依り代に選ばれた子

七々虹海

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久耶の気持ち、月希の気持ち

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 月希の顔を見ながらシないように、血を飲み終わったら月希をうつ伏せにしなきゃならない。これは自分で考えた決まり。
 正面から月希の気持ちよさそうな顔を見たり、ましてやシながらキスでもしてしまったら、愛しさがどんどん増してしまうことは分かってる。今でさえ愛しくて、ずっと隣に居てほしくて、誰も月希の隣にいてほしくないくらいなのに。

 こんな俺の感情を知られたら逃げられるかもしれない。月希は、あの場から逃れるために化け物になったわけで、自分から望んで化か
け物の仲間にしてほしかったわけじゃない。
 自分を化け物にした男を好きになんて、なってくれるわけないじゃないか。
 体だけ繋げてくれる。それだけで十分。心まで欲しいなんて思わない、そんな欲は出さないから、ただ隣にいてほしい。
 月希は俺の事なんて、好きになるはずないんだから…。


 ---・----・---


 目が覚めたら、みんなと住んでるアパートの天井が見えた。
「あ゛、あ゛~~~」
 掠れてるけど微かに出る声。
「のどが、がわいだ……」

「月希、起きた?」
 燃料補給して気分爽快とばかりに、涼しい顔した久耶が水とトマトジュースを持ってきてくれた。

「大変だったんだよ。月希の意識とんじゃってから。俺のズボンは月希の精液と潮でぐちゃぐちゃだったから、ジャージ履いてさ、保健室にあった袋に濡れたズボン入れてシーツ畳んで押し込んで。月希の身だしなみ整えて、月希と荷物抱えて帰ってきたんだよ」

 どう?いいことしたでしょ、褒めて?みたいなドヤ顔する久耶に「ありがど…」と掠れ声ながら返事をし、ベット際に座ってみせるから頭を撫でてやると、満足したらしく、トマトジュースを自分の口に含んでは僕の口に移して飲ませてくれた。
 絶倫状態吸血鬼の相手をした後なんて動けないから、これが最適な飲まされ方。
 口の端から垂れたジュースを舌の届く範囲で舐め取る。
 甲斐甲斐しく世話を焼いてくれてるけど、そもそもお前が一回二回程度で止めてくれれば僕も意識無くすことは無かったのでは?とも思う。

「月希えっろ………」
 何が?と聞くまでもなく久耶は僕の口元をガン見してた。しょうがないじゃん、口の周りのジュース拭くより舌で舐めた方が楽なんだから。
「僕をエロくしたのはお前だかんな?」
「俺かぁ……俺があんな幼くて可愛かった月希をこんなエロくしたって考えるとちょっと……前かがみになるしかないよね」

「さっきいっぱいシタんだから盛るな吸血鬼」
「月希がエロいのが悪い」
「こっちはお前に血飲まれすぎて貧血状態だっつの」
「じゃぁ、今度は俺のこと放ったらかしにしないでね。ちゃんと定期的に血くれないとこうなるんだから」
「分かってるって。僕の血(だけ)が必要な事くらい……」




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