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12.風見鶏のいる赤い屋根の家
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侍女に化けて屋敷を抜け出しユリアーナは、木陰で侍女服を脱ぎ下に着ていた村娘の服になった。
今日は、新月。月明かりが無い夜道が味方をしてくれ村に到着した。
村は夕食後の晩酌の時間で酒場からは笑い声が漏れている。窓からの灯りが薄灯るく夜道を灯す。
ユリアーナは、フードを深く被っている為、顔は暗くて誰だか見分けがつかないが、見た目は家路を急ぐ村娘だった。
これ以上遅くなると怪しまれる。
ドールからのメッセージカードの『赤い屋根の風見鶏の家。ルルカの香りが導くだろう。』を急ぎ目指した。
村はずれの森近くにルルカの花で覆われた家を発見した。庭は荒れて草が生い茂り外からの視線を遮ってくれる。
ユリアーナはドアを音もなく開けると家の中に消えた。
ユリアーナは、村娘の服からドールが用意した青年男子の服に着替え赤髪のウィッグを脱ぎアチラの世界で染めていた黒髪のショートヘアになった。
これで見た目は成人前の青年に見えるはず。
「ふふふっ」
ユリアーナから笑いが漏れた。
人が見た目を変えるだけで、こうも簡単に気がつかないとは!
夜中の旅は危険すぎる。私の部屋は朝まで開かないはず。明日の夜明けまでちょっと休憩だ。
一息ついたところで思いを募らせる。
(マサキはどうしてあるだろう。私がいない事に気がついているかな、、、)
涙がいく筋も流れだした。
彼の側に任務とはいえ、副神官バルクの娘ユメナがいるのも腹が立つ。
(帰ってきた目的は果たせたし、逃げ切って何とかしてあちらへ帰りたい。いつになるのやら、、、)
*****
朝から神殿の人員総出でユリアーナの捜索が行われた。
「屋敷や神殿の周りも探しました見当たらないです。今は、近くの村を探しています。」
報告を受けた神官長は、不思議でならない。
あれだけ目立つ真っ赤な髪の毛に赤い目だ。隠しようがないはず。それに両手に目立つシルバーの腕輪をしている。
そのせいで力も封印されている。
「力の無いあの者が何故見つからない?何故だ?」
次の日、侯爵家の次男アンドレと伯爵家の3男アンソニーと神官長補佐官の息子ドールが揃ってやって来た。
ドールが神官長を睨みつけながら文句を言った。
「まだ見つからないそうだな。何をやっているんだ。」
アンソニーがいつもの甘い笑顔でなだめる。
「まぁ、まぁ。それよりさっき3人で話し合ったんだけどね。ユリアーナを見つけた者が結婚するって事にしてはどうかな?」
ドールはムスッと押し黙っている。
神官長は少し考えて決断した。
「良いだろう。許可しよう。」
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村はずれの森近くにルルカの花で覆われた家を発見した。庭は荒れて草が生い茂り外からの視線を遮ってくれる。
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