24 / 42
24.追跡のプロ
しおりを挟む
赤髪の騎士総団長アルベルト・ルドヴィカ。彼は全騎士団の指揮をとる司令塔。
王都や都市に配置した騎士とその部下の兵士、町に散らばり網の目にいる目となり耳となる情報屋からの莫大な情報を精査して獲物を追いかける。
「王都の宿には居なかったんだ。その日のうちに周辺都市へ向かったはずだ。近隣都市の宿を徹底的に当たれ。辻馬車の運転手の聞き込みもだ。耳と目を総動員しろ。」
近隣都市には一斉に鳥を使い指示が飛ばされた。王都に居ながらも同時進行で複数の都市の捜索が進められていた。
「総団長、女が1人で周辺の都市へ向かった年齢が合う者が58名。外観が一致する者はいませんでしたが背格好から15人に絞れました。」
「15人の足取りと身元を掴め。引き続き辻馬車の運転手の聞き込みも続けろ。」
網の目に張った情報が絞られていく。全ての可能性を追って一つづつ消していき推理するのだ。幾つかの可能性の中から特に気になるものがあった。
「よし、出るぞ。スイータだ。メガネをかけていたのがどうも気になる。瞳の色は隠せないからな。追うぞ。」
ルドヴィカ総団長は、直属の隊を引き連れて副総団長に後を任せてスイータへ急ぎ出発をした。
スイータでは、当然ながら、メガネの女は背格好と年齢で捜査対象に上がっていた。
鳥でメガネの女の足取りを最優先と伝令が飛び調査されていた。
ルドヴィカ総団長らが到着すると直ぐにその後の足取りについて報告が聞けた。
質素な身なりで宿を何軒か断られた事。
耳と目からは家の内覧する姿をあちらこちらで見かけた事。
ある宿の辺りで彼女はよく見かけられ、
その宿の辺りで今晩、不自然に町を全速力で走る幌馬車が見かけられた事。
「夜中に全速とは怪しいな。追うぞ。」
ルドヴィカ総団長は、半分の部下を別の捜査へ向かわせ残りを引き連れ幌馬車を追った。
夜中という事で目撃情報は少ない。だが街灯が殆どない夜中に走る馬車の音は沿線に住む者の耳に残っていた。
それは山へ続いていた。
山道のぬかるんだ場所では新しい車輪の跡を見ることが出来た。
更に進むと道にマントが落ちていた。どこにでもある青い旅行マントだ。
その場所に複数の足跡が確認され飛び飛びに何かを引きずる跡を見つけた。
その跡は川沿いの薮に続いていて、藪へ踏み入れた跡と何かが滑り草をなぎ倒した跡が川まで続いていた。
「川だ!川を捜索する。急げ!」
*****
「見つけた!見つけたぞ!ここだ!」
大きな声が渓流に響き渡った。
幸いな事にエリコは、下流に流され積の浅瀬に流れ着いていた。
ルドヴィカ総団長が確認すると脈はあるが身体は川の水のように冷たくピクリとも動かない。
「乾いた布がいる。シャツとマントを貸してくれ。」
隊員達が差し出すと更に指示をした。
「お前たち向こうで火を起こしてくれ。許しが出るまでそこで待機だ。」
ルドヴィカ総団長は月明かりの中、辺りを今一度見回すとエリコの服に手をかけ濡れた服を素早く脱がした。
*****
王都や都市に配置した騎士とその部下の兵士、町に散らばり網の目にいる目となり耳となる情報屋からの莫大な情報を精査して獲物を追いかける。
「王都の宿には居なかったんだ。その日のうちに周辺都市へ向かったはずだ。近隣都市の宿を徹底的に当たれ。辻馬車の運転手の聞き込みもだ。耳と目を総動員しろ。」
近隣都市には一斉に鳥を使い指示が飛ばされた。王都に居ながらも同時進行で複数の都市の捜索が進められていた。
「総団長、女が1人で周辺の都市へ向かった年齢が合う者が58名。外観が一致する者はいませんでしたが背格好から15人に絞れました。」
「15人の足取りと身元を掴め。引き続き辻馬車の運転手の聞き込みも続けろ。」
網の目に張った情報が絞られていく。全ての可能性を追って一つづつ消していき推理するのだ。幾つかの可能性の中から特に気になるものがあった。
「よし、出るぞ。スイータだ。メガネをかけていたのがどうも気になる。瞳の色は隠せないからな。追うぞ。」
ルドヴィカ総団長は、直属の隊を引き連れて副総団長に後を任せてスイータへ急ぎ出発をした。
スイータでは、当然ながら、メガネの女は背格好と年齢で捜査対象に上がっていた。
鳥でメガネの女の足取りを最優先と伝令が飛び調査されていた。
ルドヴィカ総団長らが到着すると直ぐにその後の足取りについて報告が聞けた。
質素な身なりで宿を何軒か断られた事。
耳と目からは家の内覧する姿をあちらこちらで見かけた事。
ある宿の辺りで彼女はよく見かけられ、
その宿の辺りで今晩、不自然に町を全速力で走る幌馬車が見かけられた事。
「夜中に全速とは怪しいな。追うぞ。」
ルドヴィカ総団長は、半分の部下を別の捜査へ向かわせ残りを引き連れ幌馬車を追った。
夜中という事で目撃情報は少ない。だが街灯が殆どない夜中に走る馬車の音は沿線に住む者の耳に残っていた。
それは山へ続いていた。
山道のぬかるんだ場所では新しい車輪の跡を見ることが出来た。
更に進むと道にマントが落ちていた。どこにでもある青い旅行マントだ。
その場所に複数の足跡が確認され飛び飛びに何かを引きずる跡を見つけた。
その跡は川沿いの薮に続いていて、藪へ踏み入れた跡と何かが滑り草をなぎ倒した跡が川まで続いていた。
「川だ!川を捜索する。急げ!」
*****
「見つけた!見つけたぞ!ここだ!」
大きな声が渓流に響き渡った。
幸いな事にエリコは、下流に流され積の浅瀬に流れ着いていた。
ルドヴィカ総団長が確認すると脈はあるが身体は川の水のように冷たくピクリとも動かない。
「乾いた布がいる。シャツとマントを貸してくれ。」
隊員達が差し出すと更に指示をした。
「お前たち向こうで火を起こしてくれ。許しが出るまでそこで待機だ。」
ルドヴィカ総団長は月明かりの中、辺りを今一度見回すとエリコの服に手をかけ濡れた服を素早く脱がした。
*****
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説

病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

夫から「余計なことをするな」と言われたので、後は自力で頑張ってください
今川幸乃
恋愛
アスカム公爵家の跡継ぎ、ベンの元に嫁入りしたアンナは、アスカム公爵から「息子を助けてやって欲しい」と頼まれていた。幼いころから政務についての教育を受けていたアンナはベンの手が回らないことや失敗をサポートするために様々な手助けを行っていた。
しかしベンは自分が何か失敗するたびにそれをアンナのせいだと思い込み、ついに「余計なことをするな」とアンナに宣言する。
ベンは周りの人がアンナばかりを称賛することにコンプレックスを抱えており、だんだん彼女を疎ましく思ってきていた。そしてアンナと違って何もしないクラリスという令嬢を愛するようになっていく。
しかしこれまでアンナがしていたことが全部ベンに回ってくると、次第にベンは首が回らなくなってくる。
最初は「これは何かの間違えだ」と思うベンだったが、次第にアンナのありがたみに気づき始めるのだった。
一方のアンナは空いた時間を楽しんでいたが、そこである出会いをする。

悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!

私を売女と呼んだあなたの元に戻るはずありませんよね?
ミィタソ
恋愛
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。
レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。
アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。
ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。
そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。
上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。
「売女め、婚約は破棄させてもらう!」

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる