14 / 42
14.花のプレゼント
しおりを挟む
恋人のライアンが聖女の祝福付き折り紙を病気の妹さんへ届ける為に故郷の隣国オルラント王国へ出発して2週間。
彼が旅立つ間際には頻繁にご飯デートをしていたので一人で晩御飯を食べていると人恋しくなってしまう。
そしていつも同じ事を考えてしまう。
ライアンは無事に到着したのかな?
妹さんの病気はどうなったの?
いつ帰るんだろう?
こんな時、電話が有ればな。
考えてもした方がないのに。
つい手が止まってぼっーとしてしまう。
「カランコロン」
ライアン?とドアの呼び鈴の音で顔を上げるといつもの近所の女将さん達だった。
もうお昼なのね。
今日も食べ物を持ち寄っておしゃべりをしに来てくれた。
この世界に孤独な身としては本当にありがたい。
定食屋の女将ハンナさんが自慢の挽肉パイを手渡しながら聞いてきた。
「ねぇライアンは帰って来たのかい?」
「それがまだなの。」
「ま、貿易商だから旅の途中でどうこうは無いよ。手紙は来てないのかい?」
「それもまだなの。」
「仕方がない奴だね。じゃあさ。こっちから手紙を出してみたらどうかい?」
「それが、、連絡先を知らないの。」
「うーん、それは困ったねぇ。マメな男だったのにこんなに恋人を心配させて。帰って来たら懲らしめてやりなよ。」
「はい。勿論ですよ。」
本当にどうしたんだろう?
3週間が過ぎる頃、朝、2階の自宅から1階の店舗に降りるとフワァと良い香りがした。カウンターの上に赤い花が1輪飾られていた。
勿論、私は飾っていない。
誰が?まさか赤髪?イヤイヤ、ありえないでしょ。あの風貌で花なんて。
きっと隣にいる騎士アルクかレオンかのどちらかだわ。
後でお礼にクッキーの差し入れをしよう。
3時の休憩タイムに沢山焼いたクッキーを持参した。丁度、私の担当騎士アレクとレオンの2人が揃っていた。
「こんにちわ。隣のエリコです。」
「おや。こちらに来られるのは珍しいですね。少し痩せました?」
「何だか食欲が無くてね。それより、コレ食べて。花のお礼よ。」
「ありがとうございます。でも花って何の事です?」
アレ?アレク達と違ったの?
事情を説明するとアレクはニコリとしてクッキーの入った箱を返してきた。
「貴方の店の鍵はルドヴィカ総団長しか持ってられません。だから花は総団長ですよ。」
「赤髪が?あの風貌で花だなんて無いでしょう?」
だらしく無く伸ばした赤髪を無造作に1つにくくり伸びた無精髭に薄汚れた服。外套も埃と乾いた泥汚れで人の話を聞かない。そんな人だ。
「うーん、それは、、。クッキーを彼の寝床に置いておけば良いでしょう。喜ばれますよ。」
とりあえずアレク達にクッキーはあげてきた。けど合点がいかなかった。
奇行は翌日も続いた。
また花が一輪増えている。
何なんだろう?花があると気分は良いので嫌では無いから、ま、いっか。
その翌日も一輪増えていた。
またその翌日も。毎日、一輪づつ増えていく。花瓶に入らなくなると新しい花瓶が追加された。
店内の折り紙はライアンにあげたので窓際の棚にしか陳列をしていない。
なので、何も置いて無かった棚は花を飾り店内は華やかになって行った。
色とりどりの花に囲まれての生活は良いものだわ。
気持ちが明るくなる。
フン。やるじゃないの。この花が本当に赤髪がくれているなら、お礼を言ってやらないとね。
花なんて彼には全然似合わないけどね。
彼が旅立つ間際には頻繁にご飯デートをしていたので一人で晩御飯を食べていると人恋しくなってしまう。
そしていつも同じ事を考えてしまう。
ライアンは無事に到着したのかな?
妹さんの病気はどうなったの?
いつ帰るんだろう?
こんな時、電話が有ればな。
考えてもした方がないのに。
つい手が止まってぼっーとしてしまう。
「カランコロン」
ライアン?とドアの呼び鈴の音で顔を上げるといつもの近所の女将さん達だった。
もうお昼なのね。
今日も食べ物を持ち寄っておしゃべりをしに来てくれた。
この世界に孤独な身としては本当にありがたい。
定食屋の女将ハンナさんが自慢の挽肉パイを手渡しながら聞いてきた。
「ねぇライアンは帰って来たのかい?」
「それがまだなの。」
「ま、貿易商だから旅の途中でどうこうは無いよ。手紙は来てないのかい?」
「それもまだなの。」
「仕方がない奴だね。じゃあさ。こっちから手紙を出してみたらどうかい?」
「それが、、連絡先を知らないの。」
「うーん、それは困ったねぇ。マメな男だったのにこんなに恋人を心配させて。帰って来たら懲らしめてやりなよ。」
「はい。勿論ですよ。」
本当にどうしたんだろう?
3週間が過ぎる頃、朝、2階の自宅から1階の店舗に降りるとフワァと良い香りがした。カウンターの上に赤い花が1輪飾られていた。
勿論、私は飾っていない。
誰が?まさか赤髪?イヤイヤ、ありえないでしょ。あの風貌で花なんて。
きっと隣にいる騎士アルクかレオンかのどちらかだわ。
後でお礼にクッキーの差し入れをしよう。
3時の休憩タイムに沢山焼いたクッキーを持参した。丁度、私の担当騎士アレクとレオンの2人が揃っていた。
「こんにちわ。隣のエリコです。」
「おや。こちらに来られるのは珍しいですね。少し痩せました?」
「何だか食欲が無くてね。それより、コレ食べて。花のお礼よ。」
「ありがとうございます。でも花って何の事です?」
アレ?アレク達と違ったの?
事情を説明するとアレクはニコリとしてクッキーの入った箱を返してきた。
「貴方の店の鍵はルドヴィカ総団長しか持ってられません。だから花は総団長ですよ。」
「赤髪が?あの風貌で花だなんて無いでしょう?」
だらしく無く伸ばした赤髪を無造作に1つにくくり伸びた無精髭に薄汚れた服。外套も埃と乾いた泥汚れで人の話を聞かない。そんな人だ。
「うーん、それは、、。クッキーを彼の寝床に置いておけば良いでしょう。喜ばれますよ。」
とりあえずアレク達にクッキーはあげてきた。けど合点がいかなかった。
奇行は翌日も続いた。
また花が一輪増えている。
何なんだろう?花があると気分は良いので嫌では無いから、ま、いっか。
その翌日も一輪増えていた。
またその翌日も。毎日、一輪づつ増えていく。花瓶に入らなくなると新しい花瓶が追加された。
店内の折り紙はライアンにあげたので窓際の棚にしか陳列をしていない。
なので、何も置いて無かった棚は花を飾り店内は華やかになって行った。
色とりどりの花に囲まれての生活は良いものだわ。
気持ちが明るくなる。
フン。やるじゃないの。この花が本当に赤髪がくれているなら、お礼を言ってやらないとね。
花なんて彼には全然似合わないけどね。
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
女体化してしまった俺と親友の恋
無名
恋愛
斉藤玲(さいとうれい)は、ある日トイレで用を足していたら、大量の血尿を出して気絶した。すぐに病院に運ばれたところ、最近はやりの病「TS病」だと判明した。玲は、徐々に女化していくことになり、これからの人生をどう生きるか模索し始めた。そんな中、玲の親友、宮藤武尊(くどうたける)は女になっていく玲を意識し始め!?
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる