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八話
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「だ、誰か……いませんか?」
緊張で掠れた裏返った声に答えてくれる人はいなかった。
早く、目隠しを取って玄関まで行って逃げ出せ。そう危険信号を出してる自分と、万が一、目隠しを取ってしまった時に御稲様が来たら呪われたり目が潰れるのかもしれないと怖くてその場から動けない自分。
助けて、誰か、怖いんだよ助けて。
そうだ、羊の数でも数えて気を紛らわそうか。
「羊が一匹、羊が二匹……羊が三匹……」
頭の中に羊を思い描こうとするものの、羊の形は段々妖怪のような恐ろしい形になっていく。
「羊が四十匹………羊が…四十一匹…」
びちゃ…びちゃ…
「羊が五十匹………」
ずりずりずりずり……びちゃ………
「羊が!!」
ふわっ。空気の流れが変わった気がした。さっきより寒気がするし体が震える。これが神様が来たってこと?ほんとに?声は出していいの?挨拶は?どうしたら…。
ぬる……びちゃ……「ひっ……」耳に何かヌメヌメした生ぬるいものが当たった。
ヌメヌメした何かは離れず耳たぶから耳の溝耳の穴を触ってくる。
「い、やだ…なに?触らないで……やだ」
試されてるのかもしれない。これが試練で、神様はぼくを試してこんな気持ち悪いことをしてるのかもしれない。きちんと挨拶してみたらどうだろう。
「初め…めして御稲様…近江月希と、申します…。あの、それ、止めてくれま…せんか」
びちゃびちゃ、ぬめぬめ、気持ち悪い音は片耳どころか両耳を支配する。
「うぅぅ……」
幼い耳たぶを存分に濡らされ、離れていったとホッとしたのも束の間、両の手をぬめぬめした蔦のような物でまとめて縛られた。
「ひぃっ!」
ぬめった蔦は頑丈に月希の腕を捕まえて、もがけばもがくほどに絡みついていく。
「やだ、やだやだやだ、離して、嫌だ、離せ、離せよ…なんとか言えよ!」
御稲様と思わしき者は、月希の声を聞いているのかいないのか、前開きの浴衣をはだけさせた。だから浴衣だったのか。みんな分かってたんだ、試練がこんな事って、だからわざとこんな服を着せたんだ。
これから何が起こるか分からないままに、両腕を何度も何度も動かし、少しでも隙間を作って逃げようともがく。蔦が擦れてビリッと痛みが走った。生暖かい何かが流れてくる。血だ。
と、別の手のようなものが月希の胸にある赤い蕾を弄りだす。
「ひっ、いやだ、そんなとこ触んな!そんなん神様じゃない!」
びっちゃりと濡らされ先端を弄られ、強く押されたりカリカリ引っ掻かれたり、分からない熱が胸元に集まってくる。
「ほんとに誰かいないのかよ!」
いないだろうと思いつつ、叫ばずにはいられない。ここに来ると決まった時から月希はこの世から見離されたんだと悟った。
緊張で掠れた裏返った声に答えてくれる人はいなかった。
早く、目隠しを取って玄関まで行って逃げ出せ。そう危険信号を出してる自分と、万が一、目隠しを取ってしまった時に御稲様が来たら呪われたり目が潰れるのかもしれないと怖くてその場から動けない自分。
助けて、誰か、怖いんだよ助けて。
そうだ、羊の数でも数えて気を紛らわそうか。
「羊が一匹、羊が二匹……羊が三匹……」
頭の中に羊を思い描こうとするものの、羊の形は段々妖怪のような恐ろしい形になっていく。
「羊が四十匹………羊が…四十一匹…」
びちゃ…びちゃ…
「羊が五十匹………」
ずりずりずりずり……びちゃ………
「羊が!!」
ふわっ。空気の流れが変わった気がした。さっきより寒気がするし体が震える。これが神様が来たってこと?ほんとに?声は出していいの?挨拶は?どうしたら…。
ぬる……びちゃ……「ひっ……」耳に何かヌメヌメした生ぬるいものが当たった。
ヌメヌメした何かは離れず耳たぶから耳の溝耳の穴を触ってくる。
「い、やだ…なに?触らないで……やだ」
試されてるのかもしれない。これが試練で、神様はぼくを試してこんな気持ち悪いことをしてるのかもしれない。きちんと挨拶してみたらどうだろう。
「初め…めして御稲様…近江月希と、申します…。あの、それ、止めてくれま…せんか」
びちゃびちゃ、ぬめぬめ、気持ち悪い音は片耳どころか両耳を支配する。
「うぅぅ……」
幼い耳たぶを存分に濡らされ、離れていったとホッとしたのも束の間、両の手をぬめぬめした蔦のような物でまとめて縛られた。
「ひぃっ!」
ぬめった蔦は頑丈に月希の腕を捕まえて、もがけばもがくほどに絡みついていく。
「やだ、やだやだやだ、離して、嫌だ、離せ、離せよ…なんとか言えよ!」
御稲様と思わしき者は、月希の声を聞いているのかいないのか、前開きの浴衣をはだけさせた。だから浴衣だったのか。みんな分かってたんだ、試練がこんな事って、だからわざとこんな服を着せたんだ。
これから何が起こるか分からないままに、両腕を何度も何度も動かし、少しでも隙間を作って逃げようともがく。蔦が擦れてビリッと痛みが走った。生暖かい何かが流れてくる。血だ。
と、別の手のようなものが月希の胸にある赤い蕾を弄りだす。
「ひっ、いやだ、そんなとこ触んな!そんなん神様じゃない!」
びっちゃりと濡らされ先端を弄られ、強く押されたりカリカリ引っ掻かれたり、分からない熱が胸元に集まってくる。
「ほんとに誰かいないのかよ!」
いないだろうと思いつつ、叫ばずにはいられない。ここに来ると決まった時から月希はこの世から見離されたんだと悟った。
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