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16.いいかげんにして!
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それからも玲奈は相変わらず貴族達のパーティーや茶会に呼ばれる日が続いている。
護衛騎士が側に立ち再び助言をしてくれているのでそれなりにこせている。
あくまで表面だけだ。
貴族達は、玲奈に対面する時はににこやかに話をして貴人を称えている。
「まあ!お会い出来るなんて名誉な事ですわ。どうぞ御見知りおきを。」
親しげな一通りの挨拶が済むとあちらこちらからこんな声が聞こえてくる。
「貴人とは言え元は平民。パッとしませんわね。」
「本当ですわね。うちのメイドの方が知識も品もありますわよ。」
「シッ!護衛騎士がこちらを見ているぞ。聞こえたか?」
それは一度やニ度ではない。
まだ学生の玲奈はそんな人間の裏表に嫌気が差してきた。
今日のパーティーは特に酷かった。
玲奈貴人は帰り道で専属騎士に涙を流しながらお願いをした。
「トール隊長、もうパーティーに行きたくない。早く私を帰すようにジェイクに話をして。お願い。」
「玲奈貴人、私の力不足で申し訳ありません。」
「違う!違うわ。私を閉じ込めたジェイクが、、ルナが憎い。」
そう言うと泣き崩れてしまった。
こんな状態でもジェイクとの面会は「城に居ない。」を理由に叶わなかった。
そんな玲奈に教育係り兼秘書のアンナが釘をさした。
「玲奈貴人、社交はここでの貴方の勤めです。貴方が今、身につけている物、食べ物、生活水準、全ては貴方の勤めがあるから手に入る物です。なのでどうかご辛抱下さい。」
アンナはいつも正論だが思いやりにかけていた。
「ひどくないですか?私はここに居たくているわけじゃない。もう嫌!こんな所!」
ソファーにあったクッションを床に叩きつけた。
「落ち着いて下さい。ジェイクウッド殿下に話せる様に段取りをしますから。どうか!」
「ハァハァハァ、今すぐジェイクを呼んで!じゃないと次は別の物を投げるわ!」
日頃のうっぷんが爆発して完全にヒステリックになっている。
侍女が目ぼしい装飾品を部屋から運び出して、専属騎士隊用のトールが入れ替りに入ってきた。
「玲奈貴人、ジェイクウッド殿下は秘密裏に城の外で行動されているから当分は帰られないのです。代わりに私の先祖の日記を持ってきたので目を通すのはいかがでしょう?」
渡された分厚い日記の表面は漢字で日記と書かれていた。
「漢字だわ!」
一気に機嫌が治ったが、直ぐに落胆に変わった。
「これ、昔の古い文字だから読めないわ。いらない。」
その日記の分厚さから我慢しなければいかない月日を想像すると更に玲奈は落ち込んでしまった。
*****
夜、玲奈はベットに横になるが寝付けない。
ふと窓を見ると人影が現れた。
(ここは二階なのに?誰?)
人影は、玲奈が起き上がったのを確認したようで窓を小さくノックした。
(誰?一体何?)
そぉーと窓に近づくと窓越しに話をしてきた。
「玲奈貴人。夜分に失礼をします。私はコウライ国リュウキ殿下の使いでコウキと申します。」
「えっ!リュウキの?」
「はい。貴方様がこの国で苦しまれているので我がコウライへ招待をしたいとの事です。本日は無月で闇が濃く、今より闇夜に紛れて参りますが、どうされますか?」
「今?直ぐに?」
「はい。次の無月は2ヶ月後になるのでチャンスは今夜です。」
(ここに居てもジェイクは当てにならない。ならば、リュウキが話していたコウライ国の鳥居に行けば何か変わるかもしれない。)
「わかったわ。一緒に行くわ。着替えるので待ってて。」
乗馬用のパンツスタイルに着替えコウキについてソッーとベランダに出た。
護衛騎士が側に立ち再び助言をしてくれているのでそれなりにこせている。
あくまで表面だけだ。
貴族達は、玲奈に対面する時はににこやかに話をして貴人を称えている。
「まあ!お会い出来るなんて名誉な事ですわ。どうぞ御見知りおきを。」
親しげな一通りの挨拶が済むとあちらこちらからこんな声が聞こえてくる。
「貴人とは言え元は平民。パッとしませんわね。」
「本当ですわね。うちのメイドの方が知識も品もありますわよ。」
「シッ!護衛騎士がこちらを見ているぞ。聞こえたか?」
それは一度やニ度ではない。
まだ学生の玲奈はそんな人間の裏表に嫌気が差してきた。
今日のパーティーは特に酷かった。
玲奈貴人は帰り道で専属騎士に涙を流しながらお願いをした。
「トール隊長、もうパーティーに行きたくない。早く私を帰すようにジェイクに話をして。お願い。」
「玲奈貴人、私の力不足で申し訳ありません。」
「違う!違うわ。私を閉じ込めたジェイクが、、ルナが憎い。」
そう言うと泣き崩れてしまった。
こんな状態でもジェイクとの面会は「城に居ない。」を理由に叶わなかった。
そんな玲奈に教育係り兼秘書のアンナが釘をさした。
「玲奈貴人、社交はここでの貴方の勤めです。貴方が今、身につけている物、食べ物、生活水準、全ては貴方の勤めがあるから手に入る物です。なのでどうかご辛抱下さい。」
アンナはいつも正論だが思いやりにかけていた。
「ひどくないですか?私はここに居たくているわけじゃない。もう嫌!こんな所!」
ソファーにあったクッションを床に叩きつけた。
「落ち着いて下さい。ジェイクウッド殿下に話せる様に段取りをしますから。どうか!」
「ハァハァハァ、今すぐジェイクを呼んで!じゃないと次は別の物を投げるわ!」
日頃のうっぷんが爆発して完全にヒステリックになっている。
侍女が目ぼしい装飾品を部屋から運び出して、専属騎士隊用のトールが入れ替りに入ってきた。
「玲奈貴人、ジェイクウッド殿下は秘密裏に城の外で行動されているから当分は帰られないのです。代わりに私の先祖の日記を持ってきたので目を通すのはいかがでしょう?」
渡された分厚い日記の表面は漢字で日記と書かれていた。
「漢字だわ!」
一気に機嫌が治ったが、直ぐに落胆に変わった。
「これ、昔の古い文字だから読めないわ。いらない。」
その日記の分厚さから我慢しなければいかない月日を想像すると更に玲奈は落ち込んでしまった。
*****
夜、玲奈はベットに横になるが寝付けない。
ふと窓を見ると人影が現れた。
(ここは二階なのに?誰?)
人影は、玲奈が起き上がったのを確認したようで窓を小さくノックした。
(誰?一体何?)
そぉーと窓に近づくと窓越しに話をしてきた。
「玲奈貴人。夜分に失礼をします。私はコウライ国リュウキ殿下の使いでコウキと申します。」
「えっ!リュウキの?」
「はい。貴方様がこの国で苦しまれているので我がコウライへ招待をしたいとの事です。本日は無月で闇が濃く、今より闇夜に紛れて参りますが、どうされますか?」
「今?直ぐに?」
「はい。次の無月は2ヶ月後になるのでチャンスは今夜です。」
(ここに居てもジェイクは当てにならない。ならば、リュウキが話していたコウライ国の鳥居に行けば何か変わるかもしれない。)
「わかったわ。一緒に行くわ。着替えるので待ってて。」
乗馬用のパンツスタイルに着替えコウキについてソッーとベランダに出た。
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