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(番外編)エリコのお留守番1

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愛しの旦那様アルベルト・ルドヴィカ侯爵。騎士団総団長として今日から任務の為に3ヶ月程、家を空ける。見送りの為に共に玄関前に立った。

「いってらっしゃい。無事に帰って来てね。」

「大丈夫だ。エリコこそ絶対に大人しくしておくんだぞ。一人は厳禁だそ。」

「はいはい、わかってるったら。」

さっきも聞いたのに耳が痛いな、と軽い返事を返すとアルベルトが顔を近づけると目の奥を探るように厳しい視線で見つめてきた。

「約束だぞ。今回は何かあっても駆けつけられん。頼んだぞ。」

「うん。充分わかってます。」

返事を聞くと優しい目になり人目も憚らずキスをしてきた。

あー慣れない!慣れないよー!こーんな使用人や部下の騎士の皆さんが見ている前でホントに恥ずかしい!
文化の違いもあるけれど、そこそこの歳で熱い抱擁って。いくら新婚とは言え恥ずかし過ぎるわよ!

照れてる私と大違いでアルベルトは何事も無かったように部隊に合流すると振り返る事無く出発して行った。

彼が今から何処へ行くのか知らない。お城の執務室かもしれないし、何処か別の場所で潜入捜査をするのかもしれない。

ソコは追求しない事に決めた。私の世界の物差しでは測れないものがこの世界にはあるから。 3ヶ月は会えないんだと割り切る。

それにしても、いくら私でも仕事にご迷惑をかけるような事はしませんって。ホントに信用無いんだから。

ま、仕方がないか。先月、町の私の家へ帰った時、お付きの者達には1時間後に迎えに来てと言いながら、1人で市場に出かけてそこでルドヴィカ侯爵邸の使用人と出会ってバレてしまったのよね

屋敷にかえると執事と侍女長の夫婦からたっぷりのお小言をもらった。

「奥様!奥様はもう侯爵夫人なんですよ。いつまでも町娘のつもりでは困ります!」

「そうでございます。規律を守るのも上の者の役目でございますよ!」

アルベルトからは「懲りないな。」と、短い注意で済まされたっけ。

はいはい、のんびり過ごしますって。
なんたって結婚して以来、こんなに長く彼と離れて過ごすのは初めてだもん。

寂しいけれど、正直、ゆっくりと寝れるのはありがたい。

まだ蜜月だけにアルベルトが隣で寝る時は甘々だし、抱き枕のように拘束されるから寝返りが打ちづらくてどうしても眠りが浅くなってしまう。

結婚生活が落ち着けば甘さも落ち着いてくるんだろうけど、仕事がら留守にしがちだし今回の長期不在でまだまだ当分は続きそうだわねぇ。

「ふぁっー。」

騎士の体力ってなんて凄いのかしら。
朝から疲れたわ。さて、まずは夫も見送ったし、少し朝寝をさせてもらおうっと。
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