召喚に巻き込まれたけど人生諦めません!

牡丹

文字の大きさ
上 下
41 / 42

(番外編)エリコのお留守番3(完)

しおりを挟む
あー良かった。間に合った。スッキリしたら早く何か飲みたい。喉がカラカラよ。

あっ、今の人、飲み物を持って入って来た。よし。こっちだな。
あれ?外へ出たのに自動販売機が無い。う~ん、無いなぁ。

ま、道沿いにはあるはず。
こっちへ行ってみよう。
あれ?無いなぁ。少なくとも角っこにあるんだけどなぁ?おかしいなぁ。
丁度、すれ違う人がいるから聞いてみよう。

「あの~自動販売機かカフェか、、」

「はぁ?声をかけるな!あっちに行け!」

思わず身をすくめた。ツバまで吐くとは最低ね。なんで?道を聞いただけなのに何故怒鳴るのよ。怖いじゃないの。こんな奴からはサッサと離れるのが1番。
痛っ。早歩きすると頭が痛むじゃないの。

あれ?どうしよう。ここは何処だろう?ゴミがあちこちに落ちていて不衛生だし道に座り込んでお酒を飲む人もいる。

どうしよう。それにあちこちに胸を強調した服に濃い化粧の女の人が立ってる。って事は、ここは、、、!
どおりでさっきから男の人にジロジロと見られていたのか。

これは、、、ヤバイ所に迷い込んだ。
ああ、金髪の薄汚れたヤバそうな奴が声をかけてきた。

「オイ、姉ちゃん幾らだ?黒髪が珍しいな。」

「ち、違います!」

「金なら出すぜ。楽しもうぜ。」

「嫌!離して!誰か助けて!」

なんて強引!ちょっと肩から手をどかしてよ!ヤバイ、建物に連れて行かれる~!

周りの女達は何でニタニタと笑うだけなの?どうして誰も助けてくれないの?

「おっと。兄ちゃん先約だ。悪りぃな。」

後ろから声をかけられた瞬間、腕を引っ張って抱き寄せられた。
見上げると茶色い髭だらけの背の高い男でこちらもヤバイ奴だわ。

「何だと!」

髭男がコインを投げ与えると金髪男は、舌打ちをして去っていった。

一難去ってまた一難。さっきの男とは比べ物にならない力でホールドされているわ。

「離して。私は、そんな女じゃないの。人違いよ。」

「黙れ。」

「嫌!離して!」

「静かにしろ。黙らせられたいか?」

ドスの聞いた声に何をされるかわからずゾッとして慌てて言葉を引っ込める。
周りを見ても相変わらずの無関心。
どうしよう。どうなるの?

幾つかの角を曲がり大通りが見えて来た。
その時、男はそっと耳元で囁いてきた。

「次は無いぞ。屋敷に帰れ。」

「えっ?屋敷?」

「シッ!」

その瞬間、男が私から離れ来た道を足早に戻っていった。
一体、何だったの?それよりここを離れたい。
大通りを知った場所がないか探しながら歩いていると声をかけられた。

「エリコ様!ご無事で!オーイ!エリコ様を見つけたぞ!」

「えっ?あなたは誰?」

「はい?付き人のマークですよ。どうされました?」

「マーク?付き人?何それ?」

こんな人知らない。何言ってるの?

「エリコ様~!ご無事で!本当に心配しましたよ。」

「えっと、誰?」

「侍女のマリーですよ。まさかお忘れに?」

「知らないわ。あの、、皆さん、なんでそんな顔をしてるの?」

「まさか、、記憶喪失、、、。」


*****

記憶が戻った頃、任務から帰って来た夫アルベルトに「俺が見つけなければどうなっていたかわかるか?」とコッテリのお小言とお仕置きを受けた記憶は新しい。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。 既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。 未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。 後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。 欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。 * 作り話です * そんなに長くしない予定です

会社の後輩が諦めてくれません

碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。 彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。 亀じゃなくて良かったな・・ と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。 結は吾郎が何度振っても諦めない。 むしろ、変に条件を出してくる。 誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。

緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」  そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。    私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。  ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。  その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。 「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」  お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。 「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」  

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

騎士の妻ではいられない

Rj
恋愛
騎士の娘として育ったリンダは騎士とは結婚しないと決めていた。しかし幼馴染みで騎士のイーサンと結婚したリンダ。結婚した日に新郎は非常召集され、新婦のリンダは結婚を祝う宴に一人残された。二年目の結婚記念日に戻らない夫を待つリンダはもう騎士の妻ではいられないと心を決める。 全23話。 2024/1/29 全体的な加筆修正をしました。話の内容に変わりはありません。 イーサンが主人公の続編『騎士の妻でいてほしい 』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/96163257/36727666)があります。

処理中です...