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(番外編)究極の選択
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神殿の祭壇に明るい日差しが差し込み輝いている。
そこで聖女ナオちゃんが祈りを捧げていた。
私がそっと近づくと気がついて振り返り嬉しそうに側に来た。
「エリコさん!やっとよ!やっと帰れるのよ!」
「えっ?本当?私達の世界に?」
「うん。あのね、やっと帰る為の術が出来上がったの。さあ、一緒に帰ろう!」
そう言うと、満面の笑顔で手を差し伸べてきた。手を出しそうになり慌てて引っ込めた。
「ち、ちょっと待って。アルベルトに、、、夫に相談させて。」
「ダメよ。その時間はありません。さぁ、手を取って下さい。帰りましょう!」
長い間、待ち望んでいたのに、直ぐに手を取る事が出来ない。ああ、帰りたい。
懐かしい日本へ。でも、ここには愛するアルベルトがいる。私は、、、。
「さあ、エリコさん。私達は召喚されてからもう10年が経ったのよ。早く帰らないと皆んな私達の事なんて忘れてしまうわ。さあ、手を取って。」
もうそんなに経ってしまったの?本当だ。忘れられてしまう。
手を伸ばした時、後ろから名前を呼ばれた。
「エリコ!何処へ行くんだ?俺の妻だろ?俺をすてるのか?」
「あっ、、。」
アルベルト、旦那様。この世界に召喚されて孤独の中、私を支えて愛して見守り続けてくれる人。
「違う!違うの!そんなつもりない。捨てたりしない。でも、、、でも!」
「エリコさん!早く!」
ああ、どうすればいいの?!
その時、身体を強く揺さぶられた。
「エリコ!エリコ!起きろ!」
ハッとして目を開けると寝室のベットでアルベルトが覗きこんでいる。
「私、、私、、。」
心臓はまだドキドキして寝汗が吹き出してくる。
「悪い夢を見ていたな。うなされていたぞ。」
「アルベルト!」
ああ、夢で良かった!本当に、、、涙が止まらない。
「こんなに怯えて。どんな夢を見たんだ?」
アルベルトはゆっくりと優しく髪を撫ぜてくれる。
「決して、、叶わない夢を見ただけよ。」
夢で良かった。
今の私には選べないから。
そこで聖女ナオちゃんが祈りを捧げていた。
私がそっと近づくと気がついて振り返り嬉しそうに側に来た。
「エリコさん!やっとよ!やっと帰れるのよ!」
「えっ?本当?私達の世界に?」
「うん。あのね、やっと帰る為の術が出来上がったの。さあ、一緒に帰ろう!」
そう言うと、満面の笑顔で手を差し伸べてきた。手を出しそうになり慌てて引っ込めた。
「ち、ちょっと待って。アルベルトに、、、夫に相談させて。」
「ダメよ。その時間はありません。さぁ、手を取って下さい。帰りましょう!」
長い間、待ち望んでいたのに、直ぐに手を取る事が出来ない。ああ、帰りたい。
懐かしい日本へ。でも、ここには愛するアルベルトがいる。私は、、、。
「さあ、エリコさん。私達は召喚されてからもう10年が経ったのよ。早く帰らないと皆んな私達の事なんて忘れてしまうわ。さあ、手を取って。」
もうそんなに経ってしまったの?本当だ。忘れられてしまう。
手を伸ばした時、後ろから名前を呼ばれた。
「エリコ!何処へ行くんだ?俺の妻だろ?俺をすてるのか?」
「あっ、、。」
アルベルト、旦那様。この世界に召喚されて孤独の中、私を支えて愛して見守り続けてくれる人。
「違う!違うの!そんなつもりない。捨てたりしない。でも、、、でも!」
「エリコさん!早く!」
ああ、どうすればいいの?!
その時、身体を強く揺さぶられた。
「エリコ!エリコ!起きろ!」
ハッとして目を開けると寝室のベットでアルベルトが覗きこんでいる。
「私、、私、、。」
心臓はまだドキドキして寝汗が吹き出してくる。
「悪い夢を見ていたな。うなされていたぞ。」
「アルベルト!」
ああ、夢で良かった!本当に、、、涙が止まらない。
「こんなに怯えて。どんな夢を見たんだ?」
アルベルトはゆっくりと優しく髪を撫ぜてくれる。
「決して、、叶わない夢を見ただけよ。」
夢で良かった。
今の私には選べないから。
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