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(番外編)ルドヴィカ総団長のつぶやき
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100年以上ぶりに聖女が召喚された。
俺が他国に潜入調査をしている時に報告を受けたが、喜ばしい話だ。
だが、想定外が起きた。ただの異世界人の女が1人、巻き添えで召喚されたと言う。
オマケの彼女を陛下はあからさまに嫌悪・無視をされたそうで宰相が対応をしたそうだ。
巻き添え召喚の事実と元の世界には帰る方法がない事を謝罪をして、彼女は主婦だったのて城住まいの女中という高待遇の仕事を紹介された。
「召喚は誘拐だ。家に返せ。」
彼女は激しく抗議をして断り無謀にも町で1人暮らしをしたいと申し出たそうだ。
おいおい、城住まいだぞ。これ以上の好条件で安全な所があるか?
何と言う豪傑。気の強い女だ。
程なくヤケになり城の部屋で侍女に当たり散らす堕落した生活を送り始めたそうだ。
侍女達からの訴えで宰相は彼女に特別な贈り物をした。男娼を送ったのだ。すると意外にも真っ赤になり直ぐに送り返したそう。
傲慢な気の強い女なら喜んで溺れそうなのにな。そこまで奔放な女では無かったようだ。
彼女からの反省と謝罪を受けて、宰相は、王都の町に家を持させ暮らすことを許可した。ただし、騎士団詰所の上に住まわせ監視は怠らない。勿論、嫌がらせだろう。
どれ、久しぶりの王都帰還だ。
丁度、抜き打ちで治安の調査をしようとしていたところだ。
ついでにその女を見極めてやろう。
彼女の家は王都のメインストリート沿いの3階建ての建物で、2階3階が住居だ。1階の半分は「折り紙屋」の店舗を営みもう半分は壁一つ隔てて騎士団詰所になっている。
宰相の奴も上手く考えたな。騎士詰所の上に住まわす事で監視と警護を兼ねるとは。
彼女には聖女の能力があるわけではない。しかし見た目が同じ黒目黒髪だから何とも紛らわしい。この国では見かけない外見だ。
「チッ、城で働いていれば良いものを。」
手放しで放り出すには、絶対にトラブルになる。なんとも厄介な存在だ。
店の外から観察を重ねるが、店内が客で賑わう事はない。稀に物好きがフラッと入り、出て来た時には満足な顔をして商品を購入していた。
その顔に商品を間近で見たくなった。
こんなちょっとした「気になる」や「引っかかる」事が捜査には大切なんだ。
隠密でよく使う手で音を立てずに店内入ると彼女は全く気が付かない。
嘘だろ?なんと居眠りをしていた!
おいおい!女が1人で店番だろ?居眠りとは頭が緩いのか?
信じられない。なんて危機感の無い娘だ。
声をかけると飛び上がる程に驚き、彼女から抗議の声を受けたが、俺で良かっただろと感謝されても良いはずだぞ。
日を置き、再びコッソリと店内に入るとまた気が付かない!全くどうなっているんだ!
若い娘が押し入られると強盗だけでは済まないだろう。そう思い少し脅しをかけてみた。
腕を掴んで詰め寄ると叫び声をあげたが腰を抜かしてしまった。怯え切っている。
この女は宰相にくってかかる豪傑な女ではなかった。、ただの世間知らずで無防備な根本的な危機感の欠如したか嬢ちゃんではないか。
どれだけ安心な場所で育てばそうなるんだ?
町の治安について騎士詰め所で騎士と打ち合わせがあったので、ついでに嬢ちゃんの様子を覗いてみた。
真夜中に何度か嬢ちゃんの部屋に忍び込んでおかしな物は持ち込んでいないか確認をする。不審な点は無いが、いつも寝ながら泣く姿を見かけた。
小さな子供ならわかるが大人が涙を流して寝るとはどれだけ大きな不安と悲しみなんだろうか?
我らの主君が呼び寄せた者だが何とも不憫だった。
昼間に会えば、危なげなのに本人は全くその事に気がついておらず、気の強い事を平気に言ってくる。
騎士団総団長として恐れられ、このゴロツキな姿にも臆する事なく威嚇する姿は外の世界を知らない子猫の様だ。何とも面白い。
放っておけば確実に悪党の餌食になる。それがわかっていて、放っておけるか?
それは騎士道精神に反するだろう?
気まぐれで忍び込みこの娘の涙を覗き見たのは俺だ。
この娘は、必死に一生懸命に生きている。そのうえ、親しくなった者には親身になり上部だけの付き合いをしない。打てば響くように反応を返してくるその姿もいい。
俺は気が強く温かい女が好きなんだ。
俺の隣は空席のままで良いと思っていたが、まさか異世界人とわ。気に入ったぞ!
さーて、こんなナリの俺でも惚れるか楽しみだ。
顔と家柄に吸い寄せられる令嬢は沢山いるがどれもつまらん女だからな。
地道に花を送り声をかけ続けていると、ある日、俺が軽く触れると過剰な反応をした。声はどもり耳が真っ赤だ。
ははっ、噛みついていた女がいつの間にか俺に惚れている。本人は必死に平気なフリをしているが、こんなに嬉しい事はない!
そうだ。いつか変装を解いて本当の俺を見せてやろう。俺は王国1のイイ男だからな。やっと見つけたんだ。その時は逃しはしないからな。
俺が他国に潜入調査をしている時に報告を受けたが、喜ばしい話だ。
だが、想定外が起きた。ただの異世界人の女が1人、巻き添えで召喚されたと言う。
オマケの彼女を陛下はあからさまに嫌悪・無視をされたそうで宰相が対応をしたそうだ。
巻き添え召喚の事実と元の世界には帰る方法がない事を謝罪をして、彼女は主婦だったのて城住まいの女中という高待遇の仕事を紹介された。
「召喚は誘拐だ。家に返せ。」
彼女は激しく抗議をして断り無謀にも町で1人暮らしをしたいと申し出たそうだ。
おいおい、城住まいだぞ。これ以上の好条件で安全な所があるか?
何と言う豪傑。気の強い女だ。
程なくヤケになり城の部屋で侍女に当たり散らす堕落した生活を送り始めたそうだ。
侍女達からの訴えで宰相は彼女に特別な贈り物をした。男娼を送ったのだ。すると意外にも真っ赤になり直ぐに送り返したそう。
傲慢な気の強い女なら喜んで溺れそうなのにな。そこまで奔放な女では無かったようだ。
彼女からの反省と謝罪を受けて、宰相は、王都の町に家を持させ暮らすことを許可した。ただし、騎士団詰所の上に住まわせ監視は怠らない。勿論、嫌がらせだろう。
どれ、久しぶりの王都帰還だ。
丁度、抜き打ちで治安の調査をしようとしていたところだ。
ついでにその女を見極めてやろう。
彼女の家は王都のメインストリート沿いの3階建ての建物で、2階3階が住居だ。1階の半分は「折り紙屋」の店舗を営みもう半分は壁一つ隔てて騎士団詰所になっている。
宰相の奴も上手く考えたな。騎士詰所の上に住まわす事で監視と警護を兼ねるとは。
彼女には聖女の能力があるわけではない。しかし見た目が同じ黒目黒髪だから何とも紛らわしい。この国では見かけない外見だ。
「チッ、城で働いていれば良いものを。」
手放しで放り出すには、絶対にトラブルになる。なんとも厄介な存在だ。
店の外から観察を重ねるが、店内が客で賑わう事はない。稀に物好きがフラッと入り、出て来た時には満足な顔をして商品を購入していた。
その顔に商品を間近で見たくなった。
こんなちょっとした「気になる」や「引っかかる」事が捜査には大切なんだ。
隠密でよく使う手で音を立てずに店内入ると彼女は全く気が付かない。
嘘だろ?なんと居眠りをしていた!
おいおい!女が1人で店番だろ?居眠りとは頭が緩いのか?
信じられない。なんて危機感の無い娘だ。
声をかけると飛び上がる程に驚き、彼女から抗議の声を受けたが、俺で良かっただろと感謝されても良いはずだぞ。
日を置き、再びコッソリと店内に入るとまた気が付かない!全くどうなっているんだ!
若い娘が押し入られると強盗だけでは済まないだろう。そう思い少し脅しをかけてみた。
腕を掴んで詰め寄ると叫び声をあげたが腰を抜かしてしまった。怯え切っている。
この女は宰相にくってかかる豪傑な女ではなかった。、ただの世間知らずで無防備な根本的な危機感の欠如したか嬢ちゃんではないか。
どれだけ安心な場所で育てばそうなるんだ?
町の治安について騎士詰め所で騎士と打ち合わせがあったので、ついでに嬢ちゃんの様子を覗いてみた。
真夜中に何度か嬢ちゃんの部屋に忍び込んでおかしな物は持ち込んでいないか確認をする。不審な点は無いが、いつも寝ながら泣く姿を見かけた。
小さな子供ならわかるが大人が涙を流して寝るとはどれだけ大きな不安と悲しみなんだろうか?
我らの主君が呼び寄せた者だが何とも不憫だった。
昼間に会えば、危なげなのに本人は全くその事に気がついておらず、気の強い事を平気に言ってくる。
騎士団総団長として恐れられ、このゴロツキな姿にも臆する事なく威嚇する姿は外の世界を知らない子猫の様だ。何とも面白い。
放っておけば確実に悪党の餌食になる。それがわかっていて、放っておけるか?
それは騎士道精神に反するだろう?
気まぐれで忍び込みこの娘の涙を覗き見たのは俺だ。
この娘は、必死に一生懸命に生きている。そのうえ、親しくなった者には親身になり上部だけの付き合いをしない。打てば響くように反応を返してくるその姿もいい。
俺は気が強く温かい女が好きなんだ。
俺の隣は空席のままで良いと思っていたが、まさか異世界人とわ。気に入ったぞ!
さーて、こんなナリの俺でも惚れるか楽しみだ。
顔と家柄に吸い寄せられる令嬢は沢山いるがどれもつまらん女だからな。
地道に花を送り声をかけ続けていると、ある日、俺が軽く触れると過剰な反応をした。声はどもり耳が真っ赤だ。
ははっ、噛みついていた女がいつの間にか俺に惚れている。本人は必死に平気なフリをしているが、こんなに嬉しい事はない!
そうだ。いつか変装を解いて本当の俺を見せてやろう。俺は王国1のイイ男だからな。やっと見つけたんだ。その時は逃しはしないからな。
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