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6.作品作りって大変

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「うーん、疲れた。」

一階の店舗で朝から雑貨店デビューの為の作業をしている。
沢山制作をしないといけないのに全く進まない。まだ巾着袋が3つしか出来てない。
こんな巾着袋位なら簡単に作れるのに。
手縫いがダメなのよ。売り物だから縫い目も揃えないといけないし。

「あーミシンが欲しい。」

この世界にはないらしい。無いものは仕方がない。

「ハァー。」

手芸は諦めるか?
クッキーなら日持ちがするけど、薪オーブンが使えない。

「どうしよっか。」

ボンヤリとアイデアを書いていたメモ紙の端をいつの間にか丸めていた。
丸まった紙を平らにしたら三角織りをしようと手が動く。
何かないかなぁ。彫刻?編み物?いっそのこと洋服の作り方を勉強して売るとか。ダメだ。どれもそんなセンスない。

窓をノックする音がして見上げると騎士アルクが覗いている。
出迎えると騎士レオンもいた。

「おはようございます。交代の時間だったので一緒に来ました。開店準備はどうですか?進んでいますか?」

「おはよう。それが、甘くは無いわね。まだこれだけよ。」

アルクが机の上の作品を見て驚いた。

「これですか?良いじゃないですか!これは珍しい!」

 「本当だ。これ芸術的ですよ!」

そう言ってボンヤリ折っていた兜を手に取った。

「これ?この巾着じゃなくて?これ?」

「ええ。これは売れますよ。」

「ははは。」

思わず乾いた笑いが出てしまった。
外国人に人気の折り紙とはなんてベタなんだろ。
でも、まあいっか。これも立派な作品。
まさか異世界で折り紙屋をするなんて、、複雑だわ。

その後、買い物に行き色紙を仕入れ、沢山の折り紙を折ったせいか故郷が恋しくなってしまった。
まだ電池の残が残っているスマホの写真を開き大切に見ると懐かしい。ほんの数日前の事なのに。これもやがて見れなくなるんだな、、、。
くすん。涙が止まらないよ。
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