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9.ドールとの約束

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ユリアーナの思った通りドールはユリアーナの話に従う事になった。身分のある者の恋は出来るだけ表に出ないようギリまで隠したい。何度、恋心を抱いた時点で潰された事だろう。

「私はこの腕輪のせいで力を封印されていて使えない。貴方にやってもらう事は3つ。ドールの魔力でこの腕輪を見えないようにしてほしい。帰ったら直ぐにプレゼントを私に届け、その中に村娘の服を紛れこませて。最後は馬と食料を村はずれに待機させて。」

「逃げるんだな。わかったが馬は難しいかもしれん。目立つからな。ロバでも良いか?」

「いいわ。無いよりマシよ。今晩、出発するわ。」

「そんなに早くずさんで無いだろうな?」

ドールは、姉のように慕うユリアーナが心配でならない。

「大丈夫!迷惑はかけない。頼んだわよ。」

「もし捕まったら、、俺を選べよ。悪いようにはしない。約束する。」

そう言うとユリアーナの手を掴んだ。いつになく真剣に詰め寄られ彼の心配の大きさが伺える。
ユリアーナは大きく首を振りながら答えた。

「私はドールには幸せになって欲しい。約束よ。帰宅後、何を聞かれても知らぬで通して。必ずよ。」

ドールは自身の右耳の飾りを外してユリアーナに渡した。

「俺の力を込めた石だ。媒体を通してなら力は使えるはず。持っておけ緊急用だ。」

2人は抱き合い別れを交わした。
その時ドールは静かに呪文を唱えた。
次の瞬間、ユリアーナの腕から腕輪が消えた。ドールが耳元で囁く。

「俺の力では外せないな。我慢してくれ。」

ユリアーナは静かに頷き、見つめ合った後、離れた所にいる監視役の存在を確認して馬を神殿へ向かわせた。


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