上 下
6 / 42

6.作品作りって大変

しおりを挟む
「うーん、疲れた。」

一階の店舗で朝から雑貨店デビューの為の作業をしている。
沢山制作をしないといけないのに全く進まない。まだ巾着袋が3つしか出来てない。
こんな巾着袋位なら簡単に作れるのに。
手縫いがダメなのよ。売り物だから縫い目も揃えないといけないし。

「あーミシンが欲しい。」

この世界にはないらしい。無いものは仕方がない。

「ハァー。」

手芸は諦めるか?
クッキーなら日持ちがするけど、薪オーブンが使えない。

「どうしよっか。」

ボンヤリとアイデアを書いていたメモ紙の端をいつの間にか丸めていた。
丸まった紙を平らにしたら三角織りをしようと手が動く。
何かないかなぁ。彫刻?編み物?いっそのこと洋服の作り方を勉強して売るとか。ダメだ。どれもそんなセンスない。

窓をノックする音がして見上げると騎士アルクが覗いている。
出迎えると騎士レオンもいた。

「おはようございます。交代の時間だったので一緒に来ました。開店準備はどうですか?進んでいますか?」

「おはよう。それが、甘くは無いわね。まだこれだけよ。」

アルクが机の上の作品を見て驚いた。

「これですか?良いじゃないですか!これは珍しい!」

 「本当だ。これ芸術的ですよ!」

そう言ってボンヤリ折っていた兜を手に取った。

「これ?この巾着じゃなくて?これ?」

「ええ。これは売れますよ。」

「ははは。」

思わず乾いた笑いが出てしまった。
外国人に人気の折り紙とはなんてベタなんだろ。
でも、まあいっか。これも立派な作品。
まさか異世界で折り紙屋をするなんて、、複雑だわ。

その後、買い物に行き色紙を仕入れ、沢山の折り紙を折ったせいか故郷が恋しくなってしまった。
まだ電池の残が残っているスマホの写真を開き大切に見ると懐かしい。ほんの数日前の事なのに。これもやがて見れなくなるんだな、、、。
くすん。涙が止まらないよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ウサ耳の精霊王女は黒の竜王に溺愛される

櫻井金貨
恋愛
ウサギに変身できる少女フィオナは、精霊王女。子供の頃に助けてくれた恩人、大好きな”彼”と再会するために、人間の世界へやってきてしまいました。 しかし、2つの世界を分ける境界線を超えたため、精霊国のことは忘れてしまいます。 大好きな”彼”は、黒の竜王と呼ばれる、オークランド王国国王ドレイクでした。 ドレイクと再会したフィオナの恋の行方は? 一方、オークランドと因縁のある隣国、アルワーン王国の国王アルファイドも、何かを企んでいるようで!? 過去の痛みが、精霊に癒される時、世界に平和が訪れます。 ラストはハッピーエンドです。 ※全44話 ※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

理不尽に抗議して逆ギレ婚約破棄されたら、高嶺の皇子様に超絶執着されています!?

鳴田るな
恋愛
男爵令嬢シャリーアンナは、格下であるため、婚約者の侯爵令息に長い間虐げられていた。 耐え続けていたが、ついには殺されかけ、黙ってやり過ごすだけな態度を改めることにする。 婚約者は逆ギレし、シャリーアンナに婚約破棄を言い放つ。 するとなぜか、隣国の皇子様に言い寄られるようになって!? 地味で平凡な令嬢(※ただし秘密持ち)が、婚約破棄されたら隣国からやってきた皇子殿下に猛烈アタックされてしまうようになる話。

【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから

gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

悪妃の愛娘

りーさん
恋愛
 私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。  その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。  そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!  いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!  こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。  あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!

処理中です...