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2.異世界召喚
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気がつくと壁や天井に装飾がされていて女神像が祀られている狭い部屋にいた。
全く知らない場所だわ。
「ここ、、は?何が、、起こった、、の?」
いつも穏やかなアルベルトが珍しく険しい表情で舌打ちをして私の肩を強く抱き寄せた。
「チッ、王城の地下の神殿だ。ハルナ俺の側を離れるな。」
「う、うん。」
部屋にはフードを被った者達が円形に座りその中心に小さな石が置かれ円形の図形が描かれていて私達はそこに立っていた。
その中の1人が立ち上がりフードを取るとアルベルトに声をかけた。
「アルベルト・ギャンダー侯爵令息。2年半ぶりにございますな。」
「ああ。ゴードン神官長。この状況を説明願おうか。」
「ウィリアム殿下の御命令での召喚でございます。」
「では、殿下が王家の秘宝を神官長に提供したという事か?」
「左様でございます。ところで、その女性は異世界人ですな。」
舐めるように見られ戸惑う私をアルベルトが立ち塞がり遮断してくれた。
「お前には関係のない者だ。直ぐにこの者を元の場所へ返してくれ。」
「無理でございます。秘宝はもうございません。さあ、お早く殿下の執務室へ。お待ちです。」
その言葉にアルベルトの瞳に力がこもり私の様子を伺った。私は戸惑いの顔を返すしかない。
「ハルナ、後で必ず説明するから。先ずは場所を移動する。」
「う、うん。」
足早に部屋を出て長い階段を登り地上に出ると中庭のベンチに誘導された。アルベルトは私の手を握り慎重に言葉を選びながら説明をしてくれた。
「先ずは謝りたい。すまない。ハルナは召喚に巻き込まれて俺の故郷バルファン王国へ来ている。日本が存在しない異世界だ。」
「異世界?そんな嘘でしょ?」
「本当だ。2年半前、俺は罠にはめられ異世界の日本へ飛ばされたんだ。」
「そんな、、、頭が追いつかない。私、、、どうしたら、、、」
「安心しろ。俺が何があってもハルナを守るから。混乱するだろが俺を信じて欲しい。」
コクリと頷いたものの心の中は動揺している。どう言う事?異世界って漫画の世界じゃないの?私、実は死んでるの?でもアルも隣にいて硬く手を握ってくれている。
不安と戸惑いを拭えないままにウィリアム王子と対面をした。
彼は金髪に碧眼の美男子でまさに王子様そのものだった。
アルベルトとの一通りの挨拶が終わると私を紹介された。
「この者は異世界人のハルナ タナカです。私の恋人で一緒に暮らしていました。召喚に巻き込まれてしまいました。」
「初めまして。ハルナ タナカです。」
ペコリと挨拶をすると執務室にいる全員の視線が集まってしまった。
「アルベルトが世話になった。そうか、成る程な。コイツの状態が良いのは其方のお陰というだな。」
ジロジロと頭の先から後ろ姿まで見られるので心地は良くない。
それを察してアルバイトが肩を抱いて遮ってくれた。
「殿下。それ位でよろしいでしょう。この者に滞在許可の身分証を授けて下さい。」
「そんなに警戒をするな。魔力は無いようだしお前の大事な者だ。良いだろう。
我が王国に滞在をして暮らす事を許可する。」
その一言で補佐の者が許可証付きのネックレスを用意して渡してくれた。
「ありがとうございます。」
ネックレスが授与されると、砕けた雰囲気になり、執務室にいた人達がアルベルトの元に集まり声をかけている。皆んなが本当にアルベルトが帰るのを待っていたんだな。
でも私は、これからの事が考えられない程に不安だった。
全く知らない場所だわ。
「ここ、、は?何が、、起こった、、の?」
いつも穏やかなアルベルトが珍しく険しい表情で舌打ちをして私の肩を強く抱き寄せた。
「チッ、王城の地下の神殿だ。ハルナ俺の側を離れるな。」
「う、うん。」
部屋にはフードを被った者達が円形に座りその中心に小さな石が置かれ円形の図形が描かれていて私達はそこに立っていた。
その中の1人が立ち上がりフードを取るとアルベルトに声をかけた。
「アルベルト・ギャンダー侯爵令息。2年半ぶりにございますな。」
「ああ。ゴードン神官長。この状況を説明願おうか。」
「ウィリアム殿下の御命令での召喚でございます。」
「では、殿下が王家の秘宝を神官長に提供したという事か?」
「左様でございます。ところで、その女性は異世界人ですな。」
舐めるように見られ戸惑う私をアルベルトが立ち塞がり遮断してくれた。
「お前には関係のない者だ。直ぐにこの者を元の場所へ返してくれ。」
「無理でございます。秘宝はもうございません。さあ、お早く殿下の執務室へ。お待ちです。」
その言葉にアルベルトの瞳に力がこもり私の様子を伺った。私は戸惑いの顔を返すしかない。
「ハルナ、後で必ず説明するから。先ずは場所を移動する。」
「う、うん。」
足早に部屋を出て長い階段を登り地上に出ると中庭のベンチに誘導された。アルベルトは私の手を握り慎重に言葉を選びながら説明をしてくれた。
「先ずは謝りたい。すまない。ハルナは召喚に巻き込まれて俺の故郷バルファン王国へ来ている。日本が存在しない異世界だ。」
「異世界?そんな嘘でしょ?」
「本当だ。2年半前、俺は罠にはめられ異世界の日本へ飛ばされたんだ。」
「そんな、、、頭が追いつかない。私、、、どうしたら、、、」
「安心しろ。俺が何があってもハルナを守るから。混乱するだろが俺を信じて欲しい。」
コクリと頷いたものの心の中は動揺している。どう言う事?異世界って漫画の世界じゃないの?私、実は死んでるの?でもアルも隣にいて硬く手を握ってくれている。
不安と戸惑いを拭えないままにウィリアム王子と対面をした。
彼は金髪に碧眼の美男子でまさに王子様そのものだった。
アルベルトとの一通りの挨拶が終わると私を紹介された。
「この者は異世界人のハルナ タナカです。私の恋人で一緒に暮らしていました。召喚に巻き込まれてしまいました。」
「初めまして。ハルナ タナカです。」
ペコリと挨拶をすると執務室にいる全員の視線が集まってしまった。
「アルベルトが世話になった。そうか、成る程な。コイツの状態が良いのは其方のお陰というだな。」
ジロジロと頭の先から後ろ姿まで見られるので心地は良くない。
それを察してアルバイトが肩を抱いて遮ってくれた。
「殿下。それ位でよろしいでしょう。この者に滞在許可の身分証を授けて下さい。」
「そんなに警戒をするな。魔力は無いようだしお前の大事な者だ。良いだろう。
我が王国に滞在をして暮らす事を許可する。」
その一言で補佐の者が許可証付きのネックレスを用意して渡してくれた。
「ありがとうございます。」
ネックレスが授与されると、砕けた雰囲気になり、執務室にいた人達がアルベルトの元に集まり声をかけている。皆んなが本当にアルベルトが帰るのを待っていたんだな。
でも私は、これからの事が考えられない程に不安だった。
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