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14.花のプレゼント

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恋人のライアンが聖女の祝福付き折り紙を病気の妹さんへ届ける為に故郷の隣国オルラント王国へ出発して2週間。

彼が旅立つ間際には頻繁にご飯デートをしていたので一人で晩御飯を食べていると人恋しくなってしまう。
そしていつも同じ事を考えてしまう。 

ライアンは無事に到着したのかな?
妹さんの病気はどうなったの?
いつ帰るんだろう?
こんな時、電話が有ればな。
考えてもした方がないのに。
つい手が止まってぼっーとしてしまう。

「カランコロン」

ライアン?とドアの呼び鈴の音で顔を上げるといつもの近所の女将さん達だった。
もうお昼なのね。
今日も食べ物を持ち寄っておしゃべりをしに来てくれた。
この世界に孤独な身としては本当にありがたい。
定食屋の女将ハンナさんが自慢の挽肉パイを手渡しながら聞いてきた。

「ねぇライアンは帰って来たのかい?」

「それがまだなの。」

「ま、貿易商だから旅の途中でどうこうは無いよ。手紙は来てないのかい?」

「それもまだなの。」

「仕方がない奴だね。じゃあさ。こっちから手紙を出してみたらどうかい?」

「それが、、連絡先を知らないの。」

「うーん、それは困ったねぇ。マメな男だったのにこんなに恋人を心配させて。帰って来たら懲らしめてやりなよ。」

「はい。勿論ですよ。」

本当にどうしたんだろう?

3週間が過ぎる頃、朝、2階の自宅から1階の店舗に降りるとフワァと良い香りがした。カウンターの上に赤い花が1輪飾られていた。

勿論、私は飾っていない。
誰が?まさか赤髪?イヤイヤ、ありえないでしょ。あの風貌で花なんて。
きっと隣にいる騎士アルクかレオンかのどちらかだわ。
後でお礼にクッキーの差し入れをしよう。

3時の休憩タイムに沢山焼いたクッキーを持参した。丁度、私の担当騎士アレクとレオンの2人が揃っていた。

「こんにちわ。隣のエリコです。」

「おや。こちらに来られるのは珍しいですね。少し痩せました?」

「何だか食欲が無くてね。それより、コレ食べて。花のお礼よ。」

「ありがとうございます。でも花って何の事です?」

アレ?アレク達と違ったの?
事情を説明するとアレクはニコリとしてクッキーの入った箱を返してきた。

「貴方の店の鍵はルドヴィカ総団長しか持ってられません。だから花は総団長ですよ。」

「赤髪が?あの風貌で花だなんて無いでしょう?」

だらしく無く伸ばした赤髪を無造作に1つにくくり伸びた無精髭に薄汚れた服。外套も埃と乾いた泥汚れで人の話を聞かない。そんな人だ。

「うーん、それは、、。クッキーを彼の寝床に置いておけば良いでしょう。喜ばれますよ。」

とりあえずアレク達にクッキーはあげてきた。けど合点がいかなかった。

奇行は翌日も続いた。
また花が一輪増えている。

何なんだろう?花があると気分は良いので嫌では無いから、ま、いっか。

その翌日も一輪増えていた。
またその翌日も。毎日、一輪づつ増えていく。花瓶に入らなくなると新しい花瓶が追加された。
店内の折り紙はライアンにあげたので窓際の棚にしか陳列をしていない。
なので、何も置いて無かった棚は花を飾り店内は華やかになって行った。

色とりどりの花に囲まれての生活は良いものだわ。
気持ちが明るくなる。

フン。やるじゃないの。この花が本当に赤髪がくれているなら、お礼を言ってやらないとね。
花なんて彼には全然似合わないけどね。

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