小鳥遊くんちの執事くん

七々虹海

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小林次郎と申します。

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 どうも初めまして、小林次郎と申します。
 平凡すぎて今時あり得ない。よく言われますよ。分かってますよ。

 ぼくはここ、小鳥遊家のお坊っちゃまに仕えてる、一応肩書き執事なのです。

 幼少期より、父が仕えてた小鳥遊家。ぼくは、お坊っちゃまと同じ年で、友達として、一緒に遊ぶことを義務づけられていました。最も、義務じゃなくても、お坊っちゃまと遊ぶのは楽しかったから、言われなくても遊んでましたね。

 小鳥遊家の広大な敷地の庭には、子供には未知なものがたくさんで、毎日駆け回ったり、探検したものです。あぁ懐かしい。仲良く純粋に遊んでたあの頃。  

 お坊っちゃまとぼくは、すくすくと仲良く兄弟のように成長していき、今やお坊っちゃまは大変見目麗しくなられ、立派な、



 立派な変態さんへと成長されました……。



 今日もぼくはお坊っちゃまの言い付けで、メイド服を着せられています。今日のはピンクのフリフリワンピースに真っ白いエプロンをつけ、お揃いピンクのカチューシャまであるという凝りようです。

 ぼくは父に習い、坊っちゃま付きの執事になったはず。
 だがしかし、未だに執事の服は着たことがありません。なぜでしょうねぇ…。

 さて朝です。坊ちゃまの朝食を受け取って運ぶ為、一階にある厨房へ。
「悠仁さんおはよーございます。坊っちゃまの朝ごはん受け取りにきました」

「はよ。ねみぃな。朝からご苦労なこった。あ~、あれだ、今日のメイド服も似合ってるぜ」

 朝食作り終わって一服してる悠仁さん。
 この方も悠仁さんのお父さんの代から小鳥遊家の厨房を任されています。悠仁さんは僕より10才も年上で、落ち着いた雰囲気をもった方です。
 よく眠そうにしてますが仕事中はカッコいいんですよ。ぼくもこんな落ち着いた大人の男、って雰囲気を早く身に付けたいのですが。こんなフリフリの服を着せられてるうちは絶えず出オチしてるようなもんですよね。

「はぁ。一応お世辞でも誉めてくれたということで、ありがとうございます」

「お前が毎度律儀に着てやるから、あのバカ調子に乗るんじゃねえの?」

「ぼくの部屋…坊っちゃまの隣で…朝、坊っちゃまが用意した服しか置かれてないんです…」

「あ~、そういうことか。御愁傷様。大丈夫だ、お前以上にメイド服が似合う男子はいねぇ!」

 ビシっと親指を立てて、決まった!みたいな顔されても、悠仁さん。それは、ひとつもフォローになってませんからね。

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