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4.新しい家のお隣さん

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町のメインストリートに面する3階建の家。
そこが私の新しい家だ。
家具は国が用意した物だからはっきり言って趣味では無いけれど一式揃っているのでまあいいとしよう。
文句を言うなら一階の半分が騎士の小さな詰所になっている事。いわゆる交番よね。

私担当の騎士レオンとアルクがここに交代で常駐するらしくご苦労様な事だわ。
驚いた事に彼らは騎士なのに引越しの掃除を手伝ってくれた。

初対面の時は警備中だったせいか無愛想で威圧のある感じが怖かったけど、こうやって掃除を一緒にすると和やかな好青年達だと分かった。あの宰相と大違い。

「なんでここなのよ。絶対に宰相の嫌がらせよ。」

独り言が聞こえたようで、薄いブラウンヘアーのレオンがクスリと笑った。

「丁度、街に騎士団の小さな詰所を設ける案が出ていたんです。エリコ様の家探しもあったので上階に住んでもらう事になったんです。騎士団詰所の上に住めるなんてこれ以上の安全は無いですよ。」

「あらら、ごめんね愚痴が聞こえたわね。
それに悪いわね。私の担当になったから町勤めでしょ?」

金髪のアルクも今日は笑顔だ。

「私達は平民出身の騎士なので町の方が馴染み深いんで。顔馴染みも多いから適任だったんでしょう。私達がいない時は他の騎士が交代して必ず誰かいますから。ご安心下さい。」

「まぁ!そうだったのね。ごめんなさい。私、貴族が気に入らなくて貴方達にもツンツンしてしまったわ。」

「平気です。我々騎士は兵士と違いメンタルも強いですから。」

「そうそう。隊長や団長に鍛えられてるから。」

「オイ、鬼を付け忘れているぞ。」

「ハハハッ!そうだ、鬼団長だった!」

2人から笑い声が漏れた。
城にいる間、私の周りに笑いは無かった。
きっと私が荒れていたせいもあるだろう。

「フフ。そんなに怖い人なの?」

「そりゃもう!怖いを通り越してますよ。」

こんな普通の会話をしたのはここに来て初めてだ。
和やかな会話に私は挨拶のやり直しがしたくなった。

「改めて宜しく。それと町に住むのだから様付けはやめてね。私、騎士詰所の隣でお店をしようと思ってるの。まだ何をするか決めてないけど。」

「わかりました。それではエリコさん。それは楽しみですね。我々も今日からここで町の人を見守ります。お互い頑張りましょう。」

彼らが心からそ言っているのは目を見てわかった。
さあ!ここからが人生の新しい出発よ!

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