで僕ら家族は守られていたんだ。きっとそう。
晴空は……守りの範囲から出てしまった?
相変わらず食欲はないけれど、仕方がないから夕飯だけはどうにか見張られてる時間に食べることにしたものの、味がしない。何を食べても無味無臭なスポンジを咀嚼して飲み込んでるみたいだ。
僕はどんな悪いことをして、この無意味な作業を続けているんだろう。栄養をとっているから無意味ではないけれど、僕からしたら嫌な作業だ。死んで晴空に会えるならその方がずっといい。
親も子供二人失って悲しむだろうけど、きっと一時か数年のことだよ。お父さんはお母さんが、お母さんはお父さんがいれば立ち直れるよ。
いずとみぃが見せてくれた昔の風景の中の二人は、想いあっててキレイだった。息子の僕が涙を流すほどに。
こんな力のせいで晴空と離ればなれになったけど、その力のおかげで、両親が揃ってる時の二人の周りの空気がキレイなことに気づけた。僕たちは愛し合って想いあっている二人から産まれたんだね、晴空。晴空にも教えてあげたかったよ。『愛し合ってる二人』って両親に使うのは気恥ずかしい言葉だけどね。
食欲はない。睡眠欲もなく、いつの間にか気絶するように昼夜関係なく寝ていた。性欲もなくて良いのに、島で週の半分くらいの夜貴嶺さんに弄られていたお尻だけは疼いた。最悪で最低だと思った。晴空を失ったのにお尻が疼く自分が情けなくてどうしようもないのに泣けなかった。晴空を忘れたいわけじゃないのに、身体だけ縋ってもいいかな…毎日ごちゃごちゃ余計な事ばかりを考えている頭は、終にはそんな事まで考えて始めていた。
自分が一番最悪だった。
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