11 / 14
11.ウィリアムの心の中
しおりを挟む
ウィリアムは、部下達を故郷へ送った日から眠り続けた。心配したエリザベスは、毎日、彼に祝福を贈った。
6日目にやっと目醒めると、ビジネスを一条奈々美に任せ、日中はリビングの棚に置かれた誰も入っていない仏像を物思いに眺めて過ごしていた。
エリザベスがいつものように祝福を送っているとウィリアムが質問をした。
「エリちゃん、故郷に帰れず仲間のいないこの世界に1人っきりになるって想像した事あるかい?」
「今の私みたいな?」
「ちょっと違うな。君は1人だけど帰るだろ?このまま帰れなくなると思った事はないかい?」
「帰れない、、考えた事ないわ。何故そんな事を聞くの?」
吉之助と一緒の時さえ私はいつか帰る者だ。と思って過ごしてきた。
「可笑しな事を聞いたね。後2体で私の探し物も終わる。ここに1人残るってどうなのかなと思ってね。」
「故郷を捨てるって事ですか?
私は、、私は出来ません。責務があるから。」
「迷いがないね。」
「残ろうか迷ってるんですか?」
「ま、そんなとこだ。」
エリザベスが訳を聞こうとした時、一条奈々美が部屋に入って来たのでこの話は終わってしまった。
「ウィリアム、光さんから電話で隣町の道祖神が年代的な可能性があるんだって。」
「待っていたよ。現地で待ち合わせよう。打合せをたのむよ。」
電話を切ると2人に声をかけた。
「よし活動再開だ。近くだから良いリハビリになる。ついでに空っぽになってしまった仏像達を奉納しに行こう。」
光の指定した場所は住宅街で区画整理で道路が拡張される事になり道祖神も撤去が決まったらしい。
大きな楠の下にある古い道祖神は野ざらしに置かれていた。
ウィリアムは一目見るなり陽気に声をかけた。
「やあ。ギルドとルイズ。待たせたな。君達で最後だ。」
「団長じゃないですか!本物ですか?」
「うっ、俺もう諦めてました。うっ、、。」
「私が諦める訳ないだろ?」
ウィリアムがしゃがんで仏像の頭を撫ぜた。
その様子に光が声をあげた。
「ちょっ、ちょっと!ウィリアム何やってんだ?マジ勘弁してくれよ。」
狼狽する光の横で一条奈々美がニッコリとした。
「あの2体はウィリアム様の部下達ですって。驚くわよね。ふふふ。」
「部下?なんだそれ?ったく、こんなに驚いたのは初めてだ。お前、知ってたのか?」
「私もつい最近、知ったの。」
「って事は、嬢ちゃんもか?」
「ええ。それと嬢ちゃんはやめて。」
「相変わらず素っ気ないよな。」
そう言いながら話をする奇怪な仏像を見ると大きなため息をついた。
「さぁ、急いで帰ろう。ありがとう光。
これでこの依頼は終わりだよ。本当に良くやってくれた。感謝を捧げるよ。」
「まさか話す仏像を探していたとは思っても無かったよ。」
「黙っていてすまないね。ギルドとルイズ!この光さんが居なければ君達を見つける事は難しかった。私に続け。心より感謝を捧げる。」
「心より感謝を捧げる!!」
「イヤイヤイヤ~、これ以上は、もう何も言わないでくれ。頼むから。」
「ふふふ。光さんでもビックリするのね。」
「ふふふ。らしくないわ。ふふふ。」
普段は豪快な男が狼狽える姿に一条奈々美とエリザベスの笑いは止まらなかった。
6日目にやっと目醒めると、ビジネスを一条奈々美に任せ、日中はリビングの棚に置かれた誰も入っていない仏像を物思いに眺めて過ごしていた。
エリザベスがいつものように祝福を送っているとウィリアムが質問をした。
「エリちゃん、故郷に帰れず仲間のいないこの世界に1人っきりになるって想像した事あるかい?」
「今の私みたいな?」
「ちょっと違うな。君は1人だけど帰るだろ?このまま帰れなくなると思った事はないかい?」
「帰れない、、考えた事ないわ。何故そんな事を聞くの?」
吉之助と一緒の時さえ私はいつか帰る者だ。と思って過ごしてきた。
「可笑しな事を聞いたね。後2体で私の探し物も終わる。ここに1人残るってどうなのかなと思ってね。」
「故郷を捨てるって事ですか?
私は、、私は出来ません。責務があるから。」
「迷いがないね。」
「残ろうか迷ってるんですか?」
「ま、そんなとこだ。」
エリザベスが訳を聞こうとした時、一条奈々美が部屋に入って来たのでこの話は終わってしまった。
「ウィリアム、光さんから電話で隣町の道祖神が年代的な可能性があるんだって。」
「待っていたよ。現地で待ち合わせよう。打合せをたのむよ。」
電話を切ると2人に声をかけた。
「よし活動再開だ。近くだから良いリハビリになる。ついでに空っぽになってしまった仏像達を奉納しに行こう。」
光の指定した場所は住宅街で区画整理で道路が拡張される事になり道祖神も撤去が決まったらしい。
大きな楠の下にある古い道祖神は野ざらしに置かれていた。
ウィリアムは一目見るなり陽気に声をかけた。
「やあ。ギルドとルイズ。待たせたな。君達で最後だ。」
「団長じゃないですか!本物ですか?」
「うっ、俺もう諦めてました。うっ、、。」
「私が諦める訳ないだろ?」
ウィリアムがしゃがんで仏像の頭を撫ぜた。
その様子に光が声をあげた。
「ちょっ、ちょっと!ウィリアム何やってんだ?マジ勘弁してくれよ。」
狼狽する光の横で一条奈々美がニッコリとした。
「あの2体はウィリアム様の部下達ですって。驚くわよね。ふふふ。」
「部下?なんだそれ?ったく、こんなに驚いたのは初めてだ。お前、知ってたのか?」
「私もつい最近、知ったの。」
「って事は、嬢ちゃんもか?」
「ええ。それと嬢ちゃんはやめて。」
「相変わらず素っ気ないよな。」
そう言いながら話をする奇怪な仏像を見ると大きなため息をついた。
「さぁ、急いで帰ろう。ありがとう光。
これでこの依頼は終わりだよ。本当に良くやってくれた。感謝を捧げるよ。」
「まさか話す仏像を探していたとは思っても無かったよ。」
「黙っていてすまないね。ギルドとルイズ!この光さんが居なければ君達を見つける事は難しかった。私に続け。心より感謝を捧げる。」
「心より感謝を捧げる!!」
「イヤイヤイヤ~、これ以上は、もう何も言わないでくれ。頼むから。」
「ふふふ。光さんでもビックリするのね。」
「ふふふ。らしくないわ。ふふふ。」
普段は豪快な男が狼狽える姿に一条奈々美とエリザベスの笑いは止まらなかった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!
菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……
Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。
優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。
そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。
しかしこの時は誰も予想していなかった。
この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを……
アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを……
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる