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3.再び異世界の日本へ行く
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聖女エリザベスは、愛する人に会う為に再び異世界の日本へ出発した。
「そんな、、こんなにも変わってしまうなんて。」
エリザベスは、たったの10分程、ここを離れただけだった。
目の前には、何処まで続く背の高いコンクリート造りの建物が街を埋め尽くし、大勢の人と車が溢れていた。
もう田んぼや畑、山も無い。
夢中に飛び出したので時間の流れの違いを深く考えて無かったのだ。
「ダメだわ。これじゃ吉さんの面影を追う事も出来ない。流れた時は返ってこないから。」
涙が溢れて止まらなかった。
それからは、大都会の人混みの中を当てもなくフラフラとさまよった。
(疲れたわ。もう何も考えたくない。)
ボッーと歩いているといきなり背後から腕を掴まれた。
「危ない!」
パッと後ろに引き込まれたのでバランスを崩して地面を倒れ込んでしまった。
痛む足をさすりながら見上げると見知らぬ男性が慌てた顔で謝ってきた。
「すまない!車にひかれそうになってたからとっさに止めたんだけど、力加減を誤ってしまった。足、大丈夫?」
立とうとした時、激しい痛みが走った。
「痛ったたっ、、」
「手を貸すよ。立てる?」
見知らず男に触れたくなかったけれど、立てないのだから仕方がない。
そっと手を伸ばすと大きな手に特徴のある傷があった。
「ああ、この傷は昔のだ。気にしないでいい。さあ、立って。」
何とか立ち上がりよく見ると男は日本人には見えなかった。
銀の短髪に緑色の目をして彫りも深い。
片耳には模様の彫られ金に緑の石が輝くピアスをしている。
「私はウィリアム・マゼラン。お名前は?」
「エリ。貴方、日本人じゃないのね。どこの人?」
「私の国は知られてないから聞いてもわからないよ。それより病院へ行こう。お詫びに治療させてくれ。」
「そこまでひどく無いわ。数日すれば治ると思うからお構いなく。」
「でも歩けないじゃないか。もう直ぐ車が着くので自宅まで送ろう。」
「自宅は無いわ。これから宿を取る予定だったから。」
「旅行者か。では、私の会社が近くにある。そこで手当をしよう。秘書がそろそろ迎えに来る頃だ。」
「あなた、怪しい人?」
「ハハハッ、怪しい人なら人助けはしないだろ?私の名刺だ。」
(古美術販売・調査業 マゼラン商会か。
うーん、一目でわかる仕立ての良いスーツに磨かれた靴。だからと言って怪しい人じゃないと言えないわ。)
エリザベスが断りの返事をしようとした時、サラサラ黒髪ボブにスーツ姿の女性が声をかけてきた。
「ウィリアム様、お待たせしました。ところで、その方は?」
「私が怪我をさせてしまったエリさん。こちらは、さっき話した秘書の一条 奈々子さんだ。」
「一条でございます。お手伝い致します。」
一条は、挨拶もそこそこにエリの空いた方の手を取り支えた。
「直ぐに病院へ、、」
「病院へは行かないそうだ。だから会社で簡単な手当を提案していた所だ。どうだろ?」
2人から視線を送られたエリはため息をついた。
「仕方ないわ。行きましょう。だって歩けないのだもの。」
エリザベスは自分にも言い聞かせた。
車には乗る時、傷めた足が酷く痛んだが走り出すと馬のようには揺れず外の景色が滑るように流れた。
(これは吉さんに酷い事をしたバチが当たったんだ。このままどうなったて仕方がないわ。
吉さん、本当に、、ごめんなさい。)
「そんな、、こんなにも変わってしまうなんて。」
エリザベスは、たったの10分程、ここを離れただけだった。
目の前には、何処まで続く背の高いコンクリート造りの建物が街を埋め尽くし、大勢の人と車が溢れていた。
もう田んぼや畑、山も無い。
夢中に飛び出したので時間の流れの違いを深く考えて無かったのだ。
「ダメだわ。これじゃ吉さんの面影を追う事も出来ない。流れた時は返ってこないから。」
涙が溢れて止まらなかった。
それからは、大都会の人混みの中を当てもなくフラフラとさまよった。
(疲れたわ。もう何も考えたくない。)
ボッーと歩いているといきなり背後から腕を掴まれた。
「危ない!」
パッと後ろに引き込まれたのでバランスを崩して地面を倒れ込んでしまった。
痛む足をさすりながら見上げると見知らぬ男性が慌てた顔で謝ってきた。
「すまない!車にひかれそうになってたからとっさに止めたんだけど、力加減を誤ってしまった。足、大丈夫?」
立とうとした時、激しい痛みが走った。
「痛ったたっ、、」
「手を貸すよ。立てる?」
見知らず男に触れたくなかったけれど、立てないのだから仕方がない。
そっと手を伸ばすと大きな手に特徴のある傷があった。
「ああ、この傷は昔のだ。気にしないでいい。さあ、立って。」
何とか立ち上がりよく見ると男は日本人には見えなかった。
銀の短髪に緑色の目をして彫りも深い。
片耳には模様の彫られ金に緑の石が輝くピアスをしている。
「私はウィリアム・マゼラン。お名前は?」
「エリ。貴方、日本人じゃないのね。どこの人?」
「私の国は知られてないから聞いてもわからないよ。それより病院へ行こう。お詫びに治療させてくれ。」
「そこまでひどく無いわ。数日すれば治ると思うからお構いなく。」
「でも歩けないじゃないか。もう直ぐ車が着くので自宅まで送ろう。」
「自宅は無いわ。これから宿を取る予定だったから。」
「旅行者か。では、私の会社が近くにある。そこで手当をしよう。秘書がそろそろ迎えに来る頃だ。」
「あなた、怪しい人?」
「ハハハッ、怪しい人なら人助けはしないだろ?私の名刺だ。」
(古美術販売・調査業 マゼラン商会か。
うーん、一目でわかる仕立ての良いスーツに磨かれた靴。だからと言って怪しい人じゃないと言えないわ。)
エリザベスが断りの返事をしようとした時、サラサラ黒髪ボブにスーツ姿の女性が声をかけてきた。
「ウィリアム様、お待たせしました。ところで、その方は?」
「私が怪我をさせてしまったエリさん。こちらは、さっき話した秘書の一条 奈々子さんだ。」
「一条でございます。お手伝い致します。」
一条は、挨拶もそこそこにエリの空いた方の手を取り支えた。
「直ぐに病院へ、、」
「病院へは行かないそうだ。だから会社で簡単な手当を提案していた所だ。どうだろ?」
2人から視線を送られたエリはため息をついた。
「仕方ないわ。行きましょう。だって歩けないのだもの。」
エリザベスは自分にも言い聞かせた。
車には乗る時、傷めた足が酷く痛んだが走り出すと馬のようには揺れず外の景色が滑るように流れた。
(これは吉さんに酷い事をしたバチが当たったんだ。このままどうなったて仕方がないわ。
吉さん、本当に、、ごめんなさい。)
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